「いや、遅いって、アンタ寝てたんでしょ」
「遅過ぎて眠った」
「あーはいはい。あ、この子が蔦森晃くんね」
「ど、どうも…」
「ジン」

 西洋の貴族が座っていそうな黄金に輝く椅子に座っている俺様会長らしき人物は、ポイッと何かを投げる。しかもそれは俺の方へと的確に飛んできた。何てコントロールだ。
 飛んできた長方形のカードに視線を落とす。副会長とは違う雰囲気のブラックのシンプルなデザインだ。そこに白のゴシック体でジンと書いてある。俺はそれを暫し見つめ、顔を上げた。ジンという男は、赤黒い――まるで血のような色をしている、円形のテーブルに足を置き、シニカルな笑みを浮かべてこっちを見ている。美形に免疫がないので、ジン先輩に見つめられてドキドキしてきた(決して変な意味ではない)。しかも隣にはラン先輩もいるのだ。どうしてドキドキせずにいられようか、いや、ドキドキする。って、俺は何を言ってるんだ。
 ジン先輩がニヤリと笑う。……ん? 俺は内心首を傾げた。何か、少し違和感を感じた。…気のせいか?

「やっふー」
「やほーい」
「……遅れた」
「あっ、アキラちゃん、来てたんだねー」

 二人同時に入ってきたのは、片方は銀髪の無造作ヘアー、もう片方は赤髪の外ハネヘアー。そして後に続いて、褐色肌の黒髪。心なし垂れ目で、眉はキリッとしている。そして高身長…これは寡黙高身長書記で決まりだな!
 そして國廣。これはまあいいや。割愛割愛。
 あれ、今思い出したけど金持ちって五人組だったよな? じゃあ金持ちではない奴…つまり庶民がいるのか、もしかして? ……確実に國廣だな。
 …って、双子いなくね!? 消去法でいくと最初の二人か? え、双子なの、この人たち。二卵生双生児ってやつなのか?

「あー、もしかして、例の?」
「うーわ、ヤバいな。普通じゃん」

 おいコラ。失礼だな、こいつ。

「…どうも」
「ど、どうも」

 ぺこ、と小さく頭を下げる褐色肌の男に倣う。

「じゃあ、それぞれ名刺渡してくれる?」