WD

(WD/会長×泰+了/中途半端な終わり方)

宜しい方はどうぞ!










「ほら、これ。一応、お返しな」
「ええええっ、こ、これ、俺に!? 貰えると思ってなかったから凄い嬉しいー! ありがとー千尋!」
「…ていうか、それコンビニの安い奴だけど…」
「いーの! 千尋に貰うっていうのが大事だから!」

 百円ちょっとだったクッキーの箱を凄い大切に扱っているのを見ると、何だか申し訳ない気持ちになる。まあ…喜んでくれたならいいか。

「これは一生保存しておかないと…」
「いや食べろよ」

 腐るぞ。賞味期限以内に食べてくれ。俺の為にも、クッキーの為にも…。
 ちえっと不満そうになった了だったが、せめて写メだけでもと、笑顔でクッキーを取っていた。相変わらずよく分からない行動が多いな。















「おおおおおお、おい」

 今凄い吃り方しなかったかこの人。お、って中々吃れない音だと思うんだけど…。ていうか、一体どっから出て来た? 俺の目が確かなら窓から入ってきたと思うんだが…。俺は何故か窓の外から入ってきた会長に驚きながら、顔を顰めている会長を見上げる。

「えーと、俺に何か用ですか」
「こっ、これ、やるよ。拾ったから」

 そう言うと会長は素早く何かを俺に差し出した。小さめのバスケットに入っているのは、色んな種類の菓子。これ拾ったって…明らかにこれ落し物にしては大きすぎるだろ。誰かの忘れ物か? ……いや、それ以前に拾った物を人に渡すんじゃない。誰かの物だったら完璧に盗難だろう。

「それ、あった場所に戻して置いてくださいよ」
「え、は?」
「あ、でもそれよりも忘れ物置き場に持って行った方が…」
「ちょっ、待て! 違う!」

 慌てだした会長に首を傾げる。違う、って、何が?

「これは、俺がお前にやる為に買って来たモン、だよ」
「え、会長が?」
「まあ、チョコ貰ったし…だな、その…俺の気持ちっつーか」
「え、会長ってもしかして…」
「そっ、そうだよ! 俺はお前が――」
「意外にマメなんですか?」
「え」
「俺なんかのために態々こういう物買ってくるなんて」
「いや、おい、杷木」
「有り難うございます。会長のこと、今までよりちょっと好きになりました」

 俺は笑顔を浮かべてバスケットを受け取ると、どうしてか石化した会長に背を向けた。


fin.

会長カワイソス
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