SHORT U | ナノ

 日常に花束を1

至って普通な日常がたった一瞬で薔薇色に変わる…。



「おはよ、ユヅキ!聞いた?隆二くんの異動…」

「え、異動?隆二が?」

「そ。まさにココ、ユヅキのところらしい…」

「な!ウソでしょ…」


同期のゆきみの言葉に思わず自分の耳を疑いたくなった。

だって隆二って、隆二って…



「昨日挨拶に来たらしいよ、哲也さんの所に。直人さんと一緒に飲んでたらたまたま同じ店にいたみたいで。って、直人さんから聞いて。さすがにユヅキは哲也さんから聞いてないよね?」

「…うん。聞いてない」

「はは、だよね。さすがの哲也さんもユヅキに直接は言えないよなぁ〜って」


隆二と別れたのは3年前。

その後2年間私は一人で。

1年前、哲也さんに告白されて付き合いだした。

社内恋愛が多いうちの会社でカップルは沢山いるから、こういう社内での別れだったりもぶっちゃけ多い。

あの人の元カノが今あの人の彼女だとか…。

隆二と別れたのは気持ちが離れたとかじゃなくて、忙しくてお互い会う時間も取れなくて、会っても喧嘩ばっかりでこのまま一緒に居ても二人の為にならないって。

話し合って二人で納得して別れたものの、隆二を失った私の心はぽっかり空いていて。

そんな時に異動でうちの部署に来た哲也さんと仲良くなって、それであの日言ってくれたんだ。


「俺じゃその傷癒せない?」

「え?」

「傍に、居たいんだ、ユヅキちゃんの」


社内でも人気の哲也さん。

私に不安気な顔を見せる哲也さん…


「哲也さんが私を…?」

「気づいたらいつも見てた。好きだよユヅキちゃん…」


フワリと抱きしめられて心臓バックバク。

信じられない…


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