▼もしもがあるなら(家入硝子)★


名前はたまに思う。
「もし自分が後10年早く生まれてたら」と。
そうしたら五条のように家入友っと親しくなれたのではないか?
もしかしたら付き合って将来を誓いあっていた…なんて事もあったかもしれない。
そんな事を考える度に、あったら良かったのにと思ったり、どうせ無理なのにと虚しくなるの繰り返しで。
「はぁー」
何度目か分からないため息が口から零れる。
最近ため息の付きすぎでパンダにはどうしたのかと心配されるわ、真希には「うぜぇ」と言われるわで控えたいとは思うが上手くはいかないもので。
「現実は非常だ…。」
そうポツリと呟いた時だった。
「何が非常なんだ?」と言う声が聞こえたと同時に目の前に自分の顔を覗き込む家入がいた。
「!!??」
突然の事に名前はひっくり返りそうになるがギリギリで踏みとどまると「なっ、何で先生ここに…!?」と聞く。
「少しこっちに用があってな、そしたらお前が難しい顔してるから気になって」
「そっ、そうなんですか…。」
「それにしても…何か悩み事でもあるのか?」
「えっ?」
「現実は非常だって言ってたから」
そう言って名前を見つめる家入に名前は「あー…えっと」よしばらく視線を迷わせるが数秒後に小さく「もし俺が10年早く生まれてたら…なんて事を考えてまして」と言う。
「…10年早く生まれてたらお前は27か」
「そうなんですよ…そしたら家入先生や五条先生の後輩になってたのかなって」
「お前が後輩か…。」
そう呟きつつも何かを考えるようにする家入だったが、名前をチラッと見るとクスッと微笑んで「それはそれで面白かったかもしれないな」と言った。
そんな言葉を聞いて名前は釣られて微笑むと「そうですね」と言った。
「まぁ悟はお前の事いじりつくすと思うけど」
「…それは勘弁願いたいです」
そんな風に二人はしばらくの間、もしもの話を話題にして話し合っていた。




こうして話してたってそんな"もしも"はありえないって分かってはいる。
だけどもこうして笑いあえるならそれでもいいんだと思えるから。



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