教室でお弁当:向日岳人



「おーっす、悪ィ、遅れた。あれ、亮は?」

「宍戸はお茶買いに行ったー」

「!まじで」

「まじ。さっき出てったばっか」

「くっそ、購買行くならレアチーズプリン頼んだのに」

「新商品だっけ」

「昨日購買にあったんだよ。気になってさ」

「ふーん。あれ?忍足は?」

「侑士は委員会。昼飯食いながらやるんだと。弁当もって視聴覚室行った」

「樺ちゃんと跡部は生徒会だしー」

「じゃあ今日、お前と俺だけ?」

「宍戸もいるC」

「久々に三人だな」

「うん。早く食べてさ、バスケットしに行こーよ」

「お。じゃ、今日はバスケな」

「いっただきまーす」

「亮きてねぇじゃん」

「おなかすいたもーん。早くバスケしたいから、とっとと食う!」

「まいっか。俺もいただきまーす。お、ノリ弁だ」

「あ、オムライスだ。やっりぃ」

「相変わらず美味そうだなー、お前の弁当」

「えへへ、からあげつきだC」

「!いっこくれ」

「ヤダ」

「よこせ!」

「やだよ〜おかーさんのからあげ、いっちばん美味しいもん」

「これやっから」

「プチトマトなんていらねーし」

「じゃあこっち、ピーマンの肉詰め」

「岳人があんま好きじゃないヤツじゃん」

「ったく、せっかくのハンバーグをピーマンにいれるなんて、母ちゃんは何考えてンだ!!」

「しいたけよりマシなんじゃない?」

「…どっちも嫌だ。ちっくしょう、残すとうるせーしなぁ」

「中だけ食べればいーじゃん」

「それこそガミガミ怒られるっつーに」

「ふーん。ピーマン、食べたげよっか」

「!まじで」

「まじ。そんなに嫌いじゃねぇもん」

「よし、任せた」

「そんかしこっち食べて」

「?カリフラワー?お前食えるじゃん」

「ブロッコリーは好きだけど、カリフラワーはヤだ」

「どこが違うっつーんだ」

「全然違うC!」

「色だけだろ」

「味も違うじゃん!ちゃんと味わってみろよ」

「お前の好みって、やっぱよくわかんねぇ」

「岳人のピーマン食うから、カリフラワー!」

「はいはい。ほら、よこせ。交換」

「よし。あ、宍戸きた」

「うん?なんだ、亮、弁当じゃねぇのか」

「ほんとだー。パンいっぱい持ってるC」

「相変わらずチーズサンド……本当、冒険しねぇヤツだな」

「そういえば忍足、この前、新商品のキャベツメンチカツクリーム小倉サンド食ってたね」

「…侑士はチャレンジャーすぎて、よくわかんねぇよ」

「飲みモンもカレーサイダーってワケわかんねぇモン飲んでたし」

「試さずにはいられないんだろうな。全力で笑いを取りに行こうとする姿勢はある意味すげぇけど」

「忍足のおかーさんもすげぇよね。弁当。昨日マジ笑った」

「漫画以外で日の丸弁当なんて、初めてみたな」

「昨日ので3回目だって言ってたね。ケンカして忍足が謝らないと、日の丸弁当になるんだっけ」

「それを見越して、駅前のコンビニでいわし味噌煮の缶詰買う侑士もどうかと思うけどな」

「ご飯とうめぼしだけでしょ?おいしーのかなぁ」

「飯と梅干の味だけだろ。飽きる。最高級の紀州梅と、魚沼の特選コシヒカリらしいけどな」

「すっげぇ原価高そーな日の丸弁当。せめて梅干おにぎりにしてもらえばいいのに」

「ケンカの最中だからだろ。母親とのケンカで日の丸弁当って…」

「一粒残さず全部だべきって綺麗な弁当箱を突っ返すのが目いっぱいの反抗、だったっけ?」


アホだよな、侑士。

呆れたように呟く岳人に、昨日の日の丸弁当な忍足に玉子焼きを取られたとぶーたれる慈郎だけど、岳人は岳人で大好きな明太子を日の丸忍足に奪われたようで、『日の丸弁当な忍足』は面白くはあるけれど、周りの友人らの『好物』を一品ずつ奪っていくのはいただけないなと頷きあう。


氷帝学園テニス部の昼食タイム。
最近は慈郎と宍戸のクラスに、忍足、向日、滝が弁当を持ってやってくることが多いらしい。
たまに重箱抱えた樺地を引き連れた跡部様が参加することもあるとか無いとか。





(終わり)

>>目次

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氷帝学園ランチ短文、第二弾。
がっくん・宍戸との教室ランチは定番なのです。


保守派に見せかけて、侑士は革新党。
際どいメニューをいつも頼むのは侑士くんで、周りが皆味見を拒否する中、へっちゃらな笑顔で口をあけて躊躇なく一口トライするのはジローくん。

ありし日のたこ焼きパーティで、皆が『美味しくなるであろう食材』を持ち寄る中、『面白そうだから』とジロちゃんはグミを持ってきました。
もちろん、最初に味見したのは侑士くんなのは言うまでも無い。

そんな氷帝青春デイズ♪





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