「ヒソカと彼は、どうやってアメリカから?」



赤井さんの尋問は続く。
ヒソカと、キッドに変装したイルミは、ついさっきまで確かにアメリカにいた。
生中継を見ていたのだから、確実だ。

なのに、今、こうして目の前にいる。



「前にも話さなかったっけ。私の力の一部だよ」



私の念能力の一つ、 超次元扉ワールドドア
任意の場所へ空間を繋ぐ、大変便利な能力だ。イメージはまんま、どこでもドアかな。
ドアからドアへの移動であることと、具体的にイメージできる場所にしか繋がらないこと、この二つを誓約としている。
この誓約に引っかからない限り、名前のとおり次元を超えることも可能。つまり異世界トリップです。
その場合、自動で補正されるのかなんなのか、 超次元接続ワールドコネクト になるんだけど。
そんな訳で、私とヒソカはこの探偵世界にいるんだよねー。

本当は元いた世界に行きたくて、通ってた高校をイメージしたんだけど、なんかダメだった。
それで、探偵世界に辿り着いたんだなー、これが。いやぁ、びっくりしたね。

ちなみに、イルミを呼んだのは 超次元召喚ワールドフレンド 。任意の相手を召喚する念能力。
ドアがなくても、行ったことのない、知らない場所にいる人でも、相手の承認があれば呼び出すことができる。主に、未開の地をうろうろしている野生児(ジンとか)と連絡をとるための能力だ。

おっと、話が逸れたな。



「ホテルを調べてイメージを掴んで、扉を繋ぐ。そこから行って帰ってきたんだよ」

「だが、帰ってきたとき、セレナはドアを開けていなかったはずだが?」

「鍵だよ。赤井さんにも渡したでしょ」



召喚之鍵コネクトキー
私の念で作り出した、アンティーク調の小さな鍵。この鍵を持つ人か、その人に触れている人でないと、超次元扉を通ることができない。



「これか……」



赤井さんが鍵を取り出して、眺める。
普段は、車や家の鍵と一緒に、キーケースに入れてあるらしい。



「話は聞いていたつもりだが、実際目でみると、なんだか複雑だな。理解が追いつかない」

「まぁ理屈で片付く話じゃないしね。この世界にはない力だし、受け入れられないのも無理ないかな」



苦笑しながら伝えれば、彼の眉間に皺が寄る。何でだ。
ふと隣を見れば、ヒソカも苦笑していた。



「力の理解は難しい。だが俺は、お前たち自身を受け入れられないと言ったつもりはないぞ」



あぁ、そういうこと。だから難しい顔してたのか。
別に、自虐で受け入れられない発言した訳じゃないんだけどね。事実だし?

でも、赤井さんの気持ちが嬉しい。



「ありがと、赤井さん」



思わず頬が緩むと、赤井さんも表情を柔らかくした。

ちなみに、鍵の話の続きだけど。

この鍵、使うには私の承認が必要なのです。私が承認しないと、繋がらないのよねー。

私の念で作り出した鍵。これ、一つ作るのに結構エネルギー使うのですよ。
大体25%くらいかしら。だから、一度に作るのは三つが限度。四つ作ったら死ぬか、よくて瀕死。三つしか作ったことないから、多分だけど。
壊されたら25%分の力が吹っ飛ぶから、結構なダメージですよ。

一つはヒソカ。一つは赤井さん。そしてもう一つは、快斗に。
何かあったときに、って思ってね。何もないに越したことはないんだけど、まぁ、お守りみたいなものかな。

常に三つ作ってる状態だから、普段の私、残りの25%の力で生きてます。探偵世界だから出来る状態かな。
流石に、ハンター世界みたいな何があるかわからない世界で、四分の一で生きてられない。

願わくば、この三つの鍵が壊されないことを祈るよ。そんな危険な目に、三人が会いませんように、ってね。
……赤井さんのこと言えないな。私も十分過保護か。



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