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一ノ瀬誠&遊城焔花

『十代の妹ってお前?』

見た目ちょっと不良っぽい人の初対面開口一番がこれだと、結構恐いと思う。
実際喋ってみるとそんなことはなかったんだけど・・・






「よぉ、十代妹!今日も元気か?」

兄と同級生で友人でもある一ノ瀬誠さんは、出会ってからずっと私のことを"十代妹"と呼ぶ。
いい加減、ちゃんと呼んでほしいと思う。
この際苗字でも名前でもいいから、"十代妹"だけはやめてほしい。
アカデミア内どこで会ってもこれでは、悪目立ちしてしまう。
いやまぁ、兄が有名だからその妹というだけで目立ってしまうかもしれないけれど。

「あの、私には"遊城焔花"っていう名前があるんです!その呼び方やめてくださいっ」
「・・・あぁ、"十代妹"ってやつ?」
「そう、それです!」

ビシィ、と指を突き付けるようにして指摘する。
言おう言おうと思ってタイミングを逃してばかりだったが今日こそは!
そう思って面と向かって主張した。

「っていうか、もう名前知ってるんですからそうやって呼ぶ必要無いじゃないですかっ」
「んー・・・つっても、何かこれで定着しちまったしなぁ」
「そんなの定着させないでください!」
「ま、気が向いたらな」

こちらはそれなりに必死だというのに、一ノ瀬さんはニッと笑った。
つまりは、軽くあしらわれた。

「とりあえず気長に待っとけって」

髪をくしゃりとかき回されて、そのまま頭を撫でられる。
あぁもう、せっかく寝癖も直して綺麗にしてきたのに・・・!

「一ノ瀬さんっ!」
「――おっと、俺次移動教室だった。じゃあな、十代妹!」

最後にぽんぽんと私の頭を軽く叩いてから、私の右手に何かを握らせて一ノ瀬さんは走り去って行った。

「うー、今日もダメだった・・・」

右手を開いてみれば、オレンジ色に包まれた飴玉が一つ。
何て言うか、子供扱いされてる?
いやいや、一歳しか違わないと思うんですが・・・!
と・に・か・く!
次こそは、次こそは!!

「絶対名前で呼んでもらうんだからぁー!」





Call me my name!
子供扱いしないでください!