SHORT U | ナノ

 カラフル1

たった一度告白してフラれたら普通は諦めるものだろうか?

勇気を出して自分の想いを伝えたとしても、その想いを受け止めて貰えるかというのは半々で。

自分の好きな人が自分のことを好きだと思って貰える確率はきっと極めて低い。

だけどうちの高校にはその極めて低いと思われる確率を難なくクリアしている幸せなカップルがたくさんいて…


「ごめんなさい…」


なんて言ってフった後、彼を好きになったあたしは…―――どう、したらいいんだろうか…。



「ユヅキ、帰ろうぜ!」


思いっきり制服のズボンを引きずってパンツ見えてますけど…ぐらいの勢いで腰パンしているほぼ金髪長身のイケメン黒木啓司。

1か月前にあたしは、この不良に「付き合わない?」って軽く告白された。

その軽さだったり、見かけだったり、噂だったりで…――啓司って人をよく知りもしなかったあたしは「ごめんなさい…」って普通に断った。

だけど、その次の日から啓司は毎日のようにあたしの前に現れた。

噂によると、啓司たちと仲良しグループの直人くんの彼女のゆきみちゃんが、啓司をフった理由を流したからだって…。

確かに聞かれた。

「何で断ったの?」って。


「よく、知らないから…」


単純にそう答えたあたしの言葉はそのまま啓司の耳に入ったらしく、なら俺を知ればいいだろ?って顔で毎日あたしの前に姿を見せるようになったのだと。



今日は朝から雨で。

バスで駅まで通っているあたしは毎日帰りは啓司とニケツして駅まで送って貰っていた。


「雨だからいいよ、危ないし」

「雨だから送るんだって、危ねぇから。ほら行くぞ」


あたしの言葉なんてお構いなしって感じ、あたしが手にしていた鞄をヒョイっと軽々持ちあげて廊下を歩く…。

不良だからって、付き合ってる友達が悪っぽいからって、勝手なイメージで怖がっていたけれど、啓司と話すたびにそれがどんどん変わっていくんだ。


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