100%の大好き1



【side 奈々】





「臣のこと、好きになる可能性ってどのくらい?」



高校生の時からの大親友であるゆきみに聞かれた言葉だった。

EXILE・三代目を兼任していて、今やライブチケットすら取りずらいと言われるアーティストのNAOTOとひょんなことから出逢ったゆきみは、NAOTOの最愛の存在になるという言っちゃえば奇跡を起こした人である。

そんなゆきみの恋人、直人さんの事務所で産休に入る人の引き継ぎでヘアメイクを依頼されたあたしに、飛ばされた質問だった。

元々臣のファンだったあたしに。



「え?臣?」

「うん。奈々が臣を本気で好きになる確率…」



至って真剣な表情のゆきみ。

だから今の言葉がいつもの冗談とかじゃないんだって思った。

冗談だったのなら「それは臣次第だよ!」とか言えるのかもしれない。

でも直人さんと付き合っているゆきみには、必要な問いかけなのかもしれないって思えた。



「やだゆきみ、あたし友樹がいるよ。臣はアーティストとして好きだけど、それ以上でも以下でもないってば。あたしにはゆきみみたいな芸能人の彼女なんてとうてい無理。そこまで臣を信じきれないと思う…」



素直な言葉だった。

高校生の時からずっと同級生の友樹と付き合っているあたしに、いくらなんでも臣の入る隙なんてないし、そもそも臣があたしを相手にするなんてこれっぽっちも思っていなかったんだ。

あたしの言葉にちょっとだけ心配そうな顔を見せるゆきみ。



「でも奈々可愛いから…」

「嬉しいけど、さすがに芸能界には綺麗な人いっぱいでしょ。太刀打ちできません」

「もしも好きになっちゃったらさ…言ってね?その時はちゃんと考えるから」

「うん。じゃあその時は隆二にライバルでも演じて貰おうかな〜」

「なるほど!隆二が相手なら臣も手ださないって?てさ、奈々が隆二に本気になったらどうすんの?」

「だからないないない!あたしそんな惚れっぽくないって」



友樹を裏切ることなんてこの先もできないって。

他にいい人がいるのかもしれない?そう思ったことがないわけじゃない。

でも友樹ほど優しい人にはもう、巡り会えないんじゃないかって。

だからあたしはヘアメイクの仕事をしても三代目を仕事仲間としてしか見ないって自信があったんだ。




だけど、そんな自信はこっぱ微塵に打ち砕かれた。

登坂広臣って人間は、あたしにとって出逢ったことのない幸せをくれる、魅力的な人だったんだ。





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