ヤキモチ1





同じ場所


同じコース


違うのは、隣にいるのがあなたってことと


――――私の気持ち。


――――――――――――…


タカヒロくんと付き合い始めた私は、平日は自分の家に帰って、金曜日の仕事終わりから月曜日の朝ギリギリまでどちらかの家で一緒に過ごすようになっていた。

間もなく世間はクリスマスを迎えようとしていた。

タカヒロくんと過ごす初めてのクリスマスに私は少し浮かれていたんだと思う。


「ふーん、それで?」

『それでって…それだけですが』

「まぁ、順調で何よりだね」


ポスッとアキラの長くて綺麗な手が私の頭を撫でて、どうしてかそのまま頬を掠めた。

キョトンとアキラを見上げた私の顎をクイッと自分の方に向けて…―――――


『ちょっと、なに…』


真剣なアキラの顔がジッと私を見つめて、それがどうしてかゆっくりと近づいてくる。

その綺麗さに、思わず見とれてしまう私は、当たり前に動けなくて…

ダンッ!!

大きな音と同時に、聞こえたハスキーボイス。


「俺んだ、ボケ」

「タイミングいいね〜」


首をクイッて動かされて引き寄せられる私は、大好きな香りと温もりに抱きすくめられた。

両手で私の頬を包んでジッと見つめるタカヒロくんの瞳は熱っぽくもあり、ちょっと拗ねたようでもあって…


「油断も隙もねぇし、クソッ…」

「あ、キスは止めてね、他のお客さんの迷惑になるから」


カウンターキッチンでタカヒロくん用の生姜焼きの作成に取りかかりながらボソッとアキラが呟いた。

アキラの言葉に間接照明で薄暗い店内をグルリと見回してチッて舌を鳴らすタカヒロくん。

耳元に唇を寄せて「俺らしかいないじゃんっ」そう言って私の髪に小さくキスをした。



天皇誕生日を明日に控えた今日はイヴイヴまであと数時間を残すだけ。

今年はイヴが土曜日、クリスマスが日曜日という奇跡の三連休が待っていた。

だから週末前の今日は、いつも通りにバー¨AKIRA¨で待ち合わせだった。


先に到着した私を追いかけるようにタカヒロくんが来たけれど、さすがの今日は、バー内に人がほとんどいなかった。

私達だって、今日は…今日も…甘い時間を過ごすんだって勝手に思っているわけで。

三連休をタカヒロくんと一緒に過ごせることが何よりも嬉しいんだ。






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