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 近くに本屋があったので、俺たちはその本屋に入りった。

「お前って、本とか読むんだな」

 加治は小説の棚を眺める俺をちらりと見ると、意外そうに呟いた。

「……まあ、少しは」

 本を読むのは好きだ。

「学校では読んでないよな」

 加治の言葉に少し驚く。本を読んでいないこと、知っていたのか。加治は確かに俺に絡んでくるが、そんなに絡んでは来ないし、こっを見ている様子もなかったのに。
 ちなみに休み時間俺が何をしているかと言うと、大体寝ている。

「何読むんだ?」

 ――何でそんなこと、知りたいんだ? 俺は加治の意図が分からず、無言で見つめ返す。

「……黙るなよ」

 加治はむすりと顔を顰める。

「今は、……推理ものとか」

 機嫌を直そう――というわけではないが、俺は加治の質問に答える。すると、寄っていた眉は元に戻る。

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