20

 学校に着いたが、加治の姿はなかった。俺は溜息を吐いて、校門に寄りかかる。休日なので、部活の生徒しかいない。しかもこの時間なので、ぞろぞろと終わった部活生が校門から出てくた。私服で寄りかかっている俺をちらりと一瞥して帰っていく。
 十二時十分。時間は過ぎたが、加治はまだ来ない。……というか、本当に来るのだろうか?なんてことを思っていると、影が俺を覆った。顔を上げると、加治が無表情で俺を見下ろしている。

「っ」

 目が合って、俺は一瞬怯む。感情が読めない。しかし次の瞬間、にやりと笑った。

「よう、待った?」
「……待った」
「お前待つの慣れてるだろ? これくらい何でもないだろ」

 俺が慣れているわけではない。謝りも言い訳もしない加治に苛つきながらも、俺は加治の言葉を聞き流した。
 加治は無反応の俺をつまらなそうに見ると、

「さて、行くか」
「……ど、どこに」
「秘密」

 楽しそうに言うと、加治は歩き出した。機嫌は良いみたいだが、嫌な予感がする。

[ prev / next ]



[back]