2014-2015とあるカップルの年の瀬&年明け


★歳の瀬編★

<丸井ブン太&ジロくん>

「ハイ、家でまったり希望」
「出かけないなんてめっずらしい。神社タダ甘酒はしご旅、今年はいいの?」
「それも捨てがたいけど、今回は家でのんびりしたい」
「ふーん。ちなみに、理由は?」
「べっつに〜。ジロくんとイチャイチャ、まったり、テレビみながらの〜んびりしたいだけ」
「…へぇ、いつも年末年始遊びまくって2日からのんびりするのに、今回は大晦日から?」
「おまっ、彼氏が家でいちゃつきたいっつーのに、何で素直に喜ばねーんだよ」
「のんびり、まったり……本当に、そうやって過ごしてくれんの?」
「はぁ?なんだよ」
「オレ的にのんびりまったりだと、たぶんコタツはいってずーっとウトウト」
「寝るの禁止」
「いや、寝るでしょ。あったかいし」
「イチャイチャできねーだろ、寝るな!」
「一緒にコタツはいってぬくぬくするのも、じゅーぶんイチャイチャでしょ」
「いやいやいや、コタツじゃなくてさ」
「?コタツ出たら寒いC」
「ベッドの方があったかいだろい」
「どう考えてもコタツのほうが暖かいでしょ」
「だぁ、そうじゃねーっての」
「(無視)ベッドなんてますます寝ますけど」
「だぁから寝るの禁止!」
「……なに?寝ちゃダメならベッドいかないよ?コタツ入ってる」
「イチャつこーって言ってるだろーが」
「ベッドで寝ないでイチャイチャって、何したいんだよ」
「ばっか、ヤりたいことなんて一つに決まってんだろい!」
「ヤらねーよ」
「あんだと?!ヤらせろ!!」
「サイッテー発言」
「大晦日はずーっとしたい」
「真顔で言わないでくれます?」
「どんくらいできるモンか、試してみたくねぇ?」
「全然。そんなの思ったこと一度もありまセン」
「俺は常に思っている」
「聞いてねぇし」
「二年参りならぬ、新たな年をジロくんの中で迎えるっつー神聖な―」
「あーほんっと、ますますアホになってるんだC〜」
「アホ言うな」
「普段もえっちしてるのに、それじゃダメなの?」
「もっとしたいんですけど」
「は?」
「週末だけなんてひでぇよー平日もお願いします」
「却下」
「なんでだよ〜」
「丸井くんは一晩が長いしシツコイし、翌朝確実に腰が立たなくなるから週一で十分」
「『は』って何だ、俺『は』って。……お前まさか、誰かと浮気―」
「なワケねーだろうが、アホなこと言ってんなよ?今度から週一だけじゃなくて、回数も1回だけにするよ?」
「すんません(即答)」

―永遠に終わらない、そんなブンジロのやり取りです。
毎度毎度、同じような会話になり、そのたびに丸井くんに振り回されては最終的に『あ〜もう、面倒くさい!』と寝てしまう慈郎くんなのでした。
そして慈郎くんが寝ちゃうと、これ幸いと脱がせにかかる丸井くん……というエンドレス。
(あ……久々にブンジロ会話文書いた……うむ、やはりブンジロ会話分はさくさくいくのだ。早く新たなブンジロ会話文を書きたいところだ)







<切原赤也&ジローさん>

「二年参りいきたい」
「いいけど…赤也、だいじょーぶ?」
「へ?なにが」
「かーぜ。まだちょっと鼻赤いし、体調も万全じゃないでしょ」
「もう治ったし、平気ッス」
「…昼にたまご雑炊がいいって言ってたよね?」
「あー、いや、アレは―」
「消化よくて胃に優しいほうが、って」
「えっとー」
「昼ごはん、雑炊だったし。夕飯もあんま食べなかったし」
「だから、ほら、もう大丈夫だって」
「…そんなに行きたいの?神社」
「行きたいっス」
「年明けてからじゃ、だめ?もうちょっと風邪良くなってからの方が―」
「だ、だめ!『二年参り』に行きたいし」
「そんなもんかねぇ」
「そうですよ!だいたい、二年参りしなきゃ三が日ずっと家で一緒にいれないし!」
「…は?」
「だからぜったい二年参りして、終わったら俺んちで休み明けまで一緒に」
「ちょっと待った。何で二年参りが条件なの?」
「はぁ?」
「はぁって、こっちのセリフだし」
「ジローさん、知らないんスか?」
「何を?」
「カップルは二年参りすれば、三が日ずっと一緒にいていいって」
「…いったい何を言ってるのかな?」
「もし二年参り怠れば、正月は地元戻って世話になった年上の人に今までのお礼で奢らないといけないんス」
「……撤回。誰に何を言われたのかな?」
「お参りすれば3日間は堂々とジローさんと一緒にいれるし。…連休は、いちゃいちゃしたい」
「いや、それはいいんだけど……そのおかしなルールは、何なの」

―ど真面目に信じきっている切原赤也くん。
そんな純粋な彼に、アホみたいなことを吹き込むのは、もちろん中高時代の先輩たちでありまして。
熱が下がらないのに二年参りに行くといって聞かない切原を言い聞かせるのに、色々と大変だった大晦日。
とりあえず休み明けたら、親友のパティシエ見習いを殴っておこうと誓う慈郎くんでした。







<仁王雅治&芥川>

「反対」
「えぇ〜」
「ぐっと寒くなってきたし、年末年始くらいは家でじっとしてんしゃい」
「せっかく皆で集まって、久々の氷帝二年参りだもん。ぜってぇ行く」
「百歩譲って初詣行くとしても、すぐ戻ってくるか?」
「んー、たぶん跡部んちでパーっと遊ぶと思う。いっつもそんな感じだったし」
「………」
「久々に跡部と樺ちゃんが戻ってきて日本で年越しだし、留学中の鳳も、み〜んな来るんだよ?」
「………」
「オレだけ行かないなんてありえないC!」
「…まぁ、お参りは行ってくればよか」
「ていうかさ、そっちだって集まるでしょうよ」
「いつもの年末飲み会なだけじゃろ」
「幸村くん、アメリカからわざわざ元立海飲みのために帰ってくるんでしょ?」
「……顔は出す」
「顔だけじゃなくてさ。しかも今年は飲み会ってういか2泊で温泉旅行!」
「まだ行くとは言うてなか」
「言うてたよ。柳に、ちゃんと仁王も参加しますって返事済み」
「…いつの間に」
「おい、先月ちゃんと言ったC。仁王が温泉行くから、その間オレは実家帰るってことになったじゃん」
「実家っちゅう話が、気づけば跡部宅になってる。それは聞いてない」
「だって急に跡部戻ってくることになったんだもん」
「大人しく実家に帰りんしゃい」
「帰るよ。でも大晦日は氷帝の皆で集まって、お参りして跡部んちは譲れないですー」
「……」
「ハイ、もうこの話は終わり!2泊3日でちゃんと皆と一緒に温泉行ってきてよ?」
「……」
「お土産は温泉饅頭ね。ちゃんと最終日の1月2日に買えよ?んで皆で写真とって携帯に送って。朝と夜、1日2回ね。旅館でね」
「…何を疑うん?」
「饅頭だけ買ってすぐ帰ってきそうだからだよ。禁止ね、それ」
「いくら何でも、一度行けば2泊3日滞在するっちゃ」
「おー、言ったな?なら写真撮らなくていいけど、ちゃんと皆と一緒に帰ってきなよ?」
「…どうしても跡部宅、泊まるんじゃな?」
「跡部に対しては色々諦めるって言ったの、どこの誰でしたっけね?」
「はて、そんなことあったかのう」
「あったわ!!」

―『跡部は家族なの!跡部にヤキモチやいても意味ないC!!』
仁王くんとおつきあいを始めて早数年。
まだ跡部くんが日本にいるときからですが、何百回このセリフを言ったことかとため息をつく慈郎くん。
そう、仁王くんは本当〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜にヤキモチやきなのです。
まだ跡部くんが相手だとこの程度ですが、これが丸井くんや切原くん、忍足くんとなるとそうもいきません。




★年明け編★

<忍足侑士&ジロー>

『ん…っ…』
『動いたら余計苦しなる。じっとしとき』
『……あっ』
『ここがええの?ならもっと、奥まで―』
『―っ、や、やだ』
『イヤ?こここんなにして、何言うとん?もっと指増やしてみるか?』
『おねが…っ…ヤメ…うぅぅっ』
『先っぽ触って欲しい?仕方ないなぁ』
『ひっ……あ…っ』
『ダラダラ流して、好きやなぁ』
『もうっ…やめ……なんっ…こんな、こと』
『―動くな言うとるやん』
『うっ、あ、あっ』
『息止まってんで?ほら、深呼吸』
『いたっ、…っ…あぁぁああーッ』
『ほぉら、奥まで全部入った』

―バシィィィィッッッ!!!

「痛っ!!おまっ、めっちゃ思いっきりっ…しかも辞書の角て」
「ただれた一人アテレコしてんなよ?まじまじキモイ」
「愛あふれる妄想言えや」
「もー、何なの?お前、ほんっっと、何なの?」
「なんやのその顔。なんで俺をそんな汚いもん見るような目でみんねん」
「忍足が何の妄想しようがどうでもいいけどさ、声に出すんじゃねぇC!」
「恋人との愛溢れるプレー言うてくれ」
「何が愛……って何でオレが縛られておめーに好き勝手されなきゃなんねーの」
「縛りたいいう男のロマンやなぁ」
「はい?!アホなこと言ってんなよ?もー、そういうの自分の部屋で一人っきりのときやれって言ってんだろー?」
「目の前で動くお前がいるのに、何で部屋で一人寂しくオナ○ープレーせなアカンねん」
「しらねーよアホ!ヘンタイ!!」
「おーおー、変態結構!部屋にこもれ言うなら、今日はずっとそうしてやろうか?」
「おーおー、そうしろそうしろ。ったくアホタリ」
「ほな、一晩中愛あるプレーで、愛し合おうな」
「!!ば、ばか!ちょっと、おろせって」
「はいはい暴れんといて〜。移動しまっせ〜」
「ちょっと忍足ーっ!!はなせー!!ばかばか、アホタリー!!」

―忍ジロカップルは基本的に甘々ですが、こんな感じもええな。
あ、これ、丸井くんでも違和感無い……というか、ブンジロがいっつもこんな感じだー、と書いたあとで気づきました。
(ブンジロでええやんけ、と。いやいや、忍足くんです。侑士くんです。妄想といえば)
この後、侑士くんは、とりあえず手首を縛ったそうです。さらに根元をきゅっとやってしまい、慈郎くんに泣かれたそうな。
『あんなところまで縛るとか、まじまじありえないC…』
翌日、ゲッソリしてソファに沈む慈郎くんがいました。なんちゃって。







<白石蔵ノ介&芥川クン>

「おーい」
「ん…………ねる…」
「そろそろ起きて?一人でヒマやねん」
「……ヤ……って、まだ7時?!」
「あ、起きた。おはよう。天気いいし、散歩行かへん?」
「…早い、寒い、お正月のお休み!おやすみ」
「休み関係ないやん。いつも朝はのんびりで」
「今日ものんびりするもん。散歩いってらっしゃい」
「相変わらず酷いなぁ。せっかくの休みやし、ずっと寝とらんでリビング行こ?」
「せっかくの休みだから寝るんでしょ…」
「じゃ、失礼」
「何?…っ、ちょっと!さむい!」
「エアコンついてるし、慣れれば寒ない。さ、顔洗ってこ。洗面所まで運ぼうか〜」
「自分で行くから、おろして」
「じっとしとき、洗面所でおろす。そこまで抱っこさせて?」
「抱っこって……体重たいして変わんないし、重いでしょ」
「全然。俺と目方10キロ以上差あるやん。軽い軽い」
「………はぁ〜ったく。ま、いっか」
「そうそう、朝は健康的に。早起きして、顔洗って歯みがいて朝御飯たべて―」
「お散歩なんでしょ。わかったわかった、顔洗ってくる」
「そのまま部屋戻ったらアカンで?」
「……」
「ア・カ・ン、ええな?」
「……もう起きたっての」
「朝ごはんできてるから。何飲む?コーヒー?カフェオレ?」
「エスプレッソ」
「もうベースのコーヒーいれたし、カフェオレな」
「(じゃあ聞くな)…ハーイ、ミルクは―」
「多めで砂糖無しな、オッケー。パンは?」
「…バターとハチミツ」
「りょーかい。ほな、終わったらリビング来てや。さぁて、パン焼かな」
「……オネガイシマ〜ス」

―鼻歌口ずさんでキッチンに向かっていった恋人の後姿を眺め、ちょっとため息。
好きだし色々してくれることは嬉しいけど、何だかんだ言いながら意思を曲げず、折れず、こちらを巻き込む性格な彼なので。
きっと食後は寒空の下、散歩に連れて行かれるのだろうと思うと少し、いや、結構面倒くさい。
白石ジロカップルは、完璧男がかいがいしく恋人のために尽くしている……と思われがちだけど、実は芥川クンが面倒を見られてやっているのです。
実は自分で何でも出来る芥川クンですが、白石くんは『やりたがり』なので、自分の得意分野でも口を出さず白石くんに任せています。







<財前光&芥川サン>

「出かけたいの?」
『家にいてもやること無いし、暇やし』
「テニスでもしてくれば?」
『冬休みでせっかくの部活オフ。めっちゃ寒いし、外でテニスなんてよおせんわ』
「えぇ〜?オレ、昨日テニスしてきたー」
『昨日て。1月2日からテニス?東京寒ないん?』
「跡部んとこのジムだから、快適〜。半そででゲームした〜」
『……相変わらずやな』
「テニス以外なら、買い物とか?正月映画とか。誰か捕まえてさ」
『アホ。3日にもなれば街なんて人で溢れかえっとる。自分からわちゃわちゃしてるとこになんか行きたないな』
「えー?人があんまりいないところ?でも、映画館なら暗いしいーじゃん。あ、それかカフェは?」
『カフェ?』
「ゆっくり長くいれるでしょ。この前遊びに行ったときに入ったカフェ、コーヒーもケーキも美味しかった」
『ああ、白石先輩の近所のところやな』
「あそこいーじゃん。ゆっくりできそう。今日やってるか微妙だけど」
『ああいう個人経営でやってるところは年明けびっちり休むやろ』
「とりあえず出かけてみれば?やってなかったら他のカフェ。この際、ス○バでもタ○ーズでもいいでしょ」
『はぁ……面倒やな』
「う?出かけたくないの?じゃあ家にいればいいC〜」
『家にいたら親戚連中と親父の知り合いや何やでどんどん人が来て、もっとメンドイ』
「つまり家にいたくないんだ」
『そういう事っすわ』
「なら家出てぶらぶらするっきゃないね。誰か誘ってさ。友達とか、先輩とか」
『誰かって……先輩、ねぇ』
「白石の近所のカフェやってなかったら、そのまま白石んとこ行ってみれば?」
『休みの日に白石先輩と二人って、何かなぁ』
「じゃあ忍足は?」
『なんて休みにあんなヘタレと会わなアカンねん』
「決まりだね。忍足センパイと会ってきなさいね」
『………三が日は親戚挨拶とか、出かけてるん違います?』
「家にいるよ。うちの忍足、年始は毎年大阪帰ってるから一緒にいるし」
『侑士さん?』
「そ。忍足家で餅つき大会が始まるって、さっきうちの忍足からチャットきた」
『餅つき……余計行かれへんわ』
「いーじゃん、行ってきてよ。何なら白石と一緒にお邪魔すれば?」
『……コンビニにでも行ってきます』
「えー?行けばいーのに」

―新年早々忍足一族が集う餅つき大会なぞ参加できるか!
そういい残し電話を終えた財前くんは、財布と携帯だけ持って家を出て近所のコンビニへ。
そこへ鳴り響く電話……表示は『白石蔵ノ介』。何たるタイムリーと思いきや、開口一番に『今から謙也んとこ行くで!』だそうで。
その数分後にコンビニにやってきた白石部長。何故このコンビニだとわかったんだ!?なる疑問の答えは明確。
素直になれない財前くんのために、遠く東京から芥川サンがお膳立てしてあげたのです。
『財前が家にいたくないっていうから連れ出してあげて?忍足んちの餅つき大会参加で。忍足には言っといた。たぶん近くのロー○ンにいるから』
『白石!早よ財前連れて来い。もうじき始まるっちゅう話やー!!ついでに納豆買うてきて。今日こそ侑士に納豆餅食わしたる!!』
ちょうど家で駅伝を見ていた白石くんは、慈郎くんからの電話に『ヒマやでー』と承諾。
直後の謙也くんからのメッセージに苦笑し、財前くんをロー○ンでピックアップついでに納豆を購入。ともに忍足家に向かったようです。







<越前リョーマ&ジローさん>

「まだ寝てるし」
「すー…」

(10時くらいに寝て、今が10時、か)
(どんだけ寝るんだか)
(ほんっっと、起こさないと際限なく寝るところ、変わんないね)
(せっかくオフシーズンなのに、一日の半分は寝てるし。ま、いいけどさ)

「一年のほとんどツアーでいないけど、いつも待っててくれてありがとう」
「Zzz…」

(こっそり試合観に来てること、知ってるよ。すぐ帰っちゃうけどさ)
(俺、確かに『家で待ってて欲しい、帰る場所にいて欲しい』と言ったけど、別に試合来るなって意味じゃないのに)
(アンタが会場に来たら一発でわかる。その試合、負けたことないでしょ?)
(優勝した大会くらい、会いに来てくれればいいのに。電話したらもう空港で、帰る直前だったりするし)

「帰る度にどんどん料理スキルあがってるよね。いつも感謝してます、美味しいご飯、ありがとう」
「ん……」

(アンタが来てくれてから、ステイツでの味気ない食事がウマイって思えるようになったよ)
(焼き魚、出し巻き玉子、煮物、胡麻和え、味噌汁、ご飯、お茶。帰ると最初に出してくれるやつ、全部俺の好きなものばっかり)
(お風呂も日本の温泉の入浴剤だし。風呂上りにしてくれるマッサージ、うちのトレーナー顔負けだよ)
(正直、俺はアンタのマッサージの方が疲れ取れるんだよね。ツアー帯同してくんないかなーって思うくらい)

「今年はツアー一緒に周んない?アンタがいれば、どんな試合でも誰が相手でも、絶対に勝てるし」
「……」

(一人でも負けないけど、アンタが来てる試合って不思議とゾーンに入るっていうか)
(ボールがスローに見えて、相手の一瞬の動きも全部見える。アレは何なんだろうね)
(あの状態になると負ける気がしないし、今んとこ勝率100%)
(わざわざ観に来たアンタの前で、情けない試合するわけにはいかないから、かな)

「今季は年間1位になるよ。4大大会も全部とる。そしたら、結婚しよっか」
「……けっこ…ん…って」
「あ、起きてた?」
「……今、おきた」
「おはよ」
「ん…おはよう。朝ごはん、たべる?」
「いいよ、たまには俺が作る」
「…めっずらしい」
「パン切ってコーヒー淹れるくらいはね」
「和食じゃなくていいの?」
「アンタが焼いたオレンジブレッド、好きだし」
「エヘヘ、ありがと」
「コーヒーもいい豆だし?」
「跡部から貰ったヤツだからね」

―越前リョーマ、プロテニスプレイヤー。恋人は長年の想い人で、年上の可愛い人。
年間ほぼ、ツアーで世界を転戦しているためあまり恋人と一緒にいれない中、冬のシーズンオフは大事な大事な時間。
今年の目標は年間グランドスラムと首位、そして結婚と固く誓う越前くん。隣にはいつも笑顔のあの人がいて欲しい。
猛烈なアプローチを経てようやく想いを受け入れ、ステイツに来てくれた念願の恋人を絶対に手放しはしない。
最高の一年にするのだと決めて、まずは数試合の肩ごなしで調整して全豪へ挑む。
新年の誓いを胸に、キッチンでオレンジブレッドをトースターに入れて、最高級の豆を挽きだす越前くんでした。







<不二周助&芥川>

「だ、だめっ」
「どうして?せっかく二人っきりなのに」
「まだ昼間だC〜」
「関係ないよ。せっかくのプライベートビーチを前に雲ひとつ無い青空、ウッドデッキと開放的なジャグジー。入らないなんてうそでしょ?」
「は、入るけど、何も今じゃなくても」
「なら、キングサイズのベッドを心ゆくまで堪能する?」
「それこそ、今じゃなくていいし!」
「なに、リビングがいいの?確かに肌触りのいいファーのラグマットだし、何ならその上ででも」
「ちょ、ちょっと」
「それともソファがいいかな。映画でも観ようか?もちろん、僕の上に乗ってもらうけど」
「不二!」
「名前」
「しゅ、周助…」
「はい、慈郎。好きなの選んで」
「えらぶって……出来れば、お茶でもしたいんですけど」
「ハイ却下」
「選べっていった!」
「ジャグジー、ベッド、ラグマット、ソファのどれかだよ。そうだな、外がいいなら砂浜でもいいけど」
「ぜったい嫌だ!」
「ワガママ言わないの。選べないなら、僕が選んであげるよ…ふふ」
「ここ、着いたばかりなのに…」
「別荘に篭るって言ったでしょ。だから食料も全部買いこんだわけだし。24時間ずっと甘い時間を過ごすために、年明けの休みをここにしたんだよ?」
「甘い時間って……」
「ストレートに言えば、淫らで爛れたセッ○ス漬けの淫蕩三昧な生活をしてみたいという欲求を現実に―」
「わー、わー!!ヤメテ!!」
「フフフ…可愛いなぁ」
「もう、本当…不二って…っ」
「名前」
「周助、ほんと、ヤだからね?」
「うん。脱ごうか」
「聞けっての!脱がすなー!!」
「それじゃあ、まずお風呂に入ろうね。ジャグジー」
「わっ、ちょっと!ま、待って―」
「その次がラグマット、そして映画みながらソファ。―夜はベッド、だよ?」
「む、無理…そんなにずっとなんて、しんじゃうC…」
「大丈夫。体力あるから」
「オレが無理!」
「何言ってるの。去年はル・マン観ながらずっと繋がりっぱなしだったじゃない」
「せっかくフランスまで行ったのに、あんなことするためだったなんて、まじまじありえないし」
「フフ…楽しかったよね。今年も行こうか」
「ぜーーーーってぇヤだかんね!」
「この話はまた今度。とりあえずルマンの記録を超えるためにも、ジャグジーからベッドまで……ね?」
「うっ…」

―『本っっっっ当、周助ってバケモノ並の体力。ついていけないC…』
なんて言いながらもしっかりついていける慈郎くんも、中々の体力・精神力です。
不二くんは慈郎くんを困らせるのが大好きという困ったお人。
最初は拒否するけれど、徐々に説き伏せられては戸惑いながらもおずおずと受け入れる彼が、可愛くて仕方ないようです。
ちなみに不二くんが一番好きな慈郎くんの表情は二つあるそうです。
『周りを明るくする満面の笑顔』と『羞恥に打ち震えて耐えている、泣き顔』。
これは不二くんにとって、甲乙つけがたい、だそうで。







<千石清純&芥川クン>

「イヤ」
「なんで?」
「イヤなもんはイヤ」
「週末なんだよ?フライデーナイト」
「誰か他の人誘ってのみにでも行けば?」
「恋人が一緒にいたいって言ってるのに、遊びにいけって?」
「うん。千石、トモダチ多いでしょ?遊びにいって」
「ひどいなぁ。でも、俺は君といたいから」
「オレは一人でいたいから。じゃあ、さようなら」
「こーら、待った」
「も〜、頼むから外行ってよ〜。まじまじ、限界なんだって」
「何でさ」
「体クタクタなの!もう動けないの!ゆっくりベッドで寝てたいんだC!!」
「ベッド?のぞむところ。じゃ、ベッド行こうか〜」
「違うっつーの!」
「君の方が体力あるはずなのになぁ。まだ土曜、日曜もあるのに」
「!!……ダメだからね」
「何を?」
「特にここんとこ毎日……頼むから、週に半分でいいから自宅帰って」
「(無視)そろそろ一緒に住もうか?」
「聞けよ!」
「(無視)ほとんど芥川クンのマンションにいる方が多いしさ」
「だめ、住まないから」
「いいかげんOKしてくれていいと思うんだけど」
「ぜってぇダメ」
「一緒に住むほうが家賃も光熱費も得だし、貯金できるでしょ?結婚後のために」
「誰と誰が結婚だよ」
「俺と君に決まってるでしょー?」
「今もきついのに、同居なんて絶対ダメ……しんじゃうC…」
「同棲、だよ?同居じゃなくて」
「一緒だっつーの………」
「何でそんなに嫌がるの?」
「何百回も言ってんだろーが!!」
「セッ○ス?そりゃしょーがないでしょ。大好きだもん」
「うっ……そ、そーいうことじゃ」
「芥川クンだって、俺のこと大好き、でしょ?」
「そ、それは……それとコレは別!別だから」
「エ○チ好きでしょ?なんで嫌がるかねぇ」
「回数の異常さと毎回尋常でない長さにオレの腰はもう限界だと何度言わせりゃいいんだ、あーん?」
「久しぶりに聞いたな、それ。今度跡部くんのところ遊びに行こうか。御飯でも―」
「跡部はオレだけで会いに行くからついてこなくていいし!ていうか週一って誓うなら同居していい」
「俺も連れてってよ。って、週一?!ちょっと、ありえないでしょそれ」
「週7のほうがありえねーっての!」
「目の前に愛する人がいれば抱きたいし、挿れたいってのは正常な欲求で男の性だから仕方ないよね〜」
「オレも男だっつーの」

―毎日のように慈郎くんのマンションの一室を訪れる千石くん。
あーだこーだ抵抗する慈郎くんですが、言いくるめられて押し切られて、なし崩しでベッドに連れ込まれるのだとか。
週2くらいだったのが週3、週4、週5……ついには帰らなくなって、ほぼ同棲状態で毎日求められ、精力を奪われへとへと。
千石くんの絶倫っぷりにこのままでは死んでしまうと最近、真剣に考えるようになったようです。
結局この日もアレコレ言い合ってる間に、いつの間に寝室に押し込められひん剥かれたそうな。







<跡部景吾&ジロー>

「ジロー。ちょっといいか」
「なに?」
「俺はお前のためなら何だってしてやりたいと思っている」
「へ…?あ、うん、ありがと。いつも色々感謝してマス」
「お前が嫌がることは一つもしたくないし、窮屈、退屈、そんな日々なんて過ごさせねぇ」
「跡部と一緒にいて、退屈だとか窮屈だとか、そんな風に思ったこと、一度もないよ」
「……夜、の…こと、も」
「うん?夜?……あぁ、セッ○ス?」
「開けっぴろげに言うんじゃねぇ!」
「痛いC〜なんだよぅ」
「そ、その、お前と愛し合う行為についても、だ」
「だからセック……じゃなくて…夜の行為が何だって?」
「退屈な思いをさせてんじゃねぇかって」
「何言ってんのさ。そんなこと無いし」
「いつも同じだと、飽きられる。俺は、そんなことは無ぇが」
「………ソレ、誰が言ってたの?」
「誰って……一般的に、マンネリって言うんだろ?」
「あのね、跡部。オレは、跡部だから一緒にいるし、エッチするし、相手が跡部だから何でも楽しいし嬉しい。気持ちいいんだよ」
「ジロー…」
「セッ…じゃなくて『愛し合う行為』がいつも同じだなんて思ったことないし、抱かれるたびに跡部のこと、もっともっと好きになる」
「……本当か?」
「当たり前!…どうしたの?今日。おかしいC〜」
「いや、その…」
「?今なに隠した??」
「な、何でもねぇ」
「ちょっと見せて」
「あ、こら、ジロー!」
「……」
「……」
「……」
「…何か言えよ」
「四十八手図鑑……ね。これ、どうしたの?」
「……」
「訂正。誰に貰った?」
「……コレは俺が」
「跡部が自分でこんなの買うわけないでしょ。誰から何を吹き込まれたのかな?」
「……」
「昨日、そういえばワインバー行ってたよね」
「…!」
「へぇ。アイツ、ね」

―『あの変態メガネ、オレの跡部にアホな知識を……許せないC』
完璧な美貌、磨きぬかれた知性、全てが完璧だと周りに思われていて、自身も自信の塊な跡部景吾。
しかし色恋沙汰に関しては実は奥手で純情、初恋の人は中学一年で出会った同級生で、両想いになった後はすぐさま両親に紹介して公認になったという。
同性の壁は最初から何も無かったグローバルな考えな跡部様だけど、ソウイウ『夜の行為』はとことん初心で真っ白で純粋。
そんな跡部との『初体験』は山あり谷ありだった過去を思い出し、ちょっとくすぐったい気持ちになるけれど、十年経った今でも一向に慣れない跡部が可愛くて仕方ない。
ぎこちない手つきで戸惑いながら触れてくる、その一挙一動が愛おしくて、嬉しくて、満たされて。
……こんな彼に邪まな知識を植え付けようとするなんて、許すまじ。
変態メガネのマンションに突撃して、シメてやると心に誓う慈郎だった。







<オマケ>

「そんなに多く望んでるんと違う」
「例えば?」
「一緒に寝て、起きて、ご飯食べて、仕事から帰ってきたらご飯作って待っててくれて」
「お風呂もいれてくれてーって?」
「せやな。そんで、他愛もない話して一緒に夕飯食べて、風呂上りはビールにテレビに」
「つまり、幸せな家庭を築きたい、ってことだよね」
「ささやかな幸せで、当たり前の暮らしが出来ればええねん」
「子供2〜3人作って?」
「?子供??」
「え?いや、幸せな家庭作るんでしょ?なら子供も―」
「出来るわけないやん」
「は?」
「芥川!俺は生涯、ずっと一緒にいられれば二人だけでも満足やねん」
「へ?」
「お前がど〜〜〜〜〜〜しても欲しい言うなら養子も考えるけど」
「お、オレ?」
「けどもうじき法律も変わって、同性婚も抵抗の無い世の中になる!」
「は、はぁ」
「日本がアカンなら、アメリカでもフランスでも、お前が住みやすいところに行くから安心してや!」
「アメリカにフランスって。忍足、医学部でしょ?日本でお医者さんになって、実家の病院継ぐんじゃ…」
「親父やオカンが賛成してもお前にとって大阪が住みづらいなら、パリでもロスでも、海外の病院で働くっちゅう心構えの話や」
「いや、その前にさ、賛成とか反対とか、そういうんじゃなくて」
「何や他の都市がええの?俺はお前が行きたい国なら、どこでもええで。アフリカでも、サハラ砂漠でも、中東でもどんど来いや!!」
「サハラ砂漠、病院無いでしょ……じゃなくてさ」
「あー、けど出来れば都市部がええな。せっかく海外で働くなら最先端医療学びたいし」
「ますますサハラ砂漠却下でしょ、それ」
「やっぱ医療ならドイツかシカゴやな〜」
「大阪の病院で働けよ」
「問題なければそのまま卒業して、大阪か東京で研修医やけど、海外も興味出てきたっちゅう話や」
「あのさぁ、忍足がどこで研修医やっても別にいいけどさ、大前提として」
「なん?」
「オレたち、付き合ってマシタッケ?」
「おまっ、今更何を!?」
「確かに告白されたけど」
「俺の長年の片思いを何や思っとん?ようやく言えたのにやなぁ!」
「昨日ね。つい昨日の話ね、それ。しかも返事してないでしょ、オレ」
「10年分の想いがつまっとるっちゅう話や!」
「告白まがいなことをしだして5年ね」
「うっ…」
「ていうか10年前からバレバレだから。皆わかってたし」
「!!」
「ずーっと何もキッパリとしたことは言わないんだろうなーって思ってたけど、どうしたの昨日。何か切欠?」
「何って、そりゃ、俺は10年前からずっと、こ、こくはくをっ!」
「うん。言いよどんでモゴモゴしてたもんね、ここ5年。けどよく言う決心ついたなーって」
「お、男やし!大学も6年生になるし」
「オレが誰かと付き合ったら諦めるかなーって思ったけど、ありえないくらい激しく落ち込むだけでさ」
「…思い出させんといて」
「彼女できる度ににハンガーストライキ起こしてくれちゃってさ」
「……別にわざとちゃう。食欲が出なかっただけやし」
「忍足…侑士の方に攻められて散々だったなー、謙也をコロス気か!って。もう、そっちが彼女でも作らない限り、オレは誰かと付き合うなんて出来ないと思ったよ」
「………すまん」
「今更でしょ。ま、昨日しっかりとした告白されましたから?」
「……好きやねん。ずっと、お前だけ」
「うん。ありがと」
「あの……」
「ん?」
「…へ、返事……ほしい、なぁ、と」
「んー、そうだねぇ」
「は、はっきり、きっぱり、バシっと言うてくれ。か、か、覚悟は、でで、で、できー」
「相変わらずどもりすぎだし。覚悟できてないじゃん」

―顔を真っ赤にしてぎゅっと目を瞑り、下を向く謙也くんにヤレヤレとため息をつく慈郎くん。
そのため息は、やっぱりごめんなさい?それとも、10年間微妙なアプローチを受け続けて、ついに…?


それは、神のみぞ知る。









>>即興目次へ  >>トップへ
*****************************************
2014年末〜2015年初旬にかけての即興劇場、慈郎くんと○○くんのカップル話。
最後のオマケはカップルか微妙なところですが。

[ 16/22 ]




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -