7

 母さんは家に来た修二を笑顔で迎えた。初めて来た時ほど喜んではなかったが、それでも俺の初めての友達ということで、修二を見る目はとても輝いている。以前はどうも思わなかったが、修二のことを友達というカテゴリーに入れたから何だか照れくさい。
 部屋に入ると、俺はベッドに腰掛けた。修二はドアのところに立ったままで、俺は首を傾げる。目を泳がせて――まるで初めて部屋に来た時のような反応だ。俺はぽんぽんとベッドを叩く。修二は数秒口をへの字にしていたが、俺の横に来て同じように腰掛けた。
 修二はちらりと俺の机の上――菊を見る。

「…あのよ」

 修二は手元を見つめて声を発した。俺はそんな修二を見て、先を待った。

「俺、お前のこと好きになった、から」

 ん?
 一瞬何を言われたか分からず、数回瞬きをする。
 好きになった、とは――。

「だから…その」

 修二の顔が赤くなっていく。え? いや、まさか。俺は慌てて修二の言葉を遮ろうとした。しかし、それは失敗に終わる。後頭部に手が回り、ぐいと引き寄せられ…気がついた時には、俺の唇に修二のそれが重なっていた。呆然としている間に修二の唇は離れ、至近距離で俺を真っ直ぐ見ながら、言った。

「お前は俺のこと好きじゃねーこと分かってる」

 だったら、なんで、告白なんか。
 修二は鞄から何かを取り出す。小さなカップに入ったそれは、赤色のミニバラだった。凄く可愛い。そして見覚えがある。…これ、もしかしてさっき買ったのか…?

「……これやる」
「貰っていいのか?」
「お前のために買ったもんだからな」
「そうか」

 手渡しされたカップを見て自然と笑みが出る。自分で買った時より、嬉しいと感じた。
 顔を上げると修二が真剣な顔で俺の顔を見ていた。ドキリとする。

「お前の笑った顔、すげー好きだわ」

 修二は口角をくいっと上げた。俺の笑った顔……。家族と花屋の人以外には、見せたことがない、この顔。ぺたりと頬に手を当てると、修二がその手に自身の手を重ねてきた。

「いつか花以外のことで、笑わせてみせるからな」

 ふんと自信ありげな顔で笑うと、修二は俺の唇に噛み付いた。













fin.

ZA☆TSU☆I

うおー!すみません!どうやって終わらせようどうやってタイトルと一致させようと色々考えてたら結局こんな感じに……!
守屋くんは迫のギャップに心がちょっと動きつつあります…多分!
先は長いでしょうが、守屋くんが話す回数が多くなってきたのは徐々に心を開いてるからなので、まあいつかはくっつくでしょう(適当)

以下、登場人物紹介です。

守屋 渉(もりや わたる)

迫のことは友達なのかなとぼんやり思っている。
ちなみに告白されたことは次の日には忘れた。

迫 修二(さこ しゅうじ)

渉がよく話すようになって嬉しい。
もっと笑って欲しいし喋って欲しいが、それによって渉がもてたら嫌だなと思っている。
中々進展せず焦れったいが、時間をかけて仲良くなろうとしている。
今花について勉強中。

花満 愛華(はなみち あいか)

渉のことは第2の兄のような存在。
現在彼氏募集中。真樹か渉のような人がいいと考えている。
ちなみにふんわりヘアの可愛らしい女の子。

花満 真樹(はなみち まき)

爽やか系。将来は花屋を継ぐ予定。
渉のことを可愛がっている。友達がいると知って嬉しいような、ちょっと寂しいような。
身長は渉より少し高い。



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