丸井ブン太BirthDay2013-After...




ピンポーン



皆での夕飯を食べ終えて、片付けも終了。

大型テレビでゲーム機をつなげ、カーレース対戦をしている者
ダイニングテーブルで一息つきつつ、会話を楽しむ者
家主の部屋から本を持ってきてソファで読書中の者


それぞれ自由に土曜の夜を過ごしていたところ、ふいに鳴ったチャイムの音に、談話中の柳が家主へ視線を投げかけたが、当の本人はあいにくゲームに熱中している。



「うわっ、てめー待ちやがれ。俺を抜こうなんざ100年早ぇ!」

「へっへ〜、このままぶっちぎって、俺の勝ちッス!」



Wiiのレーシングゲームでバトっているのは、マリオで先ほどまで先頭をきっていた丸井ブン太。
対して、トリプル赤甲羅でトップ独走の丸井を蹴散らしたクッパ切原は、晴れてまもなくファイナルラップに入りそうだ。

仁王とジャッカルも先ほどまで4人モードでやっていたが、現在は休憩中である。

(ちなみにジャッカルはヨッシー、仁王は毎回ピーチ姫を選ぶらしい)



ピンポーン



2度目の来客を告げる音に、さすがに立つだろうと再び丸井に目を向ける柳だが、画面を食い入るように見つめ、コントローラーを放さない。


「丸井」

「ったく誰だ、こんな時間に!!今手がはなせねーっつーの!」

「では、私が出ましょう」

「わりぃ、比呂士!頼んだ。宅配なら受け取っといて」

「承知」



こんな時間。
そう、時刻は夜の22時をまわっている。

宅配だとしたら遅すぎはしないだろうか?
かといって丸井の家族だったら、チャイムを押すわけもない。
近所の人だろうか?


物騒な昨今でもあるわけだし。


『一応』ということで、テーブル談話組の柳と、雑誌を読んでいた柳生が玄関に向かうことにした。





【 丸井ブン太 Happy BirthDay2013〜after party〜 】






カチャ。



「まるいくん、お誕生日おめでと〜!」


開けた扉の先に立っていたのは…




「芥川」
「芥川くん!」


「柳に、やぎゅう?あれぇ、二人とも来てたんだ〜」


少し大きな包みを胸の前で抱えた、笑顔の芥川慈郎。


「今夜はオペラ鑑賞会ではないのか?」

9時に終わってからこちらに向かったとしても、もう少し時間がかかるだろう。


「よく知ってんね。オペラは終わった〜寝ちったけど」

「ちゃんと起きたまえ」

「歌って何きいても眠くなっちゃうしぃ」

「今日、来ることになっていたのですか?」


夕飯時に、丸井は確か『ジロ君はオペラ』と、来れない旨を言っていたはずだが。
違ったのだろうか?



「時間的に無理かな〜と思ってたんだけど、今日まるいくん、一人だと思ってたから」



いわく、前に遊びにきた際に、丸井が入浴中、リビングで丸井ちびっ子たちと遊んでいたら、彼の母親から『星空鑑賞会』『お泊り保育』『出張』のあらましを聞いた。
ならば!

…オペラ鑑賞会をサボろうとしたが、鉄壁の生徒会長が許すはずもなく。
時間的にも人様のお宅に遊びに行くには、かなり遅くなるし、そんな時間になっても迷惑だろうから。

と、諦めようとしたのだが、、、直前になって、やはり。

せっかくの誕生日に、家族の誰もいない自宅で一人なんて!
せめて一目だけでもいいから、会ってプレゼント渡して、『おめでとう』といいたい。
泊まるのは無理だけど、、、それくらいは。
でも、どうやって彼の家まで行こうか…?
電車はあるけど、帰りが終電ぎりぎりになってしまう。
補導でもされたらたまらない。

…とぐるぐる考えていたら、それを助けてくれたのも、なんだかんだで自分に甘い(優しい)生徒会長だったワケで。


「二人とも、泊まり?」

「私たちだけではないですよ。幸村くんも、真田くんもー」

「つまり全員いる」

「そっか〜よかったー。まるいくん、一人じゃないんだね」


にっこり満面の笑顔になった芥川に、柳生・柳ともどもゲームに熱中している同級生が喜ぶ顔を思い浮かべ、つい微笑ましく感じた。
のだが。


「まるいくんは?」

「ゲームに熱中しています」

「Wii?」

「マリオカートだな。4人対戦をやっていたが、今は赤也と勝負で7コース目に入ったところだ」


もっとも、ファイナルラップでまもなく7コース目も終わりそうだが。


「あちゃ〜。マリオカート中か〜。どうりでLINEも電話もダメなワケだ。
アレ始まると長いんだよねぇ」

「手が放せないと言ってましたしね」

「芥川。ここで立ち話もなんだし、中にー」


中へ促そうとした柳だったが、それをさえぎり、抱えていた紙袋を出してきた。


「いや、寄るのはちょっとムズカシイから、これ、渡しといて!」

「?会っていかないのか?」

「顔だけでも見たかったんだけど、、、オレも時間無いんだよねぇ」

「呼んできますから、ちょっと待っていてください」

「あ、柳生、ストップ!丸井くん、ゲーム中は真剣そのものだから、邪魔しちゃ悪いしー」

「邪魔ではないだろう。ましてやお前が来ているのだし」

「前、それでケンカしちったことあるんだよね」


まさかここまで来て、会わずに帰るなんて。
そのまま帰せば、リビングの家主が落ち込むか、機嫌悪くするか、わめくか…
想像に難くない。

なんとか一目だけでも、と柳に引きとめてもらい丸井を呼びにいこうとした柳生だったが、芥川の後ろから聞こえた声に踏み出そうとした足が止まった。




『ジロー、早くしろ』




「…跡部か?」

「跡部くんのリムジンで来たんですね」



「うん。駄々こねたら送ってくれたんだ。すぐ帰るのが条件で」


オペラ鑑賞会への強制参加で盛大にぶーたれたおかげか、最後の方では跡部が折れた。
そして、明日・日曜の生徒会行事を朝から手伝うことを条件に、神奈川まで車を出してくれることになった。
そんなに時間はとれないし、芥川が夜更かしできないこと、朝早いこともあって、『玄関先でプレゼントを渡したらすぐ戻る』こと前提で。


「ごめ〜んアトベ、いま行くー!」

振り返り、リムジンの主へ声をかけてから、持ってきた紙袋を柳に手渡した。


「要冷凍だから、すぐ食べるか、冷凍庫入れてね」



「芥川」「芥川くん!」



「丸井くんにおめでとうって伝えて!メールはしといたけど。
じゃ、皆で食べて〜!」



引きとめようと叫んだ二人にお構いなしに背を向けると、そのままリムジンに乗り込んだ。
二人の目の前で、高級車が颯爽と去っていって…



「行ってしまったな」

「引き止める間も無かったですね」

「芥川からの宅配、ということにでもしておくか」

「バレそうな気もしますが」




玄関の鍵をかけて、リビングに戻ると7レース目は終了したらしく、次のコースを選択中の丸井・切原。
仁王は柳生読みかけの雑誌をめくっており、談話組にはジャッカルが加わっていた。


「柳。宅配かい?」

「宅配といえば宅配だな」


テーブルの上に置かれた紙袋を興味深そうに覗き込む幸村だったが、荷物をよく見てみると宅配にしては伝票もついてない。
それに、紙袋の中は箱が入っており、どこかの店で買ってきたものに見える。
誰かが持ってきたのか?


「柳くん。冷凍庫に入れておきましょうか」

「中身は何なんだい?」


冷凍庫に入れる入れないはともかく、出してみないと判断がつかない。
と、柳は紙袋から箱を取り出し、そのままテーブルのうえに置いてみた。

隙間からヒラリと何かのカードが、幸村の足元へ落ちる。


「ハーゲン○ッツ?」


二つ折りカードには、馴染み深いアイスメーカーのロゴと、商品ラインナップが記されていた。


「お、ハー○ンダッツのアイスか。
そういやブン太のやつ、最近ハーゲンダ○ツのことばかり言ってたぜ」

「日本撤退のことですね」

「25日が店舗営業ラストだから、新浦安まで食いに行くってぎゃーぎゃー騒いでたな」

「桑原くんも行くんですか?」

「まさかだろ。でも、明日を逃せば後は平日だからな。いつ行くんだか」

「ここからだと中々の遠出になりますねぇ」

「ふふ。明日は部活無いから、明日行くんじゃないかな?」

「いや、精市。それは無いな」


今日オペラ鑑賞会でこれない代わりに、明日は芥川と一緒にデートでもするんじゃないかな?
なんてことを含ませたが、バッサリ柳が否定してきてー


「明日は生徒会の所用、だそうだ。芥川は忙しいだろう」

「…柳、そんなことまで把握済みなのかい?」


それ、いつ必要なんだい?
と山のように膨大な謎データを所持している参謀、、、たいていは頼もしいのだが。

今度のはいったいどこから仕入れた情報なのか。


「先ほど本人が来られたんですよ」

「じゃあ、さっきの来客はー」

「芥川くんでした」

「…まさか、コレ届けにかい?」

「引きとめたのだがな」


これこれこういう事情で、
アノ人がパシリー…送り迎えしているようでー


…と簡単な説明をすると、ジャッカル、幸村ともに納得したものの、ゲーム中の丸井を見て、…ため息をついた。



(丸井……タイミング悪すぎたね)

ほんのひととき、ゲームの手をとめて玄関に行っていれば。


(ブン太……頼むから暴れんじゃねぇぞ)

来たことを知ったら、とりあえず怒るか、文句いうか、果てはふて腐れるか。




「とりあえず冷凍庫にいれておくかい?」

「そうだな…おい、丸井」


ミニカップアイスが複数は入っているのだろう。
今食べないのならすぐに冷凍庫に入れたほうがいい。
ただ、自分たちはともかく、ゲームに熱中している2人はアイスと聞いたら『今食う!!』となるかもしれない。

ちょうど8コース目の対戦も、最後の一周を終えてマリオ丸井がトップでゴールテープを切った。
すぐさまコントローラーを置いて、あと少しでゴールのクッパ切原を残してテーブルに来る。


「お、何?なんか届いた?」

「これだ」


柳が示した箱を開けると、さらに保冷バッグがでてきた。


「?なんか食いもん??」

「アイスみたいだよ」


幸村からカードを受け取ると、そこに書かれたハーゲン○ッツのロゴに、パァ〜っと笑みが広がった。


「ハー○ンダッツ!まじで!?」


誰からの贈物かつ、誰宛なのか不明だが…食べてしまってもいいだろうか。
それとも、親が注文でもしていたのだろうか?
であれば、勝手に食べてしまうのはマズイ。。


保冷バッグをあけると……



「…ケーキ?」


カップアイスがいくつか出てくるかと思ったら、中に入っていたのは直径22センチくらいのケーキ。



「ハー○ンダッツの『ダブルチョコロイヤル』…」


そっとクリアケースをあけると、脇にろうそく、クッキープレート…とデコレートする素材が透明な袋に入っていた。
クッキープレート表には『Happy Birthday Bunta』の一文。 


「チョコレートのアイスケーキか。今はネットでの注文受付のみだっけ?」

「店舗が無いからな。最後の店舗も今週閉まる」


日本から撤退するとニュースにもなっていた。寂しいことだな。


柳の一言に、普段は店でアイスを食べることがさほど無い幸村としては、ハ○ゲンダッツ撤退に自身として思うことは無いが、、、
こういうのが大好きな丸井、切原らチームメイトが残念がるな、と言葉を続けた。


「あ、でも、このケーキ…」


ケーキをじっと見つめてなにやら固まっている丸井をよそに、保冷バッグの底に別のカードを見つけ、取り出してみる。


「店舗で予約されたものなのかな?『新浦安店』とあるね」


まだお店で予約ってできるんだね、とカードをひらひらさせた。

その一言に、丸井はパッと顔をあげ幸村の手にあるカードを見つめた。


「新浦安店…」

「ほら、ここに店舗名が書いてある」

「でも、これ…日本で売ってないやつ」




『ダブルチョコロイヤル』


マカダミアナッツアイスをベースに、チョコレートでコーティングされた2段重ねのアイスケーキ。



アイスケーキ食べたいな〜という話しをしていて、店が無いし注文できない。
ネットで購入できるけど、種類も少なく、バニラアイスベースのものばかり。

海外のwebサイトをみていて、チョコレートやクッキー&クリーム、マンゴー・パッションフルーツ、ストロベリー…
と、色々なベースのアイスケーキがあるんだな、いいな〜、という話を以前したことを思い出した。


そうだ。


前に君が泊まりにきたときに、一緒にパソコンの前で、ハーゲ○ダッツだサーティ○ンだ、とアレコレ言っていたんだ。




「柳…これ、ジロくん?」


父か母が注文したのか、それとも家族宛に誰かからの贈物か…なんて思ったけど、自分を祝うバースデーケーキ。
それも、かねてより食べたいといっていたハー○ンダッツのアイスケーキだ。

これがバニラベースのものだったら、まだ両親が頼んでくれた可能性もあったが、日本では発売されていない種類。
となると、こんなものを自分に贈れるのは一人しかいない。


正確には、彼のバック…・・・彼に甘い、アノ男の力だろうけど



今夜届くように用意してくれていたんだろうか。


でも、ふとテーブルを見てみると、ケーキが入っていた保冷バッグ、箱、そして、紙袋。
宅配便ならあるであろうダンボールや伝票が無い。


まさか…



「比呂士、まさかさっきのー」


とある可能性を思い浮かべ、柳生を見ると、無言でこっくり頷かれる。
咄嗟にリビングを出て、玄関へ向かおうとしたが、さきほど柳生とともに来客対応をした柳に止められた。


「あがるよう言ったのだがな」

急いでいるから、とすぐに帰ってしまった。


「丸井くんを呼びに行こうとしたのですけれど」

ゲームに熱中させてあげて、と遠慮されました。


「ゲーム…」


先ほどまでかなり熱中して楽しくプレーしていたWiiを一瞥し……猛烈に頭を抱えたくなった。


なんで『手がはなせない』なんて言って、夜分遅いチャイムを無視してしまったんだろう。

なんで、彼がきたときに、呼びにこなくてもその場で自分を呼んでくれなかったんだろう…
いや、柳・柳生にそんなこと言えない。自分が悪い。

なんで、ちょっとでもいいから中に入って、自分に会ってくれなかったんだろう。
いや、以前ゲームを中断されて子供のように怒り、彼に文句を言ってケンカしたのは自分が原因だ。


なんで、なんで、なんで…




「ジロくん…」



芥川がさきほどここへ来た経緯、寄らなかった理由、明日のこと…
と、柳より説明されれば、そうまでして自分に会いにきてくれた彼に、とてつもなく会いたくなった。
同時に、嬉しくて、愛しくて、、、
『俺のアホ!』と思うとともに、ぽかぽか温かい気持ちがあふれ、つい笑みがこぼれてくる。


皆でどうぞ、という君の言うとおりにしよう。



「な、これ。切るからくわねぇ?」

「いいのかい?一番好きなアイスケーキなんだろう?」

「いいんだ、幸村くん。
ジロくんが皆で、って持ってきてくれたから、皆で食わなきゃだろい」

「じゃ、俺、取り皿持ってくるッス」

「おう!包丁も持ってこい」

「ハイ!」

「では、私はお茶を淹れましょう」

「シンクの下の棚にポットと急須、茶葉は冷蔵庫隣のラックだから、適当に使って」

「何があるんじゃ?」

「紅茶と、緑茶、ほうじ茶、マテ茶、ルイボス、カモミール、ローズヒップ…あと何だったっけな。ま、適当に見ろい」

「色々と揃えているのだな」

「ティーバッグも多いから、好きなモン選んでいいぞ」



ケトルでお湯をわかし、飲み物の用意をする柳生。
その隣では切原がお皿と包丁を取り出している。

冷蔵庫隣のラックでお茶を物色している仁王。
つけっぱなしのテレビとゲーム機を手馴れた様子で片付けるのはジャッカル。

テーブルの上に散乱した紙袋や箱、保冷バッグらを幸村が整理すれば、
ソファや手前のコーヒーテーブルに置かれた漫画本、雑誌類を片付けるのは柳。



「幸村、蓮二。俺はー」

「真田は座っていていいよ」


やること無いしね。


「……わかった」






その後、キレイに8等分されたケーキと、それぞれ異なるお茶でちょっと遅い2回目のティータイム。
一度目は、夕飯直後に食べた小さめのデコレーションケーキで、『一口で終わった』と数人がこぼしていた。
お次のこちらは、2周り以上おおきく、さらに2段重ねのため夜のお茶うけには十分なボリュームだ。

普段の丸井からすれば少ないかもしれないが、大好きな人からのサプライズだと思うと胸がいっぱいで量は二の次だ。



「あ、これ2段目、違う味ッスね」

「下のはマカデミアナッツのアイスじゃの」

「まじかよ。これ、オレンジ&クリームだ…」



数年前、まだ近所にハーゲ○ダッツの店舗があったとき、お気に入りだったフレーバー。
どんどんお店が無くなっていって、コンビニやスーパーでは見かけることが無くて。
もう食べられないと思っていたのだけど。


インターネットでアイスケーキを色々みて、『海外は種類多くていいな〜、このダブルチョコのやつ、ちょー美味そう!』
と騒いでいたときに、好きなフレーバーの話しも少しした。


『基本的に何でもすきだけど、ナントカ&クリームが特に好きだな〜』

『クッキー&クリームとか?』

『そうそう。ラズベリー&クリームとか』

『オレはね〜、ストロベリー!』

『王道だな』

『バニラも好きだよ〜、ベルジアンチョコも』

『フルーツのも好きだぜい』

『マンゴーとか、バナナとか?』

『昔バナナあったんだよな〜美味かった』

『ヨーグルトもあったよ。オレ、あれ好き〜』

『ンなのあったか?』

『あったあった。シャーベットのヤツも美味しかったなー』

『ゼスティレモンな!ラズベリーもあったな〜』

『ラズベリー&クリームのヤツと違うの?』

『よく覚えてねぇけど。でも、何といってもー』


オレンジ&クリームが好きだった





…と会話の流れで出ただけのフレーバーだ。
続けてチョコだ抹茶だドルセデレチェだ〜とフレーバー談義になったのだが。


『ダブルチョコロイヤル』は、マカデミアナッツアイスに、チョコレートをコーティングしたアイスケーキ。
2段目も同じアイスのはずなのだが……


日本では買えない種類のアイスケーキというだけでも驚きなのに、自分の好きなアイスのカスタマイズ。



祝ってくれた皆と一緒に、特別なケーキをいただいて大満足な締めくくりだ。
願わくば、君も一緒にいてほしかったけど…






ありがとう。





(ていうか跡部……
ここまでしてくれるんなら、もうちょっと―
ジロ君の顔見る時間くらい、『ありがとう』って言うくらい

…待ってくれてもいいだろい)





まぁ、彼に甘い君にも、、、、ありがとう。






日本最後のハーゲン○ッツのお店。
一緒に行くのは諦めていたけれど……いや、行ってやる!

チャンスは明日しかない。
夕方には家族も戻ってきて、家から出れなくなるから、それまでに君を迎えに行って、一緒に新浦安いって。

最後のハー○ンダッツ・デートといこう。



王様が何といおうが構わない。
今日のことは感謝してるけど、明日は明日。

いざとなったら、『ジロくんは生徒会役員じゃねぇからいいだろ』でさらっていこう。



となったら、メールで予告しとかなきゃな。







そういえば携帯電話は部屋に置きっぱなしで、皆が来てから一度も見ていないことに気づく。
客間に布団をしき、7人の準備をした後、自室に戻った際、芥川からLINEと着信がきていることに、少しの後悔をしたけれど。。



『明日迎えいくから、待ってろよ』



素早く返し、布団に入る。
もう寝ている時間だろうから、返事は明日朝くるだろう。

なんて返事がきてもかまわない。
とりあえず明日は氷帝に行ってやろう。

君は優しいから、最後のハーゲンダッツデートがしたい!
といえば、絶対一緒にきてくれる。




明日のプランをあれこれ想像しながら眠りについた。





ジロくん、ありがとう。
明日、待ってろよ!




…跡部にも一応、礼言っとくか。







(終わり)

>>目次

******************

こっちが書きたかったハーゲン○ッツの話。

…本来は、ジロくんがアイスケーキを買ってきて、二人で一緒に誕生会する話のはずだったんですが。
何故かジロくん不在で立海メンツで誕生会してしまったという。
さらに、ハーゲン○ッツが要素0だったのでアカン!と、もうひとつ話を書き始めたら…
ジロくん、持って来るだけで丸井君と会わないという不思議結果に。 >なんでこうなっちゃったか謎だわー

先日、ハーゲ○ダッツが日本撤退というニュースを見ました。
小さい頃、よく店舗でアイスケーキ予約して、誕生日に食べていたな〜という思い出が。
地元のハーゲンダッツは10年以上前に撤退しちゃったけど。。。

新宿駅地下のハ○ゲンダッツが無くなり、渋谷の西武近くの店舗も無くなり…
寂しいなぁと思っていたら、まさかの撤退なのですね。

店舗でしか売ってないフレーバーとか、コーンとか、7の日とか。。。
残念でならない。

やっぱり、ハーゲン○ッツって一番のアイスクリーム屋さんだと思うから。

ワテクシはモカ、オレンジ&クリーム、ベルジアンチョコ、ヨーグルト、ナッツ、ピスタチオ…好きなフレーバーたくさんあります。
中でもヨーグルトは好きだったな〜
海外のハーゲンダ○ツのチョコミントが好きでよく買ってたんですけど、日本では売ってなくて。
最近、カップで出た『ミントクリーム』は、海外の「チョコミント」とはちょっと違う味がする。
海外のヤツのほうが、ミントっぽくて好みでした(ミントクリームは何か、甘い…)

ストロベリーチーズケーキっぽいフレーバーもあったり、メープルっぽいのもあったり。
やはり、店舗には店舗の魅力がたくさん。コンビニやスーパーのカップは、店舗ほど種類ないですし。

残念だな〜。海外に行かないと、もう店舗メニュー食べれないのか。。。



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