まつりのために、お菓子を作ってみた。少しずつ春の近づき始める、2月14日のことだ。

 巷では、バレンタインイベントがあちこちで見られ、恋人たちの日だっり、恋する乙女の戦いだったりする日だけれど、ぼくにとっては、少なくとも、恋の日ではない。

 そもそも、身近な人に感謝を伝える日だっていうし、最近は男性からも贈り物をするって聞くし、だったら、と、今年はまつりになにかあげようと思ったのだ。
 まつりっていうのは、ぼくの幼なじみ。不思議人類なので未だによくわからない部分も多いけれど、なんだかんだで、一緒に暮らしている。
さらさらの、肩よりは短いくらいの茶髪。小動物みたいに輝く、大きな瞳は、麗しい分、真っ黒な性格がたまにちょっと腹立たしいが……でも、なんか、許してしまう、そんな魅力がある気がする。

 それに、まつりは、ぼくを、誰よりも見捨てないでくれた人で、ぼくの心を、何よりも守って、支えて、沢山のことを、教えてくれた。それは、今も、とても感謝していた。

 それにしても、手作りって初めてだったけど、まつりが最初に何時間か指導してくれたおかげで、当日までには、まあまあ食べられるものが作れた気がする。やればできるものだ。


そんなわけで。
 今朝はなんとか、昨日作って、今日の14日までしのいだトリュフやクッキーたちを(数がある方がいいかなとわりと沢山作った)、冷蔵庫から取り出し、可愛いくまさんの描かれた箱に詰めて袋に入れ、リボンを付けて学校に持って行っていた。あいつは家から出られないので、先に見つけられたら困るのだ。

 学校では、周りに気付かれないかとひやひやしたが、体操着に包んでいたおかげで、さほど目立たずに1日を終え、帰宅する。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -