■ 闇の中の真実1


【side ゆきみ】



知らないうちに沢山の傷が増えてることがよくあるんだ…

わたしだけが何も知らないって…



―――――――――…


『タカヒロは〜?』

「知らね」


ここしばらく忙しそうなタカヒロ。

学校が終わるとわたし達は必ず青倉庫に行く。

青倉庫にいる間はほぼVIPにいるはずのタカヒロは、ここ最近あまりその姿を見せなかった。

その理由も何も知らないわたしは、タカヒロがいないことに関心すら持っていなく。

だからタカヒロがそこにいようと、いまいと…正直気にならない。

でもそれがノリの機嫌を損ねるというわけで、その皺寄せまでもが哲也の役目だなんて今更気づく。

それでもVIP部屋に行かないわたしは、中でノリと哲也が二人きりだって分かっているけどその部屋には入らなかった。


「元気な〜い、ゆきみちゃん!」


ケンチがわたしの頭を撫でる。


『ゆきみ?大丈夫?』


反対側にいる奈々も心配そうにわたしを見つめている。

あの日から、奈々も毎日青倉庫に来るようになった。

中学校のが終わりが早いから、必ずケンチが奈々をバイクで迎えに来て青倉庫までの送り迎えを繰り返していた。

中学生の彼らがバイクの免許を持っているはずもないんだけど、わたし達はそこには恐怖なんて感じなかった。

結局なんだかんだ言ってもわたし達もチーム【one】の一員なんだと。

立派な暴走族なのかもしれないと。


『元気だよ』


ブスッと答えるも気分は堕ちていてわたしはどんどん自分が嫌な女になっていく気がした。

哲也とノリがあの部屋で二人きりだって分かっているのに、それを一人で我慢している。

わたしがあの部屋に入ってすることなんてなくて。

哲也とノリが二人で一体何をしているのか、心の中では物凄く気にしているというのに…


「自分飲み物とってきますけど、ゆきみさん一緒に行きませんか?」


そんなわたしをよく分かっている直人は、こうやっていつもわたしを気遣ってくれる。

自分で哲也の所にいけないわたしの背中を押してくれる直人。

その優しさにわたしはいつも甘えるだけで…


「俺コーラ!」

『あたしアップル〜』


ケンチと奈々までもがそれに便乗してくれて…

恥ずかしくなりながらわたしは直人の後を追った。


勿論ながら直人はゆっくり歩いていて、わたしが走ったら立ち止まって振り返ってわたしを待っててくれる。

同じ歩幅にしてくれる優しい直人。

いつもわたしを守ってくれる強い直人。

哲也には内緒のわたしと直人…



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