▼溢れて気付くの(マリア=s=レオンブルク)★

※マリアがコンパスに来る前の話
そして夢主が死んでいるため死ネタです。

ある日届いた伝書鳩の手紙を見た時、マリアは一瞬嘘だと思った。
手紙に書いてあった内容が信じられなかったからだ。
手紙の内容はこうだった。
『名前・苗字が昨晩殺害されて亡くなりました』
「・・・何よコレ」
マリアはその手紙の内容が信じられなかった、名前が死んだなんて悪い冗談だと思った。
だって彼は昨日も普通に自分に会いに来たのだ、だから今日も会いに来るはずだ。
こんな手紙信じられないと思えばマリアはその手紙を乱暴にしまい
名前がいるであろういつもの場所へと向かった。

いつもの場所に着いたがそこに名前の姿はなかった。
「・・・きっと今日は遅れて来るのね」
それなら今ここにいないのも納得がいく、待って名前が来たら文句の一つでも言わないとと思いながらマリアは腰掛けて名前を待った。
・・・時間が経っても名前が来る気配はなかった。
「(あいつ、何で来ないのよ・・・)」
そう思いながらマリアはまだ待っていた、来るはずの名前を待って。
ふっと、ポツッと水滴が顔に当たった。
空を見れば黒い雲が一面を覆っていて、少しづつ雨が降り始める。
飴が降ると同時に、マリアの瞳からもポタリと涙が零れた。
「・・・馬鹿、名前」
そう呟けば涙は沢山零れはじめる。
分かっていた、あの手紙の内容が嘘ではないという事を。
もう名前がこの世界にいないという事も。
それでも分かりたくなかった、受け入れたくなかった。
いつもの様に「マリア」と笑って名前を呼ぶ彼がいないという現実が苦しくてたまらなかった。
「なんで、なんで、いなくなったのよ・・・!!」
涙と思いが溢れるほどに、名前がいないという事実がマリアを苦しめる。
名前の存在がどれだけ大切だったか、どれだけ大きかったか。
失ってから、気づいて、そしてもうその思いを伝えられないという事にも気づいて
マリアは呟いた。
「名前・・・好き、よ」
もういない相手に、自身の思いを。




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