Sweet Sweet
今日、寺田屋には大久保さんや高杉さんや桂さんが来てて、会合を開いてる。
私がいても邪魔になっちゃうしお登勢さんにお願いしてお手伝いをさせてもらうことにした。
「そろそろかな…」
手持ち無沙汰に箒で庭を掃く。足元に砂埃が舞う。
「紘、そこにおったんか」
振り返れば龍馬さんがこちらに歩いてくるところだった。
「龍馬さん、会合、もう終わったんですか?」
「おお、バッチリじゃ!紘は掃除しとったんじゃな」
「わっ」
えらい、えらいと頭をわしゃわしゃ撫でる。
「りょ、龍馬さんっ」
「ん?なんじゃ?」
「私、子供じゃないですよ」
口を尖らせて龍馬さんをじとーっと見つめれば、一旦きょとんと目を見開いて何がおかしかったのか突然笑い出した。
「な、何を言うかと思えば…そんなことはわかっちょるき」
「わかってま…」
せん、と言おうとした唇はあっと言う間に龍馬さんの唇に飲み込まれてしまう。
「子供だと思っちょったらこげなこと出来ん」
「龍馬さん!」
「おーおー可愛い顔が台なしじゃ」
紘の笑顔が見たいんじゃが?と龍馬さんが笑いかける。
相変わらず、ずるい。
「…またやってるのか」
後ろから聞こえてきた声に慌てて振り返れば以蔵が呆れた顔して立っていた。
「いいいい以蔵っ!?いつからっ!?」
「可愛い顔が台なしじゃー辺りからだ」
よかった…キスは見られてないみたい
「龍馬、大久保さんが呼んでるぞ」
「まだなんかあるんか?」
いつのまにか後ろから抱きしめて頭の上に顎を載せていたらしい龍馬さんの驚いた声が上から聞こえる。
「紘も一緒に連れていっていいかのう」
「俺は知らん、好きにしろ」
「じゃあ紘一緒に行くぜよ」
「ただ、そいつを連れていったら高杉さんと大久保さんに遊ばれるかもな」
そう言うや否やさっさと部屋に戻っていく以蔵。龍馬さんは慌てたようにそれはだめじゃ!と言った。
「紘、もうちっくと待っちょってくれるかのう」
「はい、私は大丈夫ですよ」
「ええ子じゃ」
そう言って頭をぽんぽんして龍馬さんも部屋に戻っていく。
結局子供扱いされてる気がする…。
軍服が歩く度に揺れる。そんな後ろ姿を見ながらそれでもいいか、と私は思った。
Sweet Sweet
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