▼キミの為にできること(大門 大)

「また喧嘩してきたの?」
「そりゃあもちろん、なんたって俺は」
「『日本一の喧嘩番長』でしょ?もう聴き飽きたよ、それ」
そう言いながら名前は救急箱を手に取ると「はい座って」と大に言う。
「これぐらい放っときゃ治るって」
「良いから、手当しないと小百合さんや知香が心配するでしょ」
と言う名前の言葉がきいたのか大は渋々といった感じで座る。
そして、怪我をした箇所を名前に見せる。
名前は黙々と手当をするが内心では「(なんで喧嘩なんてするんだろう)」と思っていた。
喧嘩なんて、楽しいのか分からない。
こうやって怪我をしてまで帰ってくる大の姿を見る度に名前は「もうやめて」と何度言おうと思ったか。
……それができないのは、大が言っても聞かないんだろうと分かってるからだ。
「(だから、私ができるのは大を止めることじゃなくてこうやって手当することなんだけどね)」
それが、自分にできる唯一の方法なのだから。
と、そんな事を思いながら手当をしているとふと、大が「なぁ」と名前を呼ぶ。
名前が大の方を見ると「……いつも、ありがとな」と小さな声で大が言う。
名前はそんな大に「どうしたのいきなり」と首を傾げる。
「いや、お前っていつも何だかんだ言いつつも手当してくれるから……その、あれだ!礼言わないと男じゃないだろ!」
と少し照れているのか顔を赤くする大を見て名前は少しポカンとするがすぐにクスクスと笑う。
そんな名前を見て大は「何笑ってんだよ!」と怒る。
名前はと言うと「ごめんごめん」と言うと笑いを堪えながら微笑んで言う。
「私がしたいだけだから、お礼なんていいよ」と
大は名前のその言葉に首を傾げると「お前がしたいだけって……」と呟く。
「そっ、大は放っておいたらすーぐ怪我するからね。私ぐらいじゃないと手当したいと思わないでしょ」
「おまっ……。」
その言葉が少し図星だったのか大は何も言えなくなる。
名前はそんな大を見つめる。
そして、一言言った。
「だからまた怪我をしたら、私の所に来てね」



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