▼記憶に残ったのは(アダム=ユーリエフ)


今回のバトルステージはケルパーズの散歩道。
名前のチームは蒼。味方はマルコス、リリカ、そして名前
一方赤チームはまとい、忠臣、アダムの三人だ。
『バトルの始まりです』
バトルスタートの声を合図に、二チームは動き出す。
「私、タイマン側行くね!」
「うん、そっちは任せたよ」
「頑張ってね!」
そう言って、三人はタイマン側と三点側に分かれる。
相手が近づいてないことを確認して名前はAポータルキーを獲得する。
すると、『Eが奪われました』と言うアナウンスが聞こえ、そちらを見るとそこにはアダムがいた
「(アダムさんが相手‥‥氷柱とヒーロースキルに気をつけないと‥‥!)」
そう思いながら、まずは自陣を広げようとキーの周りを回っていた時だった。
「氷柱よ、いでよ」という声が聞こえたと思えば名前の目の前スレスレに氷柱が現れる。
「っ‥‥!」
慌てて、そこから距離を取った名前はアダムの方を見る。
見ればそこには名前を目で追いながら氷柱を出そうとしているアダムがいた。
「(とっ、とりあえず動き回らないと……でないと、当たっちゃう)」
そんなアダムを見て、立ち止まるのは危険だと思った名前はなるだけ動こうと足を動かす。
だが、アダムも名前の動きを追いながら氷柱をスレスレに出現させていく。
危ない時には背後や正面スレスレのときもあった。
それでも何とか氷柱から逃げ切り続けられた時だった。

『残り1分です』
その、アナウンスの声を聞いてアダムと名前は同時に三点側の方を確認する。
どうやら、今は名前のチームが有利なようで、BとCを無事に獲得してるようだ。
「(残り1分…それまで、ここを守りきれば……!)」
そう思い、絶対に勝ってやる!と名前が意気込んだ時だった。
フッと、背後に気配を感じた。
名前が後ろを振り返る前に、その人物…先程までEにいたアダムは言う。
「後ろががら空きだ」

「____」
声にもならない悲鳴が名前の口から出る。
ガードを張ってなかったため、モロにアダムの奇襲攻撃をくらった名前はそのまま倒れる。
「(早く立ち上がらないと…!)」
そう思うが、それよりも早くアダムの攻撃が名前を襲う。
「っ…!」
ダメージをくらいながらも何とか立ち上がり、距離を取ると名前はすぐさま防御を張る。
それを見たアダムはガードブレイクを仕掛けるが間一髪で避けられてしまう。
「………」
「………」
お互いに相手が次にどう動くか…行動を読み合っていると。
『残り30秒です』と言うアナウンスの声が響く。
三点側はリリカとマルコスのおかげで無事にBとCを守り切っている。
残り30秒、後はここを守り切れば自分たちの勝ちだ…!
その為には何とかしてアダムから逃げ切るか、倒すかしかないのだが…。
「(一か八か…攻撃を仕掛けてみるしかない…!)」
名前は小さく息を吸うとアダムの方へ近づくと滑り込むようにしてカードを使う。
突然の事で防御を張る暇さえなかったアダムはそのまま高く打ち上げられる。
「ぐっ…!」
そしてそのまま地面に落ちたアダムは痛みに顔を顰めながらも立とうとする。
…その瞬間だった。
「…アダムさん」
顔を上げると目の前には薙刀を向けた名前の姿。
名前はそのまま振り下ろすでもなく、アダムを見つめるとただ一言。
「…今回は私達の勝ちですよ」
そう言った瞬間、『バトルが終了しました』というアナウンスが響いたのだった。


「うーん、リリカとマルコスの二人には敵わないねぇ」
「リリカの援護に加えマルコスの攻撃は厄介だったな」
そんな事をまといと忠臣が話す一方でアダムはシーンと黙っていた。
それに気づいたまといが「アダム?どうかしたのかい」とアダムの方を見る。
「えっ…あっ、いえ何でもないですよ」
「それならいいんだけどね…疲れてるんならちゃんと休むんだよ!」
「はい、ありがとうございます」
そう言うとアダムは「では、お疲れ様です」と言ってまといと忠臣と別れると自室へと向かう。
…その途中、アダムは壁にもたれかかる。
具合が悪かったとか、先程のバトルの結果に落ち込んでるわけではない。
なにせアダムがこうなってるのは、先程見た名前の姿。
普段と違い、凛とした姿で武器を構え自分を見る目。
仲間のために、勝利を得るためこちらに向かってきた真剣な表情。
それら全てがアダムの頭を埋め尽くしていく。
「…あぁ、駄目だ」
そう小さく呟くアダムの表情は心なしか赤くなっているように見えていた。



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