中学3年・宍戸&向日の2月14日



「やっぱジローが一番だったなー」


練習を終えて肩を並べ下校する道すがら、各々普段の通学バッグのほかに紙袋をさげており、向日の視線は右隣を歩く幼馴染の袋へ注がれている。

氷帝学園中等部3年、テニス部。
部活は引退した身とはいえエスカレーター式なので、俗に言う『受験』とは縁遠く、部活は出たい日に参加するという気ままな三年生だ。
テニス部一、いや、学園で一番この日にプレゼントを贈られるのは例年通り元部長かつ元生徒会長で、トラック数台が校門の前につけるという異常事態も3年目となれば半ば『恒例行事』として氷帝学園の2月14日風物詩ともいえよう。

規格外な御仁、もといアトベサマはさておき。

校内チョコレート獲得ランキングに名を連ねる男子生徒の中でも、上位に入り込んでくるテニス部の面々は氷帝学園が誇る華である。
他に1000馬身ほど差をつけ圧倒的な1位に君臨するアノ人は特別だとしても、それでも全国区の部で、なおかつ昨年度夏のレギュラーは可愛い系、クール系、不思議系、ヤンチャ系、ワンコ系、ツンデレ系、とあらゆるタイプの美形が揃ってると近隣他校の女生徒らにもファンがいるほど、強さだけでなく整った容姿でも有名。


さて、ここにその中の3人、可愛い系と不思議系、そしてヤンチャ系が仲良くお喋りしながら暗くなった冬の道を歩いている。


「えぇ〜?岳人もいっぱいもらったっしょ」

「なんか、お前の方が多い気がする」

「そう?何個か食べちゃったんじゃないの?オレ、貰ったヤツまだ食ってねぇし」

「ちゃんとしたのは食ってねぇ。ブラックサ○ダーとダースだけ」

「それ、バレンタインチョコなの?普段もらうお菓子じゃん」

「うるせー!これもバレンタインなの!」

「ふ〜ん」

「クソ、自分はちゃんとラッピングされたチョコばっかだからってよ」


確かに向日の紙袋の大多数は板チョコ、一口サイズのコンビニで売っているアレコレ、コ○ラのマーチ、といったおよそバレンタインには関係のない、単なるチョコ菓子が多数入っているが、僅かながら綺麗に包装されたものもある。
ただ、数は凄いのでそれだけこういうイベントで『渡しやすい人』という認識がされているからだろう。
本命なのか、はたまた本命だけと正直に本命と言えない女の子たちからの、照れ隠しゆえの板チョコなのか。
真実はカジュアルなお菓子をプレゼントした彼女たちにしかわらかないけれど、どんなささいな、たとえチロル一つでも、『まじ?くれんの?ありがとー!』とこの日ばかりは満面の笑顔でお礼を言ってくれるのが『3年D組の向日くん』。
…ということで、一説によるとチョコレートを渡す相手も気になる人もいないけれど、街中に溢れる赤やピンクの浮かれ気分と、女の子たちのわくわく・どきどき感に交じりたいという女生徒にとってみれば、知らない生徒でも笑顔で『サンキュ!』と受け取ってくれる『3年D組の向日くん』は絶好の相手なんだとか。


「亮だってチョコっていうか、お菓子ばっかじゃねーの?」

「あん?なんだ」

「どれ、見せてみ」

「あ、おい、岳人」

「……なんで?」


左隣を歩く宍戸の紙袋を覗き込み、手を突っ込んで中身をチェックしてみると、予想外にちゃんとラッピングされている小箱ばかりで、向日のような板チョコやチョコ菓子は一つも見当たらない。


「宍戸はね〜、後輩のコからモテるんだC」

「ばっ、そ、そんなんじゃねぇよ」

「クソクソ、亮め…」


同じく昨年夏のテニス部レギュラー、ヤンチャ系な宍戸亮。
スポ根漫画の主人公のような、年相応で熱いタイプかつクラスメートとバカやってる少年のため、同級生の女子受けは他メンバーと比べるとそうでもない。
テニス部後輩に懐かれ、クラスメート兼幼馴染の世話を何だかんだしている面倒見のよさ、さらには他の同級生男子にも『アイツ、いいヤツ』と言わしめるほどの性格の良さで、どちらかといえば密やかに宍戸を想う女子が一人、二人……といったところか。
それが後輩ともなればなおさら顕著で、各クラス一人以上はいるテニス部の口から随所に出てくる『宍戸先輩』トークと、2年一有名な生徒が普段から『宍戸さん、宍戸さん!』と慕っているためか、テニス部を知らなくても『シシドサン』という名は聞いたことのある氷帝学園2年女子は多い。
そこからの興味で、『シシドサン』と『シシドセンパイ』を実際に知り、惹かれていく後輩女子たちは『本気の想い』を今日この日にぶつけようと昼休み毎に3年C組へ訪れた ― その結果が、現在の宍戸が手にしている紙袋の中身の大半である。


「ンなの義理だろ、全部」

「そんなワケないじゃん。後輩のコたち、すんごく顔真っ赤にして渡しにきてたっしょ」

「ばか、ジロー!」

「…なんだよ、亮のヤツ、全部本気チョコ?!」

「3年の教室にさー、1.2年のコたちが勇気ふりしぼって来るんだよ〜?かっわいかったC」

「おまっ、何で知ってんだよ。寝てただろーが!」

「隣の委員ちょーが毎回呟いてんの。『また宍戸』『また宍戸』って」


芥川の隣の席に座るクラス委員長(男子)がどうやらカウントしていたらしく、休み時間に教室の入り口で『あの、宍戸先輩は…』なる後輩の呼び出しがかかるたびに、『また宍戸』なるやっかみか嫉妬か、はたまた単に面白がっているのか不明な呟きが出て、それを毎回机に突っ伏している芥川の耳が拾っていた。
クラスの女子らのからかいに『うるせー』などと返しつつ、後輩の女の子にはぶっきらぼうながらも優しく対応していた『教室入り口の宍戸』を薄開きの目でぼや〜んと見てはいたものの、詳細は隣の委員長の実況中継で把握したようで、後輩にモテる幼馴染だともう一人の幼馴染に告げる。


「俺の話はいいんだよ。ていうかジロー、お前だ!」

「う?オレ、宍戸みたいなモテ話、ないよ〜?」

「そうだぞジロー。その紙袋何だよ。結局一番貰ってんじゃねーか」

「岳人の方がわっさわっさしてるし、数多いんじゃない?」

「俺はチロルとか、小せーのが多いの!って、言わせんじゃねぇ!」

「えぇ〜?」


氷帝学園中等部3年、テニス部においてはかの跡部サマの二番手をつとめたシングルスプレイヤー、『3年C組の芥川くん』。
いわく、華のテニス部の不思議系は、『ふわふわ可愛い癒し系』、『元気いっぱいな明るい子』、『起きると意外と男らしくて力強い』、『天真爛漫な笑顔に癒される。何でもしてあげたくなっちゃう』などと、睡眠時と覚醒時、さらに起きていてもボケーっとしている時、元気いっぱいにコートを駆け回っている時など、シーンにおいての印象の違いと彼本人のキャラクターの二面性に、氷帝学園女生徒たちには最終的に『不思議系』の一言で称されている。
今日という日も基本的に教室で寝ていたため特別に誰かの呼び出しに応じてはおらず、昼休みも持参の弁当をつっついており教室を出ていない。
同じクラスの宍戸も芥川がチョコレートを実際に貰っているシーンを見ていないものの、帰る頃には紙袋を複数抱えていたため、いったいいつどこで貰っていたのか不思議に思ったほど。
普段は差し入れとして寝ている芥川のそばにお菓子をそっと置かれたり、カバンに突っ込まれたりしていることもあるが、本日2月14日は本人『寒いから』と外で寝こけたりすることもなくじっと教室にいた。さらにはクラスメート以外が教室に入ってきて芥川のカバンに何かを突っ込んでいるところも宍戸含めクラスメートの誰も見ていない。
となると?


「お前、いつそんなにチョコ貰ったんだ?」

「んー?」

「一日中教室から出てなかっただろ」

「は?なにそれ。呼び出しとか、そういうんじゃねぇの?」

「コイツ一回も呼びだされて無ぇし。てかジローに用があったヤツもいたけど、コイツが全然起きないから諦めて帰ってったしな…」

「ったく、もったいねー」

「?別に、呼び出しとかないよ?オレ、ずっと教室いたもん」

「だぁから、起きなかっただけだろーが」

「えぇ〜?起きてたよ〜。だって宍戸の呼び出し、委員チョーとウォッチしてたもん」

「ンなの見てんじゃねぇよ!」

「亮の呼び出しはいいけどよ……って、結局おまえ、誰にどこでもらってそんな紙袋いくつもぶら下げてんだ」

「ん?これ?」

「「それ!!」」


本日の芥川の格好はというと。
制服のうえに厚手のコート、そしていつものリュック(ラケットはささっていない)。
普段手ぶらな両手には、紙袋が一つ、二つ、三つ……その何れも、明らかにバレンタインチョコとわかるプレゼントがぎっしり。
中には高級ショコラティエのロゴが印字されている箱もあり、馴染みの大衆菓子が大半を占めている向日には羨ましい限りだ。
だが、芥川がチョコレートを受け取った場所を聞くと、両幼馴染は事情や背景を聞かずとも何となくわかってしまった。


「さっき教室出る前にねー、生徒会の子が持ってきてくれた」

「「は?生徒会?」」

「ホームルーム終わって宍戸が教員室行ってる間、オレ教室で待ってたじゃん?その時」

「え、そん時か?」

「うん。2年のコ、かな?跡部ん時に書記やってた子いたっしょ」

「生徒会の書記って、鳳―じゃなくて、日吉のクラスの女子だよな?確か」

「ひよのクラスメートなの?そこは知らねぇけど、書記のコが紙袋持ってきてくれて、オレのだって」

「「……」」


生徒会
芥川のチョコレート3袋
すべて贈り主、つまりは出所がはっきりしているもの
ほぼ既製品でチョコレートのブランドがわかるもの
厳しい生徒会のチェックを乗り越えた芥川あてのチョコレート


そう、つまり。


「なぁ亮。跡部、生徒会引退したんじゃねぇのかよ」

「生徒会が毎年跡部のチョコ捌いてンのは知ってっけど、ついにジローのまでやりだしたのか」

「侑士は―いや、アイツ直接貰ってンのみたしなぁ。となると、生徒会の仕分けが入ったのって、跡部とジロー?」

「ジローのは……俺ももう、わかんねぇよ」

「だな…」


理由は不明ながら、どうやら今年の芥川宛のチョコレートは全て生徒会で受付を行い、学園内の女生徒たちは『芥川くんあて』『芥川先輩あて』のバレンタインプレゼントを生徒会室へ持っていき、そこに置かれたBOX『3年C組芥川慈郎宛』におさめたらしい。
ちなみにその隣は『3年A組跡部景吾宛』とのこと。


「跡部も…何やってんだろうな」

「岳人……俺に聞くな。知らねぇ」

「はぁ〜…で、何か?ジロー。お前、生徒会にチョコ管理してもらったってか」

「知らないよ〜。ただ、オレあてのチョコレートってまとめて渡されただけだもん」


どのチョコレートも包装紙に生徒会の捺印がされているらしく、印のあるものは生徒会チェック済みなのだとか。
直、万が一生徒会印の無いものがあれば、すぐに開けずに破棄するか、出来れば生徒会に持ってきてチェックを受けて欲しいと書記のコに言われたらしい。


「…いったいどこの誰がコイツにそんな得体の知れない危ねーモン渡すっつーんだよ」

「跡部も、何考えてんだろうな」

「亮……俺に聞くな!跡部の考えなんて理解できるわけねー」


当の本人はホクホクした笑顔で、ぶらさげている紙袋の中身をのぞきながら、いくつか食べるのが楽しみなチョコレートもあるのだと笑った。
ただ、その『楽しみなチョコレート』は純粋に芥川宛、というよりも少し違うようで。


「コレとコレね〜、跡部のおすすめチョコなんだって」

「「おすすめ?跡部の??」」

「うん。青い箱がフランスので、赤いヤツがスペイン?金のはアメリカで、跡部的に間違いないヤツらしーよ」

「高級チョコってか。つーかジロー、そんな高そうなの貰ったのか?」

「クソ、ジローばっかり…」

「えっとねぇ、高いヤツは跡部のヤツ」

「「は?」」

「高級チョコはね〜、生徒会のコたち?が跡部にプレゼントしたバレンタイン」

「「何でそれをお前が持ってンだよ」」


また『いつものように』跡部へオネダリしたのか、はたまた『いつものように』跡部が甘やかし全開になったのか。
そのどちらかに違いないと確信する二人の問いに、きょとんとした眼で『シッツレーな。跡部宛だけどオレにくれるって言ったモン』と頬をぷーっと膨らませた。


「書記のコがね、紙袋持ってきてくれたときに、生徒会の皆からってくれたんだよ」

「跡部宛じゃねぇのか」

「がぁーくと!最後まで聞いて。生徒会のコたちが跡部に『日ごろのお礼』で渡したら、オレにやっとけって跡部に言われたんだって」

「やっぱ跡部宛じゃねぇか」

「宍戸も聞けってば。跡部が毎回チョコ貰わないの知ってるから、『跡部とテニス部の皆さんへ』ってくれたんだよ〜」


毎年ありえないくらいチョコレートを貰う氷帝学園の王様は、出所の確かなものをすべて他所に寄付しており、顔見知りや比較的仲の良い女生徒、クラスメート、そして生徒会仲間からのバレンタインプレゼントだとしても自らの口に運ぶことは稀で、ほぼ『寄付』にまわる。
生徒会の面々も元会長本人が受け取ってくれたとしても最終的に別のところへ行き着くことを過去の教訓から学び、それでも今年こそは『寄付』ではなく最後まで本人の手元に残って欲しい。

憧れ、恋愛、友情、同志。

生徒会といえども個々、元会長に抱く想いは異なるだろうが、共通して『受け取って食べて欲しい』ことには変わりなく。
元会長が受け取ってくれて、さらに『寄付』にまわらずにすむには…?

そんな時に元会長から頼まれた、『芥川慈郎BOX』の設置。
跡部景吾あてチョコレートのチェックと受け取りは例年ながらも、今年はC組の芥川慈郎のものも選別して欲しいという元会長からの珍しいお願い。
(注:指示や決定事項はしょっちゅうだが、生徒会面々も『お願い』はされたことがないゆえ)


―快諾した際の跡部元会長の優雅な微笑みがたまらなく美しかった

後々に、生徒会面々はそのシーンを思い出しウットリと語った。
…のだとか。


結局はある一人が試しに跡部へチョコレートを渡す際に『お世話になった跡部会長へ。部活の皆さんと宜しければ召し上がってください』と添えてみたところ、元会長的に『部活の皆さん』が引っかかったようで、寄付にまわる『跡部景吾宛BOX』に置くよう指示はなされなかった。
自身あてのチョコレートであれば即座に『寄付BOX』と言い放つところだが、あくまで受け取ったチョコレートは跡部景吾個人ではなく『…と、テニス部の皆さん』宛になってしまったので、自身の一存で寄付にまわすのは……と思いとどまったらしい。


「えへへ、うれし〜。チョコ、大好きだしー」

((……それだな))


チョコレートが大好きなテニス部の同級生。

芥川がチョコレートをつまむ際、口にいれた瞬間から美味しそうに、幸せそうに満面の笑顔で喜ぶシーンはテニス部部室や教室ではお馴染みの光景だし、レギュラー中心に彼に近い部員の間ではよく知られたこと。


結果、『テニス部の皆さん』は見事にスルーされ、跡部の中では『跡部元会長とテニス部の芥川さんへ』と勝手に変換されたらしい。


「それに、いくらオレだって全部一人で食べちゃうなんてしないC〜。跡部はいいって言ってたけどさー」

「「は?」」

「明日、跡部んち行くんだ〜。生徒会のコたちに貰ったやつと、他にいくつか食べ比べするんだよね〜」

「……あっそ。ってかジロー、その高いやつ『テニス部の皆さん』あてじゃねーのかよ」

「よくわかんない。書記のコは『テニス部の皆さんで』って言ってたけど、跡部のメールだと、オレにくれるって。岳人も食べたい?」

「当たり前!っつーか『テニス部の皆さん』なんだから、俺だって権利あるッ!」

「おい、岳人…」

「ウルセー。亮だって『テニス部の皆さん』なんだから、食っとけ!」

「俺は別に、どっちでも―」

「あ、じゃあ明日一緒に跡部んちいく??食べ比べする?」

「「……」」


跡部家での食べ比べは大変魅力的だし、きっと芥川が持っていく『跡部会長とテニス部の皆さんへ』な生徒会面々からの高級チョコとは別に、執事ミカエルさんの主導のもと跡部しか用意できないスペシャルなバレンタインメニューの一つや二つ、出てくるに違いない。


しかし。


「じゃ、跡部に言っとくね〜。宍戸と、がくとも、さ、ん、か、っと」


携帯をいじる芥川の手元に視線を向けながら、どうしたもんかと考える二人。
チョコレートは魅力的だが…

芥川は人によって、我侭放題、甘え放題で好き勝手するきらいがある。それはよほど彼が信頼し、好意を向けている相手に限るのだが、こと氷帝学園内だと幼馴染の宍戸・向日コンビよりも、学園のキングに対してはことさら、人目も憚らずそのように振舞うことが多々ある。

デレデレに甘やかす跡部と甘えたな芥川。

何度か苦言や注意をしてみても、結局は跡部の『あん?何が問題なんだ』でおさまってしまい、それ以上こういう件の会話が続かない。
それでも宍戸、向日ともに奮闘してみたが無駄で、他のチームメートは早々に目を瞑っており、滝の『まぁ、二人がよければいいんじゃない?被害も今のところないしね』や『…見てみぬフリをすんのが一番やねん。突っ込んだモン負けや』なる忍足に右倣えで日吉までもが続いているものだから、最近は注意することも無くなってきている。

ただ、目の前で見せられると……なんだろう。道端でイチャついて周りが見えていないラブラブカップルを殴りたい心境、とでも言おうか。


「おい、岳人。どうすんだ」

「…チョコは食いてぇけど、跡部ん家か。しかも跡部との二人っきりを邪魔するっつーのも」

「二人っきりって」

「同じようなもんだろ。バカップルの間に入りたくねぇ…」

「親ばかな父親と息子か、愛犬家と子犬だろ」

「一緒だろ?……侑士も呼ぶか」

「…だな。滝も連絡いれてみる」


バカップル、保護者と溺愛している子供、飼い主と愛玩犬はともかく、二人だけの空気をつくりラブラブオーラを振りまいているところに宍戸・向日だけで突入するのは遠慮したい。
けれども普段食べない外国産のお高いチョコレートも気になるし、芥川が青・赤・金の『テニス部の皆さんへ』の箱を譲ってくれればそれでいいのだけど、『跡部ん家で食べ比べ〜』とうきうきしているので、頼んでもきっと寄越さないだろう。


ここはやはり援軍を呼んで、跡部と芥川がラブラブしている部屋の隅にでもテーブルか何かしらスペースを作ってもらい、二人とは別に『食べ比べ』でもするかとそれぞれ携帯を取り出した。


「明日、楽しみだね〜」

「「…だなー」」





一人元気な芥川へ気の抜けた返事を返した二人は、打ち終えたメールを送信し、携帯をコートのポケットに突っ込んだ。
早めの返信を祈りつつ。





(終わり)

>>目次

*********************
宍戸さん&がっくん、ハッピーバレンタイン♪

ラストが当初の予定とかなりずれましたが。
ただ幼馴染な3人がキャッキャしながら下校するだけの話で、最後に馴染みのたこ焼屋さんによって『やっぱりチョコよりたこ焼』で落ち着く、中学生っぽい話になるはずが。
ジローくんのチョコを生徒会で管理しだしたあたりから方向がズレてしまいました。
管理って何だ…

さすがベ様が出てくるとベッタベタに甘やかすのでこんな終わりになっちゃったんだC。


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