嫉妬してんの…?可愛いな
「ただいまー」
ガチャッて玄関のドアが開いた瞬間、ウトウトしていた娘がパッチリ目を開けて飛び起きた。
「パパー!」
そう言って駆け足で玄関まで行く娘の後を追いかけて私も着いていく。
「ただいま、みゆ」
そう言って娘のみゆを目一杯抱き上げる臣。
その光景は私が見ていてもほっこりするもので。
パパが大好きなみゆ。
「パパあにょね、みゆ、りゅーせーおどれるようににゃったの…みてみて…」
臣の腕から下りると、数年前に臣のいる三代目が大賞を受賞したR.Y.U.S.E.Iの有名な振り付けのランニングマンを軽くポテポテと踊って見せた。
嬉しそうな臣の顔は完全に緩んでいて。
自分たちの娘がこうして大好きなパパのマネをしていることが今、本当に嬉しかったりする。
人気絶頂の臣がこうして結婚している事実も隠そうか公表しようか迷って喧嘩もたくさんしたけれど、「ファンの方にも、メンバーにも、ユヅキにもウソはつきたくない…」そう言ってきちんと発表してくれた臣を、私は自分の人生かけて一生愛していくって決めたんだ。
だから目の前で娘と臣がイチャイチャしていたとしても構わない。
ドラマや映画では色んなシーンをこなす臣にだって口出ししない…――――のに。
「どうした?」
「…え?」
娘のちゅーを受けながら臣が小さく私に聞いた。
半笑いの臣は、それでもまだ娘と何度もちゅーを繰り返していて。
「顔!ムウってしてるよ!」
「…え、私?」
「そう、ユヅキ」
…顔に出したつもりなんてないんだけど。
え、なんで!?
苦笑いする私に向って臣がポンポンって私の頭を撫ぜた。
「嫉妬してんの?…可愛いな」
臣に言われて真っ赤になるのが分かる。
自分の娘相手にまさかの嫉妬…。
嫉妬する対象じゃないのに、まさかの嫉妬…。
はぁ、私…どれだけ臣のこと愛してるんだろう…。
「あの、別に…」
「30分待って」
「え?」
「みゆ、パパと一緒にねんねする?」
そう言って元気になったとはいえ、やっぱり眠そうな娘を寝室の布団に連れて行こうとする臣。
「うん、パパと寝りゅ…」
既にウトウトし始めている娘を寝かしつけるのは簡単で。
「シャワー浴びるから、少し待っててね」
私をギュっと抱き締めて、それから顔を覗き込んでさっきみゆにしていたみたいな小さなキスを落としたんだ。
カアーっと赤くなって壁に寄りかかる私。
本当にこの人は、いつだって私に100%以上の愛情を注いでくれるんだって…
勿体なくも申し訳なくて。
でも、臣が世界でたった一人選んだ相手が私だってことに恥じないようにしなきゃ…いつだってそう思わせてくれる人だった。
約束通りすぐにシャワーから出てきた臣は、ソファーに座る私の隣に座って耳元で囁いた。
「ほら、もうユヅキのもんだぞ俺…」
優しく私の胸元に顔を埋める臣をギュっと抱き締めたんだ―――――。
こんな優しくて素敵な旦那様なら、嫉妬しても許してくれるよね…
*END*
Special Thanks Love YUMI