▼あめだまたくさん(家入硝子)★

きっかけは名前の一言だった。
「先生、喫煙ってキツイんですか?」
「……突然なんだ」
「いや、先生喫煙してるって言ってたんで、ちょっと気になって」
そう言って笑う名前に家入はそうだな、と言うと「四年目に入ったけどキツイ時はキツイな」と呟く。
「そういう時って、どうしてるんですか?」
「そうだな…ガムとか、たまに飴を舐めたりしてるな」
「口寂しい時にそれがあると、落ち着くんだ」と笑う家入に名前は「そうなんですか…。」と呟いた。
そして何かを考えるようにすると、突然腰に付けていたポーチを開けその中に手を突っ込む。
ガサガサと言う音に家入は何をしているんだ?と首を少し傾げる。
暫くすると目当ての物を見つけたのか名前は笑顔になると「先生!これあげます!」と言って家入に沢山の飴を差し出した。
「……飴?」
「俺、飴好きなんでいつも常備してて…で、先生が口寂しい時は飴やガム食べるって聞いて俺飴持ってんじゃん!って今思い出したんですよ」
まさかこんな所で飴好きが役に立つなんて思ってなかったと笑う名前を見て家入はクスッと笑う。
そして、差し出された飴を受け取ると「ありがとな、苗字」と言う。
「いえいえ!先生の役に立てたなら良かったですし、飴無くなったらまた言ってくださいね!俺、常に補充はしてるんで!」
「あぁ、その時はまたよろしく頼む」
家入の言葉に名前は嬉しそうに微笑むと「やった」と小さくガッツポーズしたのだった。

…本当は自分でも飴やガムを持っているのだが、喜ぶ名前の姿があまりにも嬉しそうなので、暫くは名前から飴のお世話になろうと思う家入であった。




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