金ちゃんHappy BirthDay!2014






『なぁ、春休み終わったらホンマに四天宝寺におらんの?』

「当たり前やん。ピッカピカの新入生やで?
四天宝寺と違てバッリバリの進学校やからオモロイやつは少ないかもしれんけど、笑かしたるわ」

『せやけど財前おらんやん。謙也のこと突っ込む相方、探さなあかんやろ』

「アホ。誰が財前のパートナーやねん。まぁ、気の合う友達の一人や二人、すぐに見つけるっちゅう話や。
それに、しばらくは白石で我慢しといたる」

『白石はお笑い、アカンで。おもろないし。
小春も、白石は『シュール路線』言うとったやん』

「そこを俺の腕でカバーするっちゅうワケや。
顔がよくてテニスも出来て頭もいい完璧な男て女子はキャーキャー言うけどな、ちゃうねん」

『オトコは笑いがとれんと、完璧にはなれんで』

「せや、金太郎。わかっとるやん。
お前もこれからの全中で、笑いもテニスも一番目指さなアカン」

『よっしゃあ、一番になったるわ!!』

「その心意気、忘れるんやないで!財前にもよー言って聞かせたれ!!」


@4月1日 11時 待ち合わせの駅前で



「金太郎はん。待たせてすまんな」

『ええでー、まだ皆きてへんし。謙也だけおってんけど、トイレいったわー。先に行ったほうがええんかなぁ』

「まだ3人なら、もう少し待ってみよか」

『わかったー。ハラ減ったなー』

「ファミレス行くんやったか?」

『小春がイチゴのデザート食いたいんやて。けど肉がええ言うたら、ここす?になってん』

「ハンバーグか。久しぶりやな」

『う〜ん、ハンバーグもええけどステーキも食いたいし、ピザも、麺も……あぁぁああ、全部食いたいー!!』

「一つずつ選べばええ」

『そんなにお小遣いあれへんもん。今日、1000円やし』

「今日はそんな心配せんでええ思うけどな」

『えー、なんでや?誰か宝くじでもあてたんかー!?
謙也ーなワケあれへんな。財前も運なさそうやし。小春とユウジはー、う〜ん、やっぱ白石?千歳かなぁ』

「そうやなくて……金太郎はん、誕生日、おめでとう」

『!』


@4月1日 11時5分 待ち合わせの駅前で



「あ〜ら金太郎はん、一番最初なんて珍しいなぁ」
「他のヤツらはどうしてん?お前だけなんか?」

『謙也と銀がおるで。謙也はトイレで、銀は家に電話しに行った。
別にここでかければええのになー。あっちの木のところで話てるわ』

「ふふ。銀さんやもん。心遣いはバッチリ、さすがやわぁ」
「…何ウットリした目で見とんねん。どつくで」
「いや〜ん、ユウくん。冗談やないの〜」

『なー、小春もユウジも、「新入生」になるねんなー。
春休み終わって学校はじまったら、ホンマにホンマにおらんの?』

「金太郎さん…」
「……」

『まだ想像つかん。部活引退しても、しょっちゅう顔出してたし。
けど、それも全部無くなる言うことやろ?仕方ないことやし受け止めて送り出さなアカンて財前に何回も言われてんけど、実感でけへん…』

「俺らも高校は殆どバラバラや。一からスタートはお前らと一緒やで」
「…そうねぇ、私とユウくんも違う高校やし」
「俺、めっちゃ頑張って、今までの人生で一番勉強したけど、やっぱり小春と同じとこは行けんかった…」
「アタシの高校、四天宝寺出身者は一人だけやから」

『ユウジはアホやったんかー?』

「どアホ!ちゃうわッ!!お前、シュンとしてたんちゃうんかい!」
「ユウくんは今回、めっちゃ勉強頑張ってんで〜。惚れ直したわ」

『高校って楽しいん?』

「まだ入学前や!あとちょっと春休みやっちゅうねん」
「はぁ〜、ステキなオトコがおればええけど。ガリ勉ばっかりは勘弁やなぁ」
「小春!堂々と浮気宣言すな!」
「ふふふ。楽しみやわぁ」


@4月1日 11時10分 待ち合わせの駅前で



「…どーも」
「アホ!何遅れとんねん。30分の遅刻やで」
「まだ注文前?」
「お店入ったばかりだから、大丈夫♪はい、光きゅん。メニュー」
「聞けや!!」
「…謙也さん、耳元で喚かんといてください。ウルサイで」
「あぁ!?遅刻してその言い草は何やねん!」
「注文前。セーフやろ」
「そういう問題ちゃうやんけ!」

『なー、注文してええんかー?』

「決まったなら、店員呼ぶで。ええか?」
「銀さん、おっけいよ〜ん。ユウくんも決めたやろ?」
「バッチリ。いつ呼んでくれてもええで」

「お前は後輩なんやし、一番最初に駅の待ち合わせ場所にいるべきちゃうんかい!」
「先輩とか後輩とか、どうでもええですやん」
「だぁー!なんやねん!!」
「遠山が最初におってんから、それで『後輩』枠はクリアってことでチャラですわ」
「アホ!駅に着いたんは俺とほぼ同時刻や」
「…なんでそんなに早いん?待ち合わせ11時やろ」
「5分前行動て教わったやろ。守れっちゅうねん」
「遠山、10時半に駅ついたてメールきたし。同時刻ってことは、謙也さんもそんくらいやろ」
「せやで!」
「5分前ちゃうやん」

『えっとなぁ、ハンバーグステーキと、ステーキとー』

―でしたら『ハンバーグ&カットステーキ』のメニューがー

『えぇ〜?量が少ないやん。別個でハンバーグとステーキにしてや!
あとー、ミートソースとバター醤油すぱげってぃ、ドリアとジャンバラヤ、コーンスープにミックスピザ!
カリカリポテトとからあげ、たんたん麺。あ、チーズハンバーグも追加してや。
ご飯大盛りで!』

「遠山、お前どんだけ食うねん」
「光きゅ〜ん、今日はええやないの」
「麺3つてどういうことやねん。しかもご飯系も2つ。炭水化物とりすぎや」
「金太郎はんにしては少ない方やな」
「せやけど石田先輩、限度言うモンが……しかも、野菜とのバランスも悪いし」
「財前。お前、白石みたいになってんで。何だかんだ言うて、立派に白石のあとを継いでんねやな〜」
「ユウくん、ええこと言うやないの」
「……ユウジ先輩、俺にめっちゃ失礼なこと言うてます」
「はっはっは、白石2号か!」
「あんたは黙っとれや」
「おいコラ財前。先輩を何や思とんねん!?」
「…いいから。ったく…頼むから黙っててや」
「俺に『黙れ』言うことは、『止まれ』言うのと一緒やで!ノースピード、ノーラ」
「ウルサイ言うとるやん」

『えへへ〜、皆おおきにー!ほんまに奢ってくれんねやな?』

「当然や〜ん、金太郎さんの誕生日やねんから」
「一人ではこの量おごるんはキツイけど、小春もおるしな!」
「おー、食え食え。好きなだけ食ったらええねん!支払い足りんでも、元祖保護者がおるしな!」
「…そういやその元祖保護者、なんでまだ来て無いんスか?」
「駅で金太郎はんと合流する少し前にメールがきてたな。
午前中病院によってから来る言うて。鼻がむずむずするらしいで」
「花粉症言うことですか?あの人、そういうの平気やったのに」
「今年の花粉は強い言うことやな」
「そんなモンっすかね」

『白石はまだ来ないんかー?千歳はどないしてん??』

「「「「「あ」」」」」


@4月1日12時 ここす?にて



「なんでベンチに座っとんねん」
「休憩しとったら、12時過ぎてたんやね」
「のんきやなぁ。金太郎、怒るで」
「晴れて暖かくて、春の風が気持ちよかった」
「聞いとんかい」
「金ちゃんには謝るけん。けど、金ちゃんならわかってくれっとよ」
「…金太郎、さびしがってるて言うとった」
「財前?」
「何回も聞いてくるんやと。春休み終わったら俺らがおらんのかーて」
「いずれ金ちゃんも卒業んとき、通る道やけん。仕方なか」
「甘やかしたり突き放したり……千歳はようわからんな」
「白石は甘やかしっぱなし、やね」
「……別に、俺は」
「自覚なかと?皆、わかっとうよ」
「……」
「金ちゃん以上に、白石のほうが寂しいと思っとっと」
「とっと……って、何でやねん!」
「あぁ、ここやね、ここす?」
「……入るで」


@4月1日12時15分 ここす?入り口にて




『なー。春休みもう終わってまうなぁ』

「せやなぁ」

『学校始まったら財前が部長なんかー?』

「今も部長。夏後から、四天宝寺テニス部の部長は財前や」

『白石とはもう会えへんのかー?』

「アホ。なんてやねん。家、そんなに遠ないし、金ちゃんがいきつけのタコヤキ屋も、アイス屋も、お好み屋も、俺ん家の近所やで」

『ほんならお好みのおばちゃんの店で、会えるん?』

「会おう思たら、どこでも会えるんやで。気持ちの問題や」

『けど、しんにゅーせーで忙しくなんねやろ?』

「金太郎と遊ぶ時間くらい、どうとでもなるし、遠慮せんと連絡寄越せばええねん」

『遠慮はせぇへんけど、誘っても忙しいなら遊べんしー。せやったら、声かけるんもー』

「…寂しいこと言わんとって。お願いやから、声かけてや」

『ええんか?謙也は新しい相方見つけるから忙しい言うとったで。
白石はアカンねやって!』

「どういう意味やねん」

『笑いのセンスがイマイチやから、パートナーは組まれへん!って』

「ほ〜。ほなら新学期、あえて謙也のために声かけんと、たとえ同じクラスになっても知らん顔したろか」

『あはは!泣くんちゃう?ヘタレやし』

「金ちゃん。ヘタレなんて言葉、誰に習たん?」

『?財前が毎回毎回、謙也のこと言う度に、ヘタレて前につけてんで』

「ヘタレ謙也とか、そういうん?」

『最近は名前も呼ばんし。
「ヘタレ」しか言わんで、「あのヘタレが深夜電話してきてうざい」とか、「ヘタレのおかげで寝不足」て言うてるわー』

「……仲良しやな、あの二人」

『なー!
ここす?でもずーっと言い合って、楽しそうやったし』

「謙也も久しぶりで、生き生きしとった」

『財前も一緒やで。やっぱり謙也おらんと、財前はアカンなー』

「それ財前に言うたら、シバかれんで」

『本当のことやん』

「本人に直接言わんほうがいい本当のことも、あんねん」

『なんや、ヘソ曲げるんかー?』

「それも言うたらアカン。……いや、言うてもええけど、あんまいじりすぎると、仏頂面で静かにずーっと怒るから、気ぃつけや」

『あぁ、いんしつ?で根に持つ言うヤツか』

「…誰がお前にそんな単語教えたんや?」

『謙也がさっきここす?で言うとった。財前はいんしつでねに持つんやて』

「そんで、財前が黙りこくって、焦った謙也がマシンガントークで話しかけて機嫌直したー言うんやろ?」

『あれぇ?あんとき白石おった?小春の『イケメンな友だち100人できるかな〜』の歌んときに店来たんちゃうかったっけ?』

「容易に想像できる結末やで」

『ふ〜ん』




「なぁ、金ちゃん」
「んー?」
「俺ら、一足先に卒業して、四天宝寺を去る……って、卒業ん時にも言うたな」
「……」
「疎遠になるわけちゃうし、そりゃ新学期はじまればバタバタして忙しいかもしれんけど」
「…わかる。ワイも去年、中学あがったばっかりのときは、忙しくはなかったけど、バタバタしとった」
「そういえば金ちゃんも、一度経験しとるんやったな」
「一度ちゃうで!小学校んときも1年生はあったから、2回や!」
「…そうやな」
「あんなぁ。ワイもわかっとんねん」
「……」
「白石たちが卒業して、別々の高校行って。新しい友達も出来て、そいつらと遊ぶねん。中学の後輩と遊ぶことも無くなるんやで」
「そんなことっ」
「中学校はいって新しい友達ぎょーさんできた。小学校より中学の友達と遊ぶことのほうが多いし。経験者やねんから、ワイもちゃんとわかってる」
「金ちゃん…」




「けどっ、さび、しいッ…の、は……しょうがない、ねやろ?」

「金太郎…」

「ワイ……わかってる。わかってるけど、やっぱりユウジも、小春も、謙也、銀、千歳っ……白石に、会えんくなるの、イヤヤ」

「…会おうと思えば会える。何も遠く離れるワケやあれへん。お互いが会いたい思えば、ずっと繋がっていられるんよ?」

「…っ…つなが、って…?」

「金ちゃんが俺に会いたいって思ってくれれば、会える。俺も会いたくなったら会いにいく。
俺らには友情に加えて、テニスいう太いつながりがあるやろ?」

「また、打って…っ…、ええの?打って、くれるん??」

「当たり前。アホやなぁ…ほら、涙ふき。男が簡単に泣いたらアカンで」

「財…前、も、…泣いとっ…た」

「あぁ。卒業式んときか?はは。せやな。ずっと下向いとったけど、目ぇが赤かったしな」

「…っ」

「ほーら、顔あげて。俺は、簡単に約束破る男ちゃうやろ?」

「…」

「有限実行やで。たまに不言実行なときもあるけどな」

「…ふげん?ゆうげん??」

「後で財前に意味聞いとき」

「ん、わかった」

「約束は必ず守る、いうことや」

「…白石は、そうやな」

「一応、他の連中も義理堅いヤツらやで。銀も、小春も、ユウジも、一応謙也も。
千歳は―」

「千歳は約束守らんわけやないねん。ただ、忘れてまうねん!仕方ないねん!!」



「…その千歳に対する信頼感は何なんやろうな

とにかく。
俺が、お前に会いたいし、これからも遊びたい。
テニスもいっぱいしたいねん。
せやから―

春休みあけて金ちゃん中学2年になって、俺ら高校1年で学校はなれても。
今日みたいに一緒にボーリングして、テニスして、いっぱい遊んでくれるか?」


「当たり前やん!」


「そう、『当たり前』や。
四天宝寺テニス部は強い絆でつながっとんねん。
俺も謙也も、高校でもテニス続ける。

また、やろうな?」


「…やる。
ワイ、ずっとテニスやり続ける!


テニスが皆の絆っちゅうことやな?!」




「そういうことや」




@4月1日 18時



金ちゃんの中学入学後、初めての誕生日。
大好きな先輩たちに囲まれて、楽しくて、嬉しくて、いっぱい食べてたくさん遊んだ。
けれどもどこかほろ苦くて、さびしくて。
そんな、中学二年生になる直前の春のこと。





(終わり)   >>目次

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金ちゃんハッピィバースデイ!

ブンジロ冬休み一週間を終えて気づけば4/1でした。
あ、金ちゃんの誕生日や〜と思っただけで特に何かする予定は無かったのですが。

四天宝寺も立海並みに取り扱っていこうと思いまして。
ショートショートな会話文で各キャラとの会話を交わすだけのカジュアルなイメージでしたが。
最後、何だろう、これ。

金ちゃんが泣くて、どないやのん…

わかりませ―


…!
ジロくん要素が無い!! >書き終えて気づく痛恨のミス。

ジロ受けオンリーサイトでジロ受けの書き手として、ありえへんっちゅう話や!


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