アルカナの娘 | ナノ




「先輩、まだヒーロー名決まってないんですか?」

「あぁ……決める授業の日、休んでたからね。決めないままズルズル来ちゃったな」

「候補はあるんです?」

「んー……(何個か)あるかな……」

「アルカナ? いいですね! 神秘、秘密……先輩にぴったりだ!」

「えっ、あー、いや……(まぁいいか)……そう?」

「はいっ!」









懐かしい、夢を見た。
嬉しそうに笑う隣の男の顔は、なんだかぼんやりしてしまっていた。
仕方ない、遠い記憶だもの。

こんな夢を見るなんて、今日が入試だからだろうか?
柄にもなく緊張してるのかな。

“俺”は死んだ。
確かに死んだのだが、気付いたらおぎゃあと生まれてたんだなこれが。
何を言ってるのかわからねーと思うが、一番わからなかったの誰だと思う? 
俺だよ。

俺は死んで、
私になって生まれて、
月日は流れて今日は入試だ。



「まさかまたこの門をくぐるとはなぁ……」



ただいま母校! 変わってないね!
吐いた息は重くなってしまった。やれやれだぜ。


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