丸井ブン太Happy BirthDay!2014

*会話文




「なーなー」

「…」

「なぁってば」

「…ん?」

「おーら、ゲームやめやめ!」

「あ!ちょっと。まだセーブしてない」

「もう3時間だぞ?目ぇ悪くなるから、終了」

「お母さんみたいなこと言わないでよ」

「一時セーブできるだろ?とりあえずおーわーり」

「せっかく一人暮らししてんだから、好きにやるんだし〜」

「いけません!」

「なんでだよ」

「俺のこと3時間放置中」

「は?」

「恋人を構え!」

「さっきまでバラエティみて爆笑してなかったっけ?」

「ジロくんがゲームに夢中で相手してくれないから、仕方なくテレビをつけていただけと言え」

「……」

「?ジロくん?」

「……」

「??」




「特大ポテトチップスとポッキー3箱、アイス2個と清見オレンジゼリー、メロンパン、チョココロネの残骸が見えるんだけど、オレの気のせい?」

「仕方なく見ていたテレビのお供だ。つまみ的な―」





「ちなみにメロンパンはオレが夜食べようとしてたヤツで、チョココロネは駅前のベーカリー限定品。ゼリーは跡部農園の試作品でパンよりも食うの楽しみにしてたんだ」

「……」

「昼前に丸井くんが来たとき、食べないでねって言ったと思うんだけど」

「……」

「なんで空の袋だけテーブルに散らかってるの?
アイスは前に丸井くんが買ったヤツだからいいとして。
ポッキーは地域限定のヤツだから都内では売ってないんだよ」

「……え」

「岳人の東北土産だもん。3種類あったのに、全部食べちゃうなんて、ひどいC」

「…ごめん」

「ダメって言ったのにぃ」

「すみません」

「ちゃんと丸井くん用に特大お菓子詰め合わせあったでしょ?なんでそっち食べないの」

「ごめんなさい」

「限定のヤツばっか食っちゃうし〜」

「…申し訳ゴザイマセン」

「はぁ〜」

「平にご容赦クダサイ。メロンパンとチョココロネは今度買ってきます…」

「…ポッキー」

「ジロくんの好きなミディのヤツ、10箱買う」

「よし」

「ゼリーはカンベン願いたい」

「跡部農園の試作品だし、同じの手に入らないもんねぇ」

「そんかし、作る」

「清見オレンジゼリー?」

「はっさくゼリーも、ニューサマーオレンジゼリーも、ぽんかん、伊予柑、文旦、デコポン、なんでもゼリーにしマス」

「わぉ」

「ジロくんの好きなオレンジ系でゼリーもシャーベットもアイスも、何ならタルト、ケーキ、なんでも食いたいヤツ言ってくれ」





「……」


「すんませんっシター!」





「……ったく、丸井くん、ど〜しようも無いんだC」

「返す言葉もアリマセン」





「反省してる?」

「深く。限りなく深く。これ以上無いくらい」

「これ、何度目?」

「…さて、どうだったか」

「こないだイチゴ1パック勝手に食べちゃったよね」

「!!けど、代わりに次の週イチゴタルトとイチゴのミルフィーユ作って、千葉にイチゴ狩りも行っただろい(俺のオゴリで!!)」

「ん?なに?」

「何でもアリマセン」




「食べてもいいけどさ、一言いって?」

「……ハイ」




「メロンパンとチョココロネはまだしも、ゼリーは一応感想を細かく言う約束で跡部農園からサンプルもらったから、全部食べちゃダメなのに……言ってくれれば、はんぶんこできたし」

「ゼリーの細かい感想をレポートで仕上げる」

「書き終えたら農園にメールで提出してくれる?」

「はい、ただちに」

「……はぁ。ま、いっか。じゃあよろしくね?」

「おう」




「オレも、食べちゃダメって言ってたのに、テーブルに出しっぱなしにしてたからゴメンね」

「え…」

「目に入ったら、食べちゃうよね。丸井くんだし」

「うっ…いや、ジロくんから『ダメ』って言われたのはちゃんと覚えてたんだけど、つい」

「オイ。忘れるんじゃねーC」

「すんません」

「次やったら、タルトとケーキどころじゃないから」

「……ハイ。何なりと」

「食べていいかちゃんと聞くこと」

「子供に言い聞かせる母親じゃねーんだから」

「ん?なに??」

「なんでもアリマセン。ゴメンナサイ、必ず一声かけて確認します」

「よろしい」





「ほんじゃ、ジロくんの夕飯のパン食ったお詫びに、好きなモン作るぞー」

「?夜、用事あるって言ってなったっけ?」

「んー、その予定だけど、ちょっと面倒くさくなってきた」

「切原と約束してるんでしょ?行ってあげなよ」

「俺だけじゃねーもん。ジャッカルと柳と、あと何人か来るらしいから、俺いなくても平気だろ」

「立海テニス部OB飲みなんでしょ?予定ないなら、行きなさい」

「ジロくんとイチャイチャするっつー予定が」

「ソレ、また今度でいいっしょ」

「よくねぇ!だいたい、ここ来るの3週間ぶりだぞ?」

「まぁ、オレがヨーロッパ研修で一昨日戻ったばかりだしねぇ」

「4月20日も会えてねぇ!!」

「誕生日に一緒にいれなくてごめんね?けど、研修期間決まってたから」

「さびしかったなー」

「…ゴメンってば」

「一人暮らしで、一人で過ごすさびしー誕生日を―」





「合コン」

「は?」





「えっと、確か20日は日曜日だったよね。
3対3で、仁王は月曜講義だから一次会で帰って、残り5人で次の店に行って―」

「……」

「二次会途中で女の子1人帰って、そのあと4人でどこ行ったんだっけ……カラオケ?あ、ダーツバーか」

(どこからその情報を……仁王か?いや、アイツ途中で帰ったし)

「朝まで遊んで皆で電車乗ったけど、千石が一番早く降りたからその後のことはワカンナイ、だったかな」

(!!千石、あんにゃろう)

「その後、丸井くんはどうしたんですかねぇ」

「…い、いや、その」

「『一人暮らしで寂しい誕生日』?」

「うっ…」

「楽しい誕生日過ごせて、良かったね。どうりで、いつもは夜ネット上にいるのに、20日はいなかったんだ」

「え」

「結構長い間チェックしてたんだけど、丸井くんずーっとオフラインだし」

「……」

「部屋にいないのかな〜と思って。まぁ誕生日だから誰かと出かけてるかもだし、一応電話は控えてみた」

「…かけてくれよ」

「お楽しみを邪魔しちゃ悪いC〜」

「お楽しみって…」

「だって、ほら」

「うん?」





「…ずいぶん、楽しかったんだねぇ」

「ゲッ」





「明るい栗色のショートボブ、大きなパッチリ目で、笑顔が可愛い。う〜ん、丸井くんの好みどストライクの子」

(い、いつこんな画像を…!?ていうか、どっちだ。仁王、千石?
これは最初の店だな……正面から撮ってるから、オレの前座ってたのって……いや、でも女の子だったし)

「丸井くんの甘いモンの話に付き合ってくれたんでしょ?いい子だね」

(おかしいだろい。どうみてもアングル的に、幹事の子が座ってた場所からだけど、なんでジロくんの携帯に!?)

「原宿でポップコーンとパンケーキ制覇した同士で気があったんだって?」

(千石から聞いたんだろうけど、画像は千石じゃねー。幹事の子とジロくん、知り合いなのか!?)

「原宿のチョコのカフェ、誘われたんだっけ」

「ち、ちがっ、それは、甘いモン好き同士で、探求のために―」

「あ、本当に行く予定なんだ」

「うっ…」

「ふ〜ん。じゃ、楽しんできてね」

「え」

「土産よろしく」

「ちょ」

「ついでにポップコーン買ってきて」

「はい?」

「久々にキャラメルポップコーンが食べたくなったな〜」

「ポップコーンは1年のアメリカ留学で食い飽きたっつってなかったか?」

「だから『久々』って言ってるダロ?」

「スンマセン……じゃなくて!!」

「う?」

「おまっ、彼氏を他の女の子と遊びに行かせる気か!?」

「ハイ?なんだって?」

「俺がカワイー女の子と原宿デートしていいのかよ」

「あ、デートっていう自覚はあるんだ」

「うっ……い、今のは言葉の綾―いや、違くて!」

「丸井くんの意思でこの子とチョコカフェ行くのに、なぁに言ってんのさ」

「ていうかそもそも、二人っきりじゃねー!!」

「そうなの?」

「甘いモンを愛する者たちの集まりだ!」

「あぁ、定期的にやってるヤツ?」

「そう!他メンバーに声かけるつもりだし」

「ふ〜ん(まだかけて無いんじゃん)」

「ジロくんも行くに決まってんだろい」

「いつ?」

「5月10日か11日予定」

「あーそこ、無理」

「え」

「9日から11日まで不在にするから」

「どっか行くのか?」

「西の方にね、ちょっと所用」

「また研修?」

「ちょっと違うけど、オレ的には小旅行」

「は?」

「一緒にいくヤツの付き合い、的な感じ」

「誰と行くんだよ」

「仁王」

「はい!?」

「アイツ、勉強の一環で休みに社寺仏閣の建造物を色々見に行ってるっしょ」

「そういやこの前は日光行ってたな」

「そうそう。今後は出雲なんだよ」

「島根?」

「うん」

「なんでそこにジロくんが付き合うんだよ」

「暇だし、行った事ないからいっかな〜って」

「よくねぇ!!!二人で?!」

「男友達と行くだけだもん」

「だもんじゃねぇ!馬鹿、ダメにきまってんだろい」

「丸井くんも去年、南米縦断やったじゃん。モーターサイクルダイアリーズごっこ〜って」

「そりゃジャッカルの生家を見に行くっつー目的があったから、ついでにだなぁ」

「切原と二人っきりで」

「赤也は後輩で、舎弟みたいなモンだって知ってるだろ」

「うん。知ってる。舎弟っていうとチョー怒るけど」

「赤也と出かけるなんてよくある事だし」

「うん。オレも岳人と二人で出かけるし、旅行もするよ」

「向日は幼馴染だろ?宍戸も」

「前も岳人と中東旅行したC〜」

「そんで砂漠で迷子になったけど、跡部んトコのヘリが来たんだっけか」

「まじまじびっくりしたC。跡部にもらったブザー押してないのに」

「ガイドがジロくんたち見失って旅行会社に連絡入れたら、そのまま跡部に連絡入ったんだろ、どうせ」

「さすが跡部んとこのA-TRAVEL」

「ほんっと、ジロくんが予約したら自動的にVIP通知が上にあがって跡部に伝わるって、尋常じゃねぇな」

「不思議なんだよね〜。A-TRAVELで申し込んでなくても、バレるんだもん」

「全航空会社に通知してんじゃねぇか?アイツ」

「予約した瞬間、バレるって?個人情報ダダ漏れだC〜」

「跡部に言え、跡部に」

「でも必ずファーストクラスかビジネスにランクアップされるから、そこはうれC」

「個人情報はどうした」

「えへへ、跡部だからい〜もん」

「あっそ……って、話ずれてる!!」

「う?」

「仁王と旅行がどうしたって!?」

「あー、だからぁ、9日から2泊3日で出雲行ってきますっていう話」

「ダメに決まってんだろい!!」

「何で。男友達だって言ってるっしょ。岳人と行くのと一緒だって」

「向日は問題ねぇだろ」

「丸井くんだって切原と遊ぶし、仁王とだって旅行するでしょ」

「俺はいいけど、ジロくんはだめ!」

「……なにそのジャイ●ン発言」

「仁王だぞ!?」

「仁王だよ」

「おまえ、狙われてるのに、何でわかんねーんだ!?」

「誰が何狙ってんだよ」

「にーおーう!昔っからジロくんのこと狙ってるし」

「ほんっっっっっとさ、今に仁王に殴られても知らないC」

「なんで!」

「ンなワケないでしょうが」

「あるっつーの!」

「何を証拠にそんなこと言ってんの」

「見てりゃわかる」

「あのねぇ……ったく、切原や幸村くん、柳とか、他の立海の人たちだと何も言わないのに、何で仁王だけそんなに疑うんだろうねぇ」

「本当なんだって」

「オレらが高校時代から付き合ってるの、皆知ってるし。隠してなかったでしょ」

「あいつ、高3のときに俺に宣言したんだぞ?ジロくんを―」

「あーはいはい。無い無い。わかったわかった」

「聞け!」

「押し倒されたらはっ倒すから安心して」

「むーりー、むりむり」

「跡部んトコで護身術叩き込まれてるから」

「それは知ってるけど、いや、でも!」

「日吉んトコでも古武術叩き込まれてるから」

「古武術……あれ、マジで痛ぇんだよなぁ」

「ていうかさ。オレと仁王、お互いに友達だと思ってるし、それ以外の感情なんて無いよ?」

「……」

「高校3年の時、だったっけ?丸井くんの前できっぱり仁王に『ごめんなさい』したの、覚えてるよね」

「…覚えてるけど」

「それ以来、いい友達関係だよ。知ってるでしょ」

「……うん」

「オレも仁王も高3の時のことなんて、すっかり忘れてるくらいなのに、丸井くんだけい〜つまでも言うC」

「………」

「何年経ってると思ってンのさ」

「……けど」

「……」

「……」

「……」

「……」

「……もう、わかったよ」

「…?」

「他にも誘ってみる」

「他って」

「急だし、つかまるかなー。旅館もとっちゃってるけど、仁王に言えばなんとかなるか」

「俺も行く」

「丸井くん、9〜10日は実技試験でしょ。その後すぐか、11日に原宿デート」

「デートじゃねぇ!」

「はいはい。けど、丸井くんの大事な試験だから、だめ」

「……俺の大事な試験のときに、仁王とるんるんで旅行すんのか」

「るんるんって、古っ……まぁ、ごめんね?でも、丸井くんが忙しいときだから邪魔しちゃ悪いし。でも、オレは暇だから旅行してきます」

「……くそ」

「お土産かってくるね」

「……で、誰誘うんだ」

「あ。やっぱ誘わなきゃだめ?」

「!!お前が言ったんだろ。二人っきりはだめ!!」

「はいはい。しょうがないなぁ〜ま、決まったら教えるC」

「誰を誘おうとしているのか、とりあえず言ってみ?」

「う〜んと、そうだなぁ。距離的に西の人でもいいかなー。大阪……財前か千歳?」

「…なら、まぁ、いいか」

「聞いてみよ〜っと」

「間違っても忍足謙也には声かけんじゃねぇぞ」

「へ?」

「仁王と並んで危ない」

「……あのねぇ」

「ぜってぇダメ。アイツは大阪だから普段はまだいいけど、会うなんて絶対反対」

「何の心配をしてんだよ」

「アイツのジロくんを見る目が違う」

「はぁ?」

「中学ん時からバレバレだったし、気づいてただろ」

「昔の話ね。丸井くんと付き合う前の」

「だから、だめ!」

「忍足、彼女いるよ?」

「へ?」

「かわいー子。オレ、会ったことあるもん」

「……」

「らぶらぶ?だったC〜」

「ラブラブ…」

「丸井くんが心配することなんて、なーんもないよ?」

「……そっか、なら…。ところで、どんな子?」

「なに、気になるの?忍足の彼女」

「いや、別に」

「合コンの子より可愛いかって?」

「!!ち、違っ、蒸し返すんじゃねぇ」

「別に怒ってない。好きなだけ合コン?行けばいいでしょ」

「すみませんゴメンナサイ。もう行きません。許してください」

「怒ってないってば」

「ごめん!そういうつもりは全然なくて、ただ誘われて、暇だったからつい―」

「うん。オレも、丸井くんが一人っきりで誕生日過ごすより、皆で楽しくご飯たべてくれるほうが嬉しい」

「ジロくん…!」

「例えそれが可愛い子たちを揃えての3対3の合コンだとしても」

「うっ…」

「なーんてね。本当、怒ってないから。そんな気無いんでしょ?ならいくらでも、大勢でご飯食べにいって」

「……ハイ」

「ちなみに忍足の彼女は、オレと同じくらいの身長だから、女の子にしてはちょっと高めかな」

「……」

「明るいふわふわの髪で、肩よりちょい短めのショートボブ」

「……」

「天パ同盟組んでんの。オレもそうだけど、忍足の彼女も天パでくるくるしてんだよね」

「…ん?」

「雰囲気もね、ぽわ〜んとしてて可愛い〜んだよ」

「笑顔が似合う、とか?」

「そうそう。よく笑うから、表情豊かなんだよねぇ」

「ついでにチョコレートが好きだったり?」

「チョコは万人が好きなんだC」

「…よし、言い直そう。ポッキーが好きだったり?」

「あったりー!ミディのイチゴが好きで、絶対かばんに入ってるんだって。やっぱミディは世界一のポッキーだよね〜」

(……そういうことじゃねぇけど)

「オレにもミディくれてさ。優しい子だった」

「きっと、よく寝るんだろうな」

「う?」

「特技・昼寝じゃねぇのか?その子」

「あはは、いくら何でもオレじゃないんだし」

「だよなー(まさかだろい)」

「あ、でも、寝るのは早いって言ってた」

「…まさかの10時間睡眠か?」

「そんくらい。オレと一緒で、まじまじびっくりしたよ」

「……」

「白石なんて、『芥川クンと双子ちゃうん?』て言うしさー」

「……」

「ンなわけねーのに、忍足よりもオレの彼女って勘違いされちった」

「…だれに?」

「商店街のおじさんとか、たこ焼き屋のおにーさんとか。雰囲気?がちょっと似てるみたいで、『兄妹ですか?』とか『可愛いカップル』とか、あちこちで声かけられちゃって」

「……」

「忍足ブスっとしてるしさー、まじまじ面白かった」

「……そうか」

「彼女だ〜い好きなんだよ。だからな〜んの心配もねぇし」

「よし、忍足は絶対に誘うな」

「へ?」

「アイツが彼女と一緒にいるときならいいけど、ピンの忍足と絶対会うな」

「なんで?」

「何でも」

「?ひとまず財前と千歳に聞いてみるけど」




(なんだよその女版ジロくんみたいな子は。
忍足のヤツ……ありえねぇだろい。
けど、ちょっと見てみたいな、その子)




「ま、じゃあ、この話はこれで終わりね。仁王との旅行は、あと何人か誘うってことでOK?」

「……オッケー」

「じゃ、ばいばい。また今度」

「はい?」

「もうすぐ時間。丸井くんちの最寄駅の居酒屋でしょ?」

「…あぁ、赤也たち?」

「行ってらっしゃい」

「………行きたくな〜い」

「何言ってンの」

「久々のジロくんとイチャイチャしたい」

「ここ帰ってきてもいいから」

「…終電終わっちゃったらここまで戻ってこれない」

「終電で来ればいいでしょうが」

「アイツらとの飲み、いっつも25時近くになるからだいたい帰れねぇもん」

「じゃあ自分の部屋に帰りなよ。せっかく丸井くんちの近くの店なんだし」

「……冷たい」

「どこが。ここ来るなら、丸井くんが飲み会切り上げて終電間に合うように電車乗ればいいっしょ」

「……」

「なに。オレなんか変なこと言ってる?」

「……」

「ちょっと」

「…行きたくな〜い」

「あのねぇ」

「……」

「本当に行きたくないの?」

「……皆には会いたいけど、ジロくんともいたい」

「…はぁ」

「ジロくんも飲み会―」

「行かないから」

「……」

「立海飲みだし、行かねェよ」

「……ちぇ」

「はいはい。ほら、立った立った」

「くっそ」

「また明日来ればいいC〜」

「明日、休み?」

「うん。部屋でのんびりしてる」

「……」

「来るならメールちょうだい。特大ポテトチップス買っとく」

「……俺が買ってきマス」

「うん、お願いね」

「あー…」

「うん?」

「あのさぁ。ジロくん、俺んち来ない?」

「は?」

「今日、俺んちで寝て?」

「丸井くん飲み会でいないのに?」

「部屋に戻ってジロくんがいれば、ここまで来なくていいし、終電も気にせず飲める」

「おい。本気で言ってる?それ」

「わりと」

「丸井くんが終電気にせず飲めて、解散後は自分の部屋にすぐ戻ってイチャイチャしたいからオレに丸井くんの部屋で待機してろって?」

「そう言うと俺がかなり勝手な男みてぇじゃんか」

「その通りだと思うんだけど」

「でも、ゲームは俺んちでもできるし、明日ものんびりするならここでも俺んとこでも、どっちでもいいだろい」

「……」

「だめ?」

「……」

「お願い!」

「……」

「……」




「明日の朝、チョココロネ食べたい」

「え、チョココロネ?」




「丸井くんがさっき食べちゃったヤツ」

「駅前のベーカリーの?」

「限定品」

「いや、確かに買ってくるって言ったけど、でももう売り切れてるだろ?」

「朝一に行けば買える」

「駅前っつっても、ここの最寄駅―」

「そう。オレんちの近所のパン屋さん。ちなみに7時半開店」

「……」

「チョココロネは10時には売り切れる」

「……朝、俺んちから電車乗ってパン買ってこいって?」

「そこまでするなら、丸井くんち行く」

「……」

「じゃなきゃ丸井くんち行かない。明日、自分でチョココロネ買ってくるC」





「……」

「……」

「……」

「……」




「…………わかった」

「…?」






「パン買ってきてやらぁ!」

「お、まじ?」

「朝まで飲んで、そのまま電車のってジロくんとこの駅まで行って、パン屋突撃してやる!」

「…朝まで飲むの?」

「そうすりゃ確実に忘れないし、パン屋いけるしな」

「………それならオレ、ますます丸井くんち行く意味ないような」

「よっし、じゃ、移動すっぞー!}

「ちょっと。聞いてる?」

「ほら、支度して」

「あのさー、朝パン買いに電車でオレんちの近所まで来るなら、自分ちで待ってたいんだけど」

「よーし、窓閉めた。テレビ消した。部屋はオッケー。財布もったか?着替えは俺んちあるから問題ないとして。よし、出るぞー」

「……聞いてねぇし」





―結果的に、二人は電車で移動し駅でわかれました。
丸井くんは居酒屋へ、ジロくんは丸井くん家へ。
朝まで飲んでいたのかは割愛しますが、丸井くんのマンションの一室で、夜中ず〜っとゲームしていたジロくんは、とっとと自分ちに帰りたいと思いながらも、一応は丸井くんの希望をかなえてあげました。
丸井くんのベッドで就寝し、起きたら隣に丸井くんが寝ていて、ローテーブルにはチョココロネがあったそうな。








ちなみに(後日)


「なぁ。あの写真、どこから入手したんだ?」

「あぁ、合コンのヤツ?幹事から」

「幹事っつーと、千石?」

「女の子のほう」

「は?」

「幹事の子、幼稚舎から高等部まで氷帝なんだよね」

「ってことは…」

「幼馴染」

「!!」

「『アンタの彼氏、浮気中』ってメッセージが来てさ」

「う、うわき…」

「二次会で帰ったっしょ、その子」

「…うん」

「その後はどうなったかわかんないって言うから、千石に聞いてみたら事細かくメールくれて」

「……あんにゃろう」

「ん?どうしたの。何かまずいことでも?」

「滅相もございません」




―そういう事情でした。








(終わり)   >>目次

************************
丸井くん、ハッピィバースデイ!

プリガムレッド部屋(短編部屋)のブンジロ、おバカ会話文のノリで、丸井くん誕生話・会話文でした。
誕生話というか、誕生日を過ぎた日の話ですが。

いや〜やっぱり会話文はどんどんずれていきます。
特に終わりまで決めて書いてはいないものの、それでも話題がみるみるうちにズレていくので、延々と終わらない。

2週間近くUPが遅くなってしまって。
丸井クン、ゴミンネ。


出雲へはどうしたかというと、財前も千歳もNGで、面白がった仁王が忍足を呼んだんだか呼んでないんだか。
後日、出雲大社=縁結び、と聞いた丸井くん、大激怒したそうです。


2014.5.3(4/20の丸井誕から2週間かかっちゃったー!)


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