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加治が最初に向かった先は、映画館だった。意外な場所にぽかんと映画館を見上げていると、加治が呆れたように俺を見た。
「アホ面だな」
「…え、映画?」
「映画館まで来て映画観る以外のことするわけないだろ」
そりゃそうだ。俺は加治のツッコミに心の中で同意する。俺を置いて映画館の中に入って行ったので、俺はその後についていく。映画館に来るのは久しぶりだ。ひとりでも誰かと行くこともあまりない。いつも観たい映画があっても、行く気にならないのだ。
そういえば、最近公開した映画で、気になるものがあったな。アクション映画。なんか加治もアクション好きそうだし、もしかしたら観られるのでは? と考えた時だった。
「はい」
いつのまに買っていたのか、券を渡された。反射的に受け取り、えっと声を漏らす。
「お金…」
「ちゃんともらうよ」
「あ、うん」
ですよね。俺は財布を取り出し、支払う。そして映画の内容を見た時。俺の体が凍り付いた。
「面白そうだろ」
加治は俺が固まったのを見て、悪魔のような笑みを浮かべる。俺の一番苦手な――ホラー映画だった。
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