確かに一番目に付くのはこいつだが、白の服に金髪、顔はどこかの国の王子のようにキラキラと整っていてアストラムって奴も劣っていない。つまりアストラムが王子で俺の前にいるのが魔王――。

「確かに魔王っぽい」
「あん? よく俺様が魔王だって気付いたな」
「いや、これに書いてあったし…」

 ていうか偉そうな黒一色の男って魔王っぽいし…。

「おい、玲於」
「…なんだ?」
「で、結局お前は貧乏人なのか?」
「は?」
「その貧相な服装といい、この小屋といい…」

 だから小屋言うな! 俺は喉まで出かけた言葉を飲み込む。こいつ魔王っていうくらいだから城とかに住んでるんだろう。それなら俺の家が小屋みたいに小さいという気持ちも分からなくはない。それに俺の服装Tシャツ一枚と七分丈のダメージパンツだし。

「貧乏ではない」
「つまりお前みたいなのと小屋がゴロゴロ転がってるわけだな」

 その言い方何か嫌だな。

「…郷に入っては郷に従え」
「あ? なんだそれ」
「ま、つまりお前は帰れるまでこの世界での生き方をしてもらうってわけだ」