越前リョーマ 7cases - 2013



case1 ** 越前リョーマ13歳@中学1年生 *****


もう何度目になるのかわからない、『この冬一番の寒さ』なる報道に、とりあえずは『寒い』ってことかと意識しながら、手袋とマフラー、インナーもきっちり着込んでポケットにはいくつもホッカイロを偲ばせる。
昨年まで生活していたアメリカ西海岸も、無論冬で雨天にもなるとそれなりに寒いものだが、日本の肌を刺す冷たさほどではない。
できればコタツに丸くなっていたいけれど、さすがに母のおつかいには逆らえないので仕方無い。
買い物リストをチェックしつつ、これなら駅前まで行かなくても近所のドラッグストアとスーパーで済みそうなことに安堵しながら、このまま大通りを突き進むより公園を横切る方がショートカットなので、方向を変えて階段をかけあがる。
ストリートテニスで何度か遊んだことのある高台の公園には、この寒さにも何のその。
お構いなしでプレーする学生が数人……あいにく知らない人たちばかりで、よくこのコートで打っている近隣の中学生はいないようだった。
だが、しかし。

(あ…)

コート端のベンチに、見慣れたリュックを枕に横たわる黄色いひよこ頭。

(…って、コート着てないし)

遠めにもわかる薄茶色のブレザーは、彼の中学の指定制服のもの。
防寒バッチリな自分とは違い、見るからにアウターはブレザーのみで、マフラーや手袋をしている様子も無い。
急いで駆け寄って上から覗き込んでみると、幸せそうに寝こける2コ上の他校生。

(寒くないワケ?ってか、いつからいるんだか)

むき出しの手に触れてみると、思った以上に冷たくて驚いた。
ポケットからホッカイロを二つ取り出して彼の両手に握らせ、上から身につけていた手袋をかぶせてやる。
玄関を出る際に『手袋していきなさい』と渡されたミトンに、五本指がいいと文句を言ってみたものの、今となってはこの形状の方が眠っている彼にはつけさせやすいため、その点のみ母に感謝か。

「ねぇ」

これくらいでは起きないのは承知のうえで、肩をゆすってみる……が、やはりびくともしないため、少し赤い彼の頬に両手を添えて、ぎゅーっと力を加えてみた。

「つめたっ……こんなトコで寝てたら風邪ひくし。起きてよ」

「んっ…Zzz…」


やっぱりダメか。




(起きない……あ、そうだ)

常にどこでも寝る彼を、他の氷帝生は何と言っていたか。
万年寝太郎、寝ぼけヒツジ、年中冬眠中、居眠り製造機、ジロルス…
そういえば氷帝の天才は、『眠り姫』と称していたような。

(Sleeping Beauty……なら)


起こし方は、一つしかない。


―チュッ


彼の両頬に手を添えたまま、ふわっと軽く触れるだけの『目覚めのキス』を贈る。
そのまま20cmほど離し、上から覗き込みながら彼の閉じられた瞳を見つめて1秒、5秒、10秒。
微動だにしない彼に、それならばもういっちょうとばかりに、再度顔を寄せて触れようとした瞬間、後頭部に軽く衝撃が走った。


「何やっとんねん」

「…いたいし」


振り向くと、見覚えのある他校の年上の姿。
というか。


「ここ、大阪じゃないけど」
「当たり前や」
「なんでいるの?」
「お前こそ、何でおんねん」
「…答えになってないし」


氷帝の天才……ではなく、その天才に会いに来た彼の従兄弟……ならばともかく、目の前で憮然とした表情で突っ立っている中学生は、確か1こ上の関西代表だったような。

「ちょっと目ぇ離した隙に……ったく、ホンマこの人、無防備すぎや」

ピアスだらけの耳が少し赤くなっていて、やっぱりこの寒さは尋常でなく、コート無しに寝ている『眠り姫』は特異なのだと感じつつも、ピアスな上級生も寒そうに両手をポケットに突っ込んでいる割には薄手のコートだけで、マフラーもしていない。
『眠り姫』とピアスな他校生の繋がりがピンとこないが、先月終わったばかりのU17高校選抜合宿に参加していたので、そこで交流でもあったのかもしれない。
あの場所でこの二人が一緒にいるシーンは見覚えが無いけれど。
ピアスな他校生はたいがい一人でいるか、同校の先輩方、または青学や立海の同学年たちとともにいた。
対する『眠り姫』は、同室のボレーヤーの横に常にいるか、または屋上の日当りの良い絶好の居眠りスポットに一人横たわっているか ―ちなみに屋上では、寝こけるこの人の隣で詐欺師が携帯いじっているシーンも何度かみかけているが。
大阪の連中と『眠り姫』が結びつかないが、ピアスな彼を見るに元々一緒にいたらしく、眠り姫を置いてコンビニに行っていたのだろうか、袋からホッカイロとホットドリンクが見えている。


「で、何してくれてん」
「何って?」
「今、お前、この人に―」
「ああ、『眠り姫』ね」
「ねむりひめ……」


暗に『眠り姫』の起こし方は一つしか無いとばかりにピアスな彼を見上げると、憮然としていた顔を崩し『ああ、そういうことか』と呟きながらもお前がやるなとばかりに覗き込んだ姿勢のままの越前を引き剥がす。


「交代」
「は?」
「どいてみ。『眠り姫』の目ぇ、覚ましたるわ」
「ヤダ」
「おい」


対峙すること1秒、5秒、10秒…

ベンチで寝そべる『眠り姫』を横目に、一歩も引かない東の青学1年生と、西の四天宝寺2年生。
間の氷帝3年生は、頭上で無言のバトルが繰り広げられていることなんて知らぬままノンレム睡眠爆走中で、首あたりに置かれたマフラーへ頬をぎゅっと押し付け、気持良さそうにまどろんだ。

―12月25日の冬の日のこと。





/case1

case2 ** 越前リョーマ32歳@プロテニスプレイヤー *****
>> 誕生日のお話参照。+丸井ブン太&芥川慈郎
 /case2



case3 ** 越前リョーマ18歳@プロテニスプレイヤー *****

E-mail from JIRO AKUTAGAWA
>>>全米優勝、おめでとう!
すっごくわくわくして、楽しい決勝戦だったよ。二人とも強くて、かっこよくて、最高だった。
日本くるとき、また教えてね。プロにお願いするのも何だけど、テニスしてくれたらうれしー!!<<<

Reply from Ryoma Echizen
>>>どうも。
決勝は跡部サンを応援してたんじゃないの?ま、いいけどね。
クリスマス前には帰るから、決まったら連絡する。予定、空けといてよね。
跡部サンのクリスマスパーティ断ってよ?どうしても行くなら、俺も行くから跡部サンに言っといて<<<

Re:
>>>どっちも応援してたよ。あったり前だし!
でもでも、跡部も惜しかった!次は負けないって言ってたから、頑張れ〜。
跡部とはまだクリスマスの話してないけど、もしパーティあるなら氷帝の皆も来るから、会いたいな。
越前も、一緒にいこ?皆で久しぶりにテニス大会したい!<<<

Re:Re:
>>>昨日決勝終わったばかりなのに、跡部サンともう連絡とったの?
クリスマスパーティもテニス大会もいいけど、泊りは絶対ダメだから。まだ4ヶ月先だけどさ。
大学はどう?変なヤツに付き纏われてない?アンタ、ぼーっとしてるから本当、心配なんだけど。<<<

Re:Re:Re:
>>>大学はたのしーよ。課題山積みで、提出忘れるから毎日せんせーに怒られるけど。
自由課題は好きだけど、他はめんどーなのも多いな〜。でも、色んな道具たーくさん使えるから、うれしー。
この前、陶芸クラブに遊びにいって、おっきい皿作ったんだ。跡部に画像見せたら欲しがって、いま跡部の家にあるよ。
クリスマスになったら、跡部の家で見せてあげるね<<<

Re:Re:Re:Re:
>>>クリスマスは決定なんだ?まぁ、いいけど。
変なヤツに対する回答が無いけど、大丈夫なんだろうね?
芸大って変なヤツ多いんでしょ?不二先輩と仁王サンが言ってた。近所の医学生に付き纏われてるって聞いたけど。<<<

Re:Re:Re:Re:Re:
>>>変なひと?
面白い格好したことか、変わった人は多いらしいね。よくわかんねーけど、岳人がうちの文化祭きたとき、そう言ってた。
医学生ってだれのこと?近所の医学生??<<<

Re:Re:Re:Re:Re:Re
>>>近所の大学に、ストーカー医学生がいるって聞いたけど。
宍戸さんと、向日さん、跡部サンも言ってたし。何人かいるでしょ、医学部の知り合い<<<

Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
>>>忍足が医学部だよ。おしたりがすとーかー?あと、柳生も確か医学部だっけ。
でも柳生の大学、近所じゃねぇし。忍足のキャンパス、うちのとこの近くだから、おしたり??<<<

Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re
>>>氷帝の忍足サンじゃなくてさ。まぁ、忍足は忍足だけど。
侑士さんもヘンタイっちゃヘンタイだけどさ。別にこれ、俺が言ったわけじゃなくて、跡部サンが言ってたんだよ?
中学の頃からヘンタイだって。ていうかあそこ、従兄弟揃ってヘンタイなんだね<<<

Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
>>>跡部はねー、昔っから忍足には厳し〜んだよ。よくキモ眼鏡〜とか、アホめがね〜って。コレ言ってたのは滝と岳人だけどさ。
忍足のいとこって、謙也のこと?そういや二人とも同じ大学だね。でも、忍足(侑)はよく会うけど、忍足(謙)はあんまり見ないよ?
たまに二人でオレのバイト先くるけど、忍足(謙)のほうはほっとんど喋んないし。ずーっと黙ってんの。そんかし忍足(侑)が喋りっぱなし<<<

Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
>>>ちょっと、気をつけて。
アンタ気付いてないだろうけど、ケンヤさんひとりでアンタんとこのカフェ、行ってるから。
これ、英二先輩情報(同じバイト先でしょ?)。アンタが皿洗いか買出し行ってる時に限って来るらしいから、『毎回会えないタイミングの悪さはいっそ尊敬』って、英二先輩がすんごく笑ってた。
情にほだされて誘いにのったりしないでよ。まぁ、アンタはそういう点は大丈夫だけど、お菓子くれるから着いていくとか止めて<<<

Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
>>>こら、オレのこと何だと思ってんだ!子供じゃないっての。
忍足(謙)、一人で来てるんだね〜。英二から聞いたことないし。うちのカフェ好きなのかな?お客さんは大歓迎だけどね〜!
一人で来てるの見たことねーけど、今度きたらサービスしてやるかな。カフェモカの生クリーム特大にするくらいだけど<<<

Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:
>>>アンタ、わかってないでしょ<<<





/case3

case4 ** 越前リョーマ28歳@リハビリ中 *****

今までが調子よくて運に恵まれていたこともあって、慢心し思いあがっていたのだろう。
コーチの言うことは聞いておくモンだと起こった後で嘆いても、全てはあとの祭り。

自分を責めたところで俺の怪我は治らないし、半年以上は安静にして回復させないと、来シーズンにまで影響が出てしまう。
正直言うとここまで大きな、シーズンを棒にふるほどの怪我は初めてのことだから、精神的ショックも大きかった。
試合中、聞いたことの無い音を自分の体が発して、次の瞬間コートに倒れていて起き上がれない。
それまで熱かった体の熱が一瞬にして引いて、嫌な汗が止まらなかった。

国別対抗が控えていて、久々に手塚先輩や遠山と同じチームで戦えるのを楽しみにもしてたんだけど。
密かに遠山とダブルスの練習も積んでたんだけどな。
ま、しょーがないよね。

今はコーチとリハビリトレーナーの言うことをしっかり聞いて、一刻も早く治るよう努力するしかない。
せっかくスポンサー様が、名リハビリトレーナーと管理栄養士、リフレクソロジー、マッサージ、リラックス、漢方……ありとあらゆるスペシャリストを選抜して、用意してくれてるワケだしね。

そういえばスポンサー様は引退して1年になるのかな?
自分とこの会社入ったようだけど、30歳の新入社員ながらすでにプロジェクト任されて成果もあげてるんだとか。
相変わらず規格外な人だよね。
会社に入ったら親の意向で結婚が待ってるとあの人は言っていたけど、そこんとこどうなってるんだろう。
あの人は、スポンサー様が引退したら別れるしかないって、どこか吹っ切れたように言っていた。
そんな未来のない付き合いなんて、今すぐ止めればいいのに。
何度言っても寂しそうに笑って、それでもいいんだと呟いた横顔が忘れられない。

今年の年末は日本に帰ってみようかな。
あの人に連絡して、久しぶりに顔が見たい。
もし、あの時のように、どこか諦めたような寂しい表情を浮かべていたら……それが、『別れたから』なら、それはそれでいい。
でも、もしまだ別れてなくて、けれども否応なしに迫る別離に憂鬱になっているだけなら、別れてくれと言ってみよう。

あの人が幸せなら、それでいい。
けど、もし恋人がテニス界を引退して会社に入った末に待っている『結婚』とやらが理由で、あの人が悲しんでいるのなら。


―俺が、あの人をもらう。


ねぇ、跡部サン。
どうするつもり?





/case4

case5 ** 越前リョーマ16歳@プロテニスプレイヤー *****

マイナーな大会は中々テレビ放送してくれないけれど、今はネット社会ということもあって幸い、インターネットの動画で海外の小さな大会も観ることができる。
中学の頃、団体戦で戦った青春学園のチビっこは、今やテニス界の新星として快進撃を続け、今日こそは初優勝を飾るんじゃないかと、彼を知る周りはどぎまぎしながら試合結果を追っていた。

「マッチポイントだ」
「ストレートか」
「すっげぇ、強くなったねぇ」

淹れてくれた紅茶のカップを受け取って、一緒にパソコンの画面を見つめ、越前渾身のラストショットを見守ってゲーム終了。
インタビューでも相変わらずクールで、伸びた身長と大きくなった体の割りに中身は変わってないと、隣のコイツと目を見合わせて笑った。
ライブではないので結果はネットニュースで知ってたんだけど、おめでとうメールは試合を見てからと決めていたので、山ほど貰ってるだろうけど簡単なメールを作成して遠くアメリカの越前に『初優勝おめでとう!』を送信。
お隣にもメールしないのか聞いたら、面倒くさいというので連名で送ってみると、予想外にすぐさま返信がきた。

「…う?」
「どうした」
「越前から、返事きた」
「なんじゃ、もう来たんか」
「どれどれ……あはは、『勝って当然でしょ』だって」
「相変わらずやの」

続く『俺は負けないけどね』にも、聞いたことあるセリフだと、つい数年前を思い出した。
今度戻ってきたらご飯でも行こうと返信すると、またも予想外な切り替えしがきて………ん?
うう〜ん、どう返信したらいいのやら。

画面をじっと見ながら文字を追っていたら、隣に携帯を奪われた。

「あ…!」
「見せんしゃい」
「………ハイ」

「……」
「……」

「どういうことだ?」
「……なにが」
「そんな約束、しとったんか」
「覚えてないC」
「『帰ったら約束通り、デートね』、か」
「……」
「デート、ねぇ」
「……初優勝したら、お祝いにご飯奢るっていう話なだけだし」
「それはお前の送信メールだろ。越前の『初優勝の約束』は、もっと前からしとったんじゃなか?」
「…どうだったかな」


目が怖いから!

ほんっと………ドライでクール、去るもの追わずなんてどこの誰が言ったんだか。
めちゃくちゃヤキモチやきで、イチャイチャしたがりなんて、知り合い程度だった中学時代からは想像も出来なかったコイツの中身。

かわいーんだけど、嫉妬でキレてる時はマジ怖い時もあるから、ほどほどに見極めないと後がタイヘンなんだC。。。
とりあえずコイツが落ち着いているうちに、機嫌とっとかないとせっかく越前が帰ってきてもご飯どころか会えないかもしれない。
明日から連休で、まじまじよかった。


回された腕と、迫ってくる端整な顔にそっと目を閉じて、今日は何時に眠れるのか予想してみることにする。
今は22時、23時はいつもならオレの就寝時間。けど、その時間に解放されないのはわかりきっている。

「んっ…」

重ねた唇から忍び込んでくる彼を受け入れ、頭の中でスタートの合図が鳴り、今までの経験から次を想像…


………って、オレらまだ高校生だから、こんな爛れた生活よくないんだC。





/case5

case6 ** 越前リョーマ21歳@プロテニスプレイヤー *****
>> Xmasのお話参照。+切原赤也&芥川慈郎
 /case6


case7 ** 越前リョーマ23歳@プロテニスプレイヤー *****
Final Phase

アンタしか好きじゃない

―こーら、そんなこと言って。彼女がかわいそーでしょ。

彼女なんていないし。知ってるじゃん。

―オトナをからかうんじゃありません!

2つしか違わない。それに、片仮名でオトナなんて言う人にいわれたくないね

―あー、またそんなこという。

いい加減認めてよ。好きだって言ってんでしょ。

―越前は可愛い後輩です。

俺、アンタの後輩じゃないし。

―も〜、かわいくないぞ!

アンタは可愛いよ。

―〜っ、こら!

だいたい『オトナになったら』て振り続けてくれたけど、とっくに俺も成人して、もう23だし。

―23なんて、社会人なりたてなんだからなー!

俺、15からプロなんですけど。アンタより社会人の先輩だから。

―あ、そうだった。

そういう素直なところが好きだよ。

―そういうこと簡単に言うんじゃありません!

アンタだって散々言ってきたでしょ。丸井くん、大好き〜、跡部、大好き〜だっけ?

―中学の時の話でしょ。

高校でも同じようなモンだった気がするんだけど。

―覚えてませーん

幸せな記憶力だよね。

―…それ、バカにしてるだろ。

可愛いって思ってるよ。

―かわいいって何だよ!25の男に言うセリフじゃないし!

相変わらず可愛いよ、アンタは。

―う〜

ぶーぶー言う割りに毎回電話でてくれて、メールは必ず返信くれるし、しばらく連絡途絶えると心配して電話やメールくれるところも。

―……。

ぎゃあぎゃあ言うけど、ただ照れてるだけだってこともちゃんとわかってるから。

―……なんだよぅ。

あのさ。
たとえ何度生まれ変わっても俺はテニスラケットを持つし、青学は全国優勝するし―

―生まれ変わったら、氷帝が優勝するもん。

青学だね。だって俺がいるし。

―氷帝だって、跡部がいるし!

ほんっと、アンタにとって跡部サンはヒーローなんだね。

―跡部はまじまじ、かっこいーんだ。

はいはい。それはもう耳タコだから。ていうか最後まで聞いて。

―う?

ええと、どこまで言ったかな。
『何度生まれ変わっても俺はラケット持って、青学は全国優勝して……』


中学三年のアンタと出会って、……俺はアンタを好きになるんだ。


―えちぜん…


だから、いい加減、俺のモンになってよ?




/case7






(終わり)   >>目次

*********************
独立した内容の6本のショートショート、原稿用紙1枚ほどの短編をオムニバスで続け、ラスト7本目で『生まれ変わってもアンタを好きになる』でくくるつもりだったリョーマさん誕生日話。

が、元々の予定でした。
しかし。。。

原稿用紙1枚……でなくてもせめて1000文字以下くらいのショートショート話7本はどこへやら。
リョマさん誕生話としてUP済のブンジロ……原稿用紙1枚どころではない。>ショートショートのトライ1本目。
仕方ないのでブンジロはそのままだとしても、残り6本をショートショートに……と書き出した切ジロ(クリスマスにUP済)も、終わってみれば1000文字どころではなく。>ショートショートのトライ2本目。

トライ2本とも撃沈し、この調子だと永遠にショートショートなんて書けず、残り5本も同じようになってしまうので、もうキッパリ止めて、リョーマさん誕生日&クリスマスの2本で終了しようと思ったのですが。。。
いやいや、やったるで!ショートショート!!まだまだトライすっぞい!!

―トライした結果がコレか。。。

case1〜case7まで、そのうち2本はブンジロ・切ジロでそれぞれ誕生日とクリスマスに。
残り5本のショートショート。。。になっているのか、どうなのか。
トライ3本目のcase1、財前くんがすでにショートショートでなくなりそうだったので無理やり終わらせるという。
case4の28歳は、まぁまぁショートだと思うんですが(理想はもっと短いもの)
case3のメール会話は、最初のリョーマさんの返信で終了するべきなんですね、きっと。そこを続けてしまうのがワテクシのダメなところか。。。
あ、でもcase5の仁王くんは、結構な短さだと思うのです!トライ何本目だったかな…。


でもでも。
リョーマさんに、『中学三年のアンタと出会って、……俺はアンタを好きになるんだ』を言わせたかっただけなので、満足しました。

@しっかしcase7、ジロくんでなくて菊ちゃんでリョ菊でも違和感ないというか、ワテクシが昔書いていた菊リョ(やらリョ菊やら)が、まさにこんな感じの二人だったな……とデジャブ。
そうか。
ワテクシの中の菊ちゃんの枠に、ジロくんがスコーン!と入り込んだんだな、きっと。

数行の文章で完結させられる、そんな文章力が欲しか。

[ 67/116 ]




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -