プロローグ




12月24日。

クリスマス・イヴ。



幸せcolourに電飾されてる街全体をたんに歩くのが好きで。

ChristmasとかValentineとか、はたまた星空とか雪景色とか、ごく一般的に女の子が好きそうなものが俺も大好きだった。



胸ポケットに忍ばせたゆきみへのChristmas present。

俺がデザインしたお揃いのネックレス。



待ち合わせ場所に行くとまだゆきみの姿はなく、俺はそこに立って行き交う人を見ていた。



幼馴染みであり親友でもある哲也の恋人となったゆきみ。


恋愛にそれ程興味があったわけじゃない。

ただ、俺達の傍にゆきみがいることが当たり前だと思っていた。


それがあの日、哲也にゆきみを独り占めされて…―――初めて俺の中のゆきみへの想いが溢れたなんて。



哲也を裏切ることになっても、それでも俺はゆきみが欲しくて。

どうしようもない気持ちがあるなんて、初めて知ったんだ。







「直ー!!」



ピクッとして顔を上げると元気よく俺に向かって手を振っている最愛の家族、ゆきみ。


信号が青になるのが待てない様子で興奮気味に足をばたつかせている。


そんな彼女をさも「可愛い」と思う俺はそうとう頬が緩んでニヤついているんだと思う。


横断歩道スレスレまで迎えに行った俺に青になった途端、ゆきみが飛び出してきた。



「直っ、直っ!!!あのねっ、私っ…―――赤ちゃんっ!赤ちゃんできたのっ!!」

「えっ」


腕に飛びつくゆきみの口から出た言葉は予想外で。



「それほんとっ!?」



ゆきみの腕を掴み返す俺。


顔をクシャって緩ませて「私達パパとママになるんだよっ!」うわ、まじか!


俺はその場でゆきみを強く抱きしめる。



「ゆきみありがとう。めちゃくちゃ嬉しいっ…夢みてぇ…」

「直、幸せになろうね」

「うん。俺が絶対幸せにする…」

「直も幸せじゃなきゃ嫌よ」

「俺は、ゆきみが傍にいてくれることが、最高の幸せ…」

「それなら永遠に幸せでいられるね!」




ゆきみの笑顔に胸が熱くなる。


その笑顔に心が明るくなる。


いつだって俺の心はキミに…ゆきみに夢中なんだ。



そうやってずっと俺の隣で笑っていてほしい。


その大好きな笑顔を、俺は人生かけて守り抜くからさ。







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