いつだって、誰だって、精神的に不安定になることはある。
例えばソレが、俺のような所謂不良っぽい人間であっても。
「(マズイ…な……)」
雨が降り続ける梅雨。
少しの間も日が出ず、分厚い雲が空中を覆う湿っぽい時期。
こうも気落ちしそうな日が続くと、さすがに苛立ちもするんだ。
日頃から制御をかけているからといっても完璧などではないからな。
「(…イラツク)」
特に何があったわけではないのだが……激しく苛立つ。
同時に、寂しいような、どこか心苦しくて胸が詰まる。
煩わしい。
小さく舌打ちをして歩を進めながら、モヤモヤとする感情を意識したことを後悔した。
苛立ちが更に増す。
そして、ソレと比例するかのように歩幅は大きく、速度も速くなる……
「やはり来たか」
静かな、落ち着いた声。
全てを悟っていたかのように悠然と紅茶を飲む男はよく知る人物だ。
「…黒丑…」
「ああ、構わんぞ」
呼んだだけだ。
だが彼にはソレで十分だったようで…
紅茶のカップを置いたのを確認して、歩み寄り、抱きしめた。
抱きしめている腕が震える。
「「…………」」
お互い何も言わずに、秒針と息づかいだけが聞こえてくる。
そして次第に重なる呼吸音。
同じタイミングと感覚で、まるで混ざり合って一つにでもなっていくかのように。
「……草眞」
「…はぁ……好きにしろ…」
名を呼ぶ。やはり彼にはそれだけで伝わってしまう。
唇を合わせて、舌を絡め取って。
黒丑の呼吸が荒くなる。鼓動が、聞こえてくる……
「…すまん」
「構わんと…言った、だろう?」
呼吸が乱れる中で薄い笑みを向けられた。
相変わらず自分のペースを乱さない男だ、と俺も軽く笑った。
そうして何事もなかったかのように離れて、正面の用意された席に腰をかける。
ひやり、と冷たい。鼓動が徐々に落ち着いていくのを感じた。
「変わらんな」
「何がだ?」
「雨が降り続けるとお前は何時もそうだ」
「…そうだな……あぁ、でも…」
もう大丈夫
いつだってお前が抱きしめてくれるのだからな
―――――
解りにくいので説明を入れてみる←
考丑で、牛さんの家に突然来て、無断で入ってる感じ。
後はご想像にお任せ致します(*´∀`*)♪
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