ちい姫さまの恋事情
炎 上  1/21





"そうと決まれば若君に相談ですわ"

浮草がそう言ってから実際に兄さまとお話するまで少し時間がかかってしまった。
姉さま―登華殿の女御さま―の弟とあって、帝の覚えもめでたいと言われている兄さま。
近頃はだいぶ忙しいみたいで、お父さまとお話して以来ずっと宿直だったみたい。

だから兄さまとお話出来るまでに三日を要した。




「ふむ、父上を説得、か」


「若君なら殿をご説得できるでしょう。なんせ姫さまの御為なんですもの」


「そうだな、ちい姫のためなら私は力を尽くそう」


「ではどのように説得して頂けるのでしょうか」


「分からん」


至極真面目な顔をしている浮草の前で腕を組み、ふんぞり返る兄さま。
浮草の眉間に皺が寄ってきているわ。気づいて、兄さま。


「説得と言ってもなぁ……。私が柾路と交友を持つようになった時、父上に反対されたよ。その時もだいぶ説いたものだった。だがこればっかりは父上の"ならぬ"の一点張りで譲ってはくれなかったのだ」


数年前の話だ、と兄さまはしみじみと語る。


「それでは殿がそれほどまでに衛門督さまを嫌う理由を、見つけなければならぬということでございますね」


「……実際に嫌っているのは柾路ではないと思う。左大臣の方だ」


「左府さまでございますか……」


良く政をこなす敏腕で頭の良い方だと聞く。
左府さまとお父さまの間に、何か因縁のようなものがあるのかしら。
でも明らかに左府さまの方が優位なはず。
お父さまが譲らないそれは、身分をも凌ぐ想いなのだろうか。


でも私も兄さまもそれが分からない。




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