仁王くんの一限目



―本日も晴天ナリ
―おはよー、なんだそれ。こっちはパラパラ雨ふってるしー
―朝練?
―寝坊してちょー怒られた
―出たんか?
―最後の方、ちょっとだけ。そっちは?
―いつも通り。朝から真田の大声は正直キツイ
―仁王、せっせと走らんかー!ってやつ?
―俺はそんな注意受けんもん。今日は赤也
―切原か〜。そういやいっつも怒鳴られてるね
―遅刻でグラウンド20周
―青学みたいだし〜
―そのあと、幸村が直接球出し
―わぁ…キッツイやつ?
―幸村は汗一つかいとらんが、赤也はへとへとで最後死んだ
―ご愁傷様。うちはそういうタイプいないから、絞られることはないなぁ
―キングは相手せんの?
―跡部は基本的に自主トレで、練習は指示出すだけが多いし。遅刻で怒られることはあるけど、ペナルティ?みたいなのも無いもん
―毎回寝ているのに、そういや何も注意されとらんね
―ねてねーし
―氷帝の試合中もベンチで寝てたの見た
―それは中学までっしょ。高校ではそんなに寝てない
―そういや珍しく授業中起きてるな、今
―そっちこそ。いっつも昼なのに、どしたの今日?一限から携帯いじってさ
―お前もやけに返信早いけど、授業中やないん?
―自習!
―一時間目から自習か
―そっちは?サボり?
―柳生とクラス一緒やもん。さぼれん。
―部活もクラスも一緒で、ダブルスはペアで、仲良しだね〜
―一心同体
―そりゃ何より。じゃあ一心同体な柳生に悪いから、仁王と行こうと思ってたカキ氷は丸井くん誘うことにしよーっと
―ちょっと待て
―ふわっふわのカキ氷でね、すんごく美味しそうなんだよ。前から気になっててさ
―芥川
―丸井くんに教えてもらったんだ〜。丸井くんは行った事ある店だから、他の人誘おうかと思ってたんだけど
―俺が行く
―そういや丸井くん、何度でも行きたい、ちょーおすすめの店って大絶賛だったし
―聞け!丸井はダメ
―仁王も気になる?カキ氷のお店
―ああ気になる、ちょー気になる、行きたい。一緒に行く。
―じゃあ柳生と一緒に行く?
―柳生はええけん
―何食べよっかなぁ〜。マンゴーミルクも美味しそうだし、イチゴミルクも捨てがたい
―おい
―定番の宇治抹茶もいいしなー。コーヒーミルク、う〜ん
―わかったから。次の日曜でええか?
―ぶー、日曜は練習試合だから無理です。土曜はそっち、夕方まで部活でしょ。やっぱ立海生誘って週末は難しいかー
―金曜
―氷帝は自主練だけど、そっちは部活遅くまであるっしょ
―今週はミーティングだけで、後はオフ
―へー、珍しいね
―店は氷帝の近くなんか?
―んー、銀座
―学校出たら連絡する。渋谷の銀座線のところでええか?
―わかった。改札んとこ待ち合わせね。柳生連れてくる?
―柳生はええから
―は〜い。終わったらどうする?
―?どうするって、なんね
―金曜だしさ。うち泊まる?あ、でも土曜部活朝早い?
―泊まる
―すっげー返事早いけど、部活は
―土曜は昼から。問題なか
―りょうか〜い。おかーさんに言っとく
―ピヨ



立海大付属高校2年、仁王雅治
水曜日の一限は得意の数学で、教諭に悟られないよう器用に教科書と机の死角を利用し携帯を操作すること5分。
斜め後ろに座るチームメートにはもろバレで、背中に鋭い視線を感じるものの、授業中に指摘してくることは無いので彼の咎める眼差しなんて何のその。
視線は黒板一直線で、画面を一切みずにメッセージを高速で打つ手先は器用なものだ。


(…また仁王くんは)


―いけませんね、授業中に。

仁王に視線を飛ばす主は眼鏡をクイっとあげて、相変わらずの授業態度に呆れるものの、サボらず出るようになっただけマシといえるのかもしれない。





(終わり)

>>目次

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サボりがちだった仁王くんは、柳生くんと同じクラスになったことで少し真面目になりました。
立海小話4人目、仁王雅治

理想の短さな話になって満足なんだC〜♪
うむ、SSS=short short stoty にふさわしい短さなのだ

―いつもの即興会話分のちょい長Verじゃねェかと思わんでもない
(ん…?短編ではない、だと?)





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