俺は割と顔が良いらしい。
自分でそう思うのは何もこの顔が大好きだとか、そんなナルシズム的な話では無い。
ちゃんとソコにある現実としてそう思っただけだ。
いや、こう言い回しはやはり勘違いを生みやすい言い方だな。
じゃあ事実を…
俺は、中学に入ってから絶えず女子から告白されていた。
それは高校に入った今でも同様で、時には男子からなんてのもあった。
クラスメイトにはその頻度から羨ましがられることもあるけど、変われる物なら変わって欲しいぐらいだ。
「紅樹、またラブレターかよwww」
「羨ましいヤツwww」
「…………はぁ」
「溜息とかムカつくわぁ。俺もそんなに告られてみてぇ」
「……じゃあ変わってよ」
「嫌味かよwwwww」
「割と、本気なんだけど……」
靴箱の中に可愛らしい封筒。紅樹くんへ、なんて丸みを帯びた字で書かれているからそれが所謂ラブレターなのだと俺じゃなくても気づいた。
朝からハイテンションなクラスメイト達だ。
ホントに変わって欲しいよ。正直鬱陶しい。
そりゃ、初めのうちは嬉しかったよ。でも、段々鬱陶しくもなるよ。
告白を無視したらしたで女子の情報網早いから“酷いヤツ”とか“最低”とか触れ回る。
そこに親友とかがケチつけてきたりしたらもっと厄介だよ。女子ってホント怖い。
因みに、全部経験済み。中学の時にね。
「お、紅樹何処行くんだー?」
「コレ……に、昼休み裏庭って……」
「律儀なヤツwwwいてらーwww」
イライラする。律儀って言ったって、単純に面倒なこと回避したいだけだし。
あぁ、このまま鴇也の所に行きたい。
会って抱きしめて、きっと真っ赤になるだろうから、頬にキスして甘い言葉をかけて……
……会いたい……鴇也……鴇也…鴇也、鴇也鴇也とき
「紅樹くん?」
意識が現実に戻される。裏庭、着いちゃったんだ。
「コレ、キミ?」
「は、はいっ」
「それで?」
「ぇ?」
「要件、言って」
真っ赤になってもじもじとし出す女子生徒。目を合わせるのも恥ずかしいのかある意味挙動不審だ。
ソレでも苛立ちは表に出さずに少しの気まずい沈黙を乗り越えると、ようやく口を開いた。
「あの、紅樹くん……私、こ、紅樹くんのことが……す、……す…」
「…………」
「……ッ、好きですっ!」
「………」
「だから、あの……付き合って、」
「ねぇ、俺の何処が好きなの」
黙ってただ見ていたけど、不意にそんなことを言っていた。
こんなの聞いても誰の得にもならないって言うのに。相手の言葉も遮っちゃったし。
「え?……えっと…その…初めて見たときから格好いいって思ってて……なんだか、優しそうだし……」
「優しそう…?」
「は、はいっ!あの…みんなはそんなこと無いって言うんですけど、あのっ、わ、私は、顔に出さないだけで本当は優しい人なんだろうなって思ってて……それで、その……」
「へぇ」
イライラする。何なんだろう、この私は理解してますよって感じの言い方は。
一度も話したこと無いのに、なんでそんなことが言えるんだろう。
だいたいなんなの。格好いいと優しいとか…いや、優しそうっていう王道の二つ。
後者に至ってはあくまで推測だろ?
…あぁ、じゃあ……
「ねぇ、ホントに俺が好きなの?」
「は、いっ…」
「じゃあさ」
近づいて、リボンに手をかける。
「俺が何しても嫌じゃないの?付き合ったら、色々ヤるだろうしね」
「ぇ、あ…それはっ…」
真っ赤になって俯いて。
上から見下ろすようにすると、俺の髪が当たってくすぐったかったのかピクリと肩を震わせた。
シュル
女子生徒が驚いた様に俺を見る。ネクタイを緩めて首元のボタンを外した。
普段彼女が見ることの無いであろうその俺の姿に更に頬を染めて……何、期待してんの…
冷たく相手を見て、強引に口づけをする。
表情の変化に気づいたのか、体を少し強ばらせて微かに怯えるような仕草をみせる。
唇に舌を這わせて歯の間から校内へと滑り合わせる。
チュ、クシュと言う唾液の混ざり合う音が静かだった裏庭に聞こえだして、彼女の羞恥心を煽る。
そしてそのまま、少し乱暴に胸を触って。
「――――――っいや!」
「ッ」
どんっと、強い力で押されて離れざるをえなくなる。
舌、少し噛まれたのかな。血の味がする。
「何で拒絶するの。俺が好き、なんでしょう?」
「だって…こんなコトするなんて……私、まだ答え聞いて…っ…」
「……気持ちなんて有るわけないじゃん」
乾いた音が響き渡った。
平手打ち。ソレも全力で。
女子の力でも結構ダメージはくるんだよ。ったく……
「さいってい!!」
その一言を残して彼女は去っていった。
血の味がする。これ、完全に切れただろうな。痛い……
口元を押さえて、端から流れた血を拭った。
ホント自分勝手だよな…女子って……
「殴るぐらいなら迂闊に告白しないで欲しいよ……はぁ…」
理解してない癖に、理解できない癖に、ほんとイラツク。
格好いいとかいらないんだよ。優しいとか、何も知らない癖に言わないで。
俺はただ…鴇也が居ればそれでいいんだから……
――――――
強制終了\(^o^)/
途中から話が迷子になったのは最早言うまでもないw
以下お馴染みの解説。
告白されることが嫌いなレイ君がいて、凄く酷い方法でふって、殴られてみたいな←
殴られた後にスッゴイ蔑んだ目をしているレイ君が浮かんだので書いたw
多分鴇也にも同じコトして「俺はこのぐらいじゃれぇ君を嫌いにならないよ?」みたいなことを涙目で言って欲しい←←
んで、二人はめでたくゴールイン!!とかね!
そこまで書けなかったがな(`・∀・)ドヤッ
<<戻る