秋はもの悲しくなるとか言いますね。いつ、誰が言ったのかなんて知りませんが。
だからと言うわけではけしてないんですけど、どうにも最近調子が悪いのです。
今まで気にならなかったこと、気にしようとしなかったことがやけに目につく。
まるで女の子みたいです。こんな自分は正直嫌い。
「まだ紅葉には早いみたいですね」
近くにあった小さな紅葉の木を見て呟いてみる。
緑なのか黄色なのか赤なのか、ハッキリしない曖昧な色。
変わりきってしまえばとても美しい物なのに、変化途中はなんだか……
「もどかしい?」
「……何が?」
不意に、声。今まで気配すらも感じなかったというのにそこには透き通るような青い髪の青年。
「紅樹くん…」
「こんな所でなにやってんの」
「秋だなぁって、葉っぱさんを見ていただけですよ」
「………なんか寂しそうだったけど」
ああ、なんで貴方はそうも敏感なのでしょう。
にこり、と微笑んで見せて。
そうすれば今までの表情忘れてくれますか?自分に憂い顔は似合わないでしょう?
「そんなことないですよ?ただ」
「ごめん。ちょっと」
するりと、自分の視線から抜けて、綺麗に、流れるように横に抜けていく。
進む先にいるのは、未だ夏色の葉っぱのように緑色の少年。
本当に、紅樹くんの頭の中は早乙女くんでいっぱいなんですね。見てて、良く解ります。
そしてきっと……
「………会長」
こういう時にタイミング悪く通りすがってしまうんですよね。毎回。
二人を見て寂しそうな顔をして、邪魔をしないように過ぎ去っていく。
「会長」
声は、聞こえてないみたいですね。結構頑張って出しているんですけど。
紅樹くんは……話に夢中みたいですし。
声が届かなかった会長がコチラに気づいてくれるわけもなく。
早乙女くんは、論外ですね。だって紅葉に自分で隠れてしまいましたから。
見ているのは、結構ツライ物がありますよ?
「一方通行。少女漫画ですか、これは」
また呟いてみる。
今度は誰にも気づかれない。誰にも聞かれない。
まるで自分だけ世界から切り離されたようだ。なんて、詩人みたいな事考えて。
「これも、秋のせいです」
何度呟くんでしょうね、自分。
でもそう思いたくもなるでしょう?こんなに彼等が気になるなんて。
こんなに、苦しい気持ちになるなんて。
一体誰がこんな関係を仕組んだのでしょうね。理不尽きわまりない。
こんなの……自分は籠の外じゃないですか……
(だれか、見つけてくれませんかね)
こーるみー
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