大好きな大好きなアズサ先輩。
もういつだったかなんて覚えてないけど、アノ人が俺に告白してからきっと沢山の時間が過ぎた。
俺はいつのまにか先輩に夢中になって……
「愛しとぉよ」
「俺もです、先輩」
甘くて愛おしい時間。
大好きな先輩とそんな時間を共有する日々。
永遠に続くと思っていた、なのに。
「紫蔵また恋人変えたらしいぜ」
「アイツどんだけ遊び人だよ、すげーな」
「今月3人目じゃね?」
学校を駆け巡る根も葉もない噂。
そうだ、これは噂。ただの噂。先輩が、俺を裏切るわけが無いじゃないか。
「先輩、愛してます」
「どないしてん、改まって」
「先輩も、そうですよね?」
「おん。愛しとー」
「じゃぁ、今日先輩とずっと一緒に居た女性は誰ですか?」
「………なんやねん急に」
「先輩は、俺だけ愛してくれてるんじゃないですかっ」
涙を浮かべて詰め寄って。
信じていました、本気で。疑うなんて嫌で……
でも、気づいていました。先輩が女性とそう言う関係を持って入ること。
先輩が……
“愛しとぉ”
愛を囁くのは俺だけじゃないことを。
「俺なんか本当はどうでも良いんですか?俺も、あの人達もみんなみんな同じなんですか?!」
「………はぁ…自分をかい。うっといわ。黙っとけばええもんを……」
「なっ!!?」
「他のヤツと遊んどるよ?やからなに。ヤりたいからしとる。それの何がアカンの」
「…………………先輩は、俺をどう思ってるんですか」
「どうも想ってへん。……はぁ、もうええわ。」
先輩がいなくなった部屋は余りに寂しくて。
どれだけ泣いても、どれだけ先輩への愛情を摘んでも、限りはなくて。
気づきたくなかった。言わなければ良かった。
そんな後悔。でも、後悔したってもう元には戻らない。
「もう何人目だよ」
「今回は長く続いてるんじゃね?めっちゃリア充感あるし」
「本気なんですねー、分かりますw」
先輩がもういいと言ったあの日から時間なんてそんなに経たないで。
まるで俺のことなんか無かったかのように、先輩の隣には、俺の居場所には別の子。
愛してると、彼等の近くにいると必ず聞こえてくる。
「返して」
俺の変わりなんかいくらでもいるんですね。
「返して」
コレじゃ俺はまるで消耗品じゃないですか。
「……かえしてっ」
愛してる、はそんなに、軽いフレーズだったんですね。
きっとその子に言ってるソレも、飼い慣らすためのただの餌……
先輩が何を思ってそうしているのかなんて分かんなくて。
でも、先輩が俺を愛してくれていなかったのは分かってしまって。
「舞い上がっていた俺がバカみたいだ。先輩に、良いように踊らされて」
遊びだって気づいたのはいつだっただろう?
今まで特別にされていたんじゃなくて、先輩の暇つぶしに過ぎないって気づいたのはいつ?
ああ、ソレはきっと初めから。
でも、それでも…
俺は一生背負い続ける
(愛してるんです、先輩)
―――――
繰り返し一粒(Ver.リン)パロ。
遊び人梓と健気な理苑のお話です。
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