ちい姫さまの恋事情
朧太刀  1/16





目が覚めたら、高い天井が見えた。

その木目の連なりは見覚えがあったから、私はゆっくりまばたきをして視線を泳がせる。



「わたくしは……」


「姫さま……っ!」


身を起こそうと体に力を入れたのに、まるで体が言うことをきかない。


それは今まで眠っていたのもあったのだろうけど、つり目の女性が私に覆い被さってきたからだ。


「え、え……っ?浮草…!?」


「あぁ姫さま、よくぞご無事で……っ!!」


顔と声に馴染みがありすぎて戸惑った。
それというのも、自分自身がいつの間にか邸に帰ってきていたから。

浮草を体に感じたことで、自分の部屋に寝ていたことをやっと理解したのだ。



……まだ、浮草とは別の、あの人の感触が残っている。

衛門督と名乗った青年。


衛門督が助けてくれなかったら、きっと今ごろ私は死んでいただろう。


そう思うと身震いするほど、昨夜の出来事は恐怖と不安に包まれていた。


親切にも、牛を引いて私を邸へ送り届けて。
名前も名乗らずに帰ってしまわれたのだろう。



「姫さま、姫さま……っ」


「う、浮草……。わたくしは大丈夫よ?ささら、ささらーっ」


いつもは皮肉屋の浮草が、私の事をこんなに心配してくれているなんて意外だった。

その重みに耐えかねて、ささらを呼ぶ。


「あ、姫さまお目覚めですか?」


振り分け髪の少女が人懐っこい笑みを浮かべて、几帳からひょっこり顔を出した。




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