◎ 4
「・・・ったく」
そこでふと右方向を見た火神はストリートバスケをしている人たちを見つける。
火神が懐かしそうに、バスケをしている学生達を見ている。
『あっ、ストバスだ』
「うぉー!!いつからそこに!?」
#name#がいることに気づかず、驚いている火神。
『最初からいたし
黒子くんじゃないんだし、あ・・・』
「あってなんだよ、あ・・・」
バスケをしている学生達の奥のほうで探してた人物ともうひとり見えたのに気づいた。
「・・・わかりません」
「・・・へ?」
黒子の返答が以外だったのか黄瀬は間抜けな声を出した。
「帝光の方針に疑問を感じたのは、確かに決勝戦が原因です。
あの時、ボクは何かが欠落していると思った」
「スポーツなんて勝ってなんぼじゃないスか!それより大切なことなんて
あるんスか?」
「ボクもこの前までそう思ってました。だから何がいけないかはまだ
ハッキリ分からないです、ただ・・・」
「?」
「ボクは、あのころのバスケが嫌いだった」
ボールを手に俯いたまま黒子が言った。
「ボールの感触、バッシュのスキール音、ネットをくぐる音・・・ただ好きで始めたバスケなのに・・・」
「だから火神君に会って、ホントにすごいと思いました。
心の底からバスケットが好きで、ちょっと怖い時やクサった時もあったみたいだけど・・・全部、人一倍バスケに対して真剣だからだと思います」
「・・・分かんねっスわ」
そう黄瀬が言ったのと同時に火神と##NAME1##がその場に到着した。
だが出てくることはなく、物陰に隠れて話を聞いている。
「けど一つ言えるのは・・・黒子っちが火神を買う理由がバスケへの姿勢だとしたら・・・黒子っちと火神はいつか・・・決別するっスよ」
「・・・!?」
『・・・』
黄瀬の言葉に驚く火神と#name#
「オレと四人との決定的な違い・・・
それは身体能力なんかじゃなく、
誰にも・・・オレにもマネできない才能をそれぞれ持ってるってことっス
今日の試合で分かったんス。
アイツはまだ発展途上・・・
そして、“キセキの世代”と同じ
オンリーワンの才能を秘めている。
今は未完成な挑戦者っス。ただガムシャラにプレイして、強敵と戦うことを楽しんでいるだけのね。
けど、いつか必ず・・・“キセキの世代”と同格に成長して、チームから浮いた存在になる。
その時火神は・・・今と変わらないでいられるんスかね?」
「・・・」
その言葉に黒子はただ黙っていた。返す言葉が見つからなかったのか、それともただ答えなかったのか
真っ直ぐ黄瀬を見つめていた。
「テメー何フラフラ消えてんだよっ」
「!」
そこへ現れた火神は背後からバシッと黒子を引っ叩く。
『大丈夫!?ちょっと火神くん、黒子くんは怪我人なんだから!』
「・・・・・よう」
「・・・聞いてたんスか?」
「聞いてたかじゃねーよ!オマエ何いきなり黒子ラチってんの!?」
「はあ?ちょっとくらい、いいじゃないっスか!」
「帰れねんだよ!!」
「んだよクソ!なんかウジャウジャいんじゃん!」
「!」
火神と黄瀬が言い合いをしているの他所に黒子と##NAME1##はストリートにやって来たガラの悪い不良達に気づいた。
「オラ、もう十分遊んだろ。代われ代われ」
「こっちだって来たばっかだよっ、順番を・・・」
突然やって来た連中に説得しようとする学生に、不良は「あ゛ぁ゛!?」と脅すように大声を出す。そんな不良を同じ不良が宥めようと声をかけた。
「まあまあ・・・・ココはホラ、バスケで決めるとかでどう?」
「なんだアイツら。ガラ悪ーな」
コートの使用権を巡って学生と不良たちはバスケで勝負を決めることになった。それに気づいた火神と黄瀬はその様子を見る。
学生達の優勢だった。だが不審なぐらい不良たちは負けようとしているのに
焦りを見せない。
「よし!これで勝っ・・・・」
学生の一人が最後のゴールを決めようとした瞬間。
「はいブローック!!」
「って!!?」
試合をせずにコートの外で見ていたはずの不良の一人が、ゴールを決めようとしていた学生をブロックした。それに学生たちも目を見開き驚く。
「・・・っちょ、なんだよ今の!?3対3だろ!?」
「はい?」
「バスケでっつったろ?3対3なんて一言も言ってねーし」
「なんだよソレ・・・!!んなヒキョーな・・・」
〈バキッ〉
「え?なんて?」
「がっ・・・!?」
「!?」
不良が学生の腹に蹴りを入れる。それを見た瞬間、黒子と#name#は
いてもたってもいられずすぐに行動した。
「なんて?悪ぃ、よく聞こえなかったわ」
そう言いながら不良は咳込む学生の背中を蹴る。
「どう見ても卑怯です」
黒子はバスケットボールを指の先で回して不良の鼻をかすめさせ、
#name#は蹴られた学生を助けた。
『大丈夫ですか!?』
「・・・っはい」
「アッツ!!?ってか、なんだテメぇらどっからわいた!?」
ボールが鼻をかすめたため、摩擦により鼻を火傷した不良は突然
黒子と#name#が現れたので驚く。
『「そんなバスケはないと思う!/思います!」』
私と黒子くんは並んで不良に面と向かって言う。
「何より暴力はダメです」
「なぁああにをやっとんじゃあー!!」
「二人ともー!!?」
そんな二人の行動に火神と黄瀬はただ冷汗をかく。
だが、すぐに仕方がないとでも言わんばかりの表情で溜息をついた。
「はぁ!?いきなりなんだテメーら!!」
不良の一人が黒子に掴みかかる。
「ハハッ、いんだね今ドキ。じゃあバスケで勝負してやるよ」
鼻から手を離して二人の方を見た不良はその後ろにいる人物に気づいた。
「あのーオレらもまざっていっスか?」
「つーか、何いきなりかましてんだテメーら」
黒子の頭を押さえた火神と、ちゃっかりと#name#を心配している黄瀬。
その二人のあまりもの長身に驚いていた。
「「「(ででででケェー!!?)」」」
「なんじゃ〜〜!?)」
「5対3でいーぜ。かかってこいよ」
「なんだとっ!」
結果は言わなくてももちろん瞬殺で勝った。
勝負が終わり、すぐに四人は先ほどいた場所へと戻る。
「オマエらは!何を考えてんだ!!」
火神からお説教を受けていた。
「オマエらは何考えてんだ!
あのままケンカとかになったら、勝てるつもりだったのかよ!?」
「いや、100%ボコボコにされてました」
『ごめん・・・』
「見てくださいこの力コブ」と自分の二の腕を出して力を入れるも、
全然力コブが出来ていない黒子。
「ねーし!!」
「黒子っちってたまにすごいよね」
「それでも、あの人達はヒドイと思いました」
『だから言っただけだし・・・』
「だからその先を考えろ!」
『「・・・・忘れてました」』
「そろって同じこと言うな!」
『「すいませんでした」』
黒子と#name#の息はここでも合っていた。
「じゃあオレはそろそろ行くっスわ」
「!」
黄瀬が自分のスポーツバックを持ち上げて肩にかける。
「最後に黒子っち一緒にプレーも出来たしね!」
心底嬉しそうな顔をして言う黄瀬を、黒子は黙って見る。
「あと、火神っちにもリベンジ忘れてねっスよ!予選で負けんなよ!!」
「火神っち!?」
「黄瀬くんは認めた人に“っち”をつけます。よかったですね」
『(へーそうなんだ・・・なんで私は最初からなんだ?)』
「やだけど!!」
「予選で負けんなよ!!」
それだけ言い残し黄瀬は去っていった。
「・・・火神君、一つだけ聞かせてください
あの話を聞いてましたか?」
「決別するとかしないとか?・・・てゆーか、それ以前にオレ、
オマエと気ィ合ってねーし。
一人じゃ無理だって言ったのはおめーだろ?だったら、いらねー心配すんな」
「・・・それに」と火神が続ける。
「いつも光と共にある。それがおまえのバスケだろ」
私は火神くんの言葉を聞いた瞬間、頬が緩んだ気がした。
『火神くんも結構言うね』
「うるせーよ!!」
『(あ、リコ先輩たちだ)』
「あっ!!いたー!もう!!」
公園を出ようとした瞬間、リコ先輩が突っ込んできた。
いきなり逆エビの刑にあっていた
「よーし帰るぞー」
先輩たちが黒子くんをスルーして通りすぎていく。
助けようとしたけど、コガ先輩に背中を押されてそれはできなかった。
―ご愁傷様黒子くん・・・。
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