※十年後。シバは所謂裏の世界(マフィアとか殺し屋的な)で働いてる設定です。
丑さんは……なんだろ;先生?……お医者さんで!
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暗い、湿っぽいくて生暖かい風が肌を撫でて通りすぎていく路地裏。そんなありがちなシチュエーションの中で、これまたありがちな黒いマントに赤い大量の血という状況の中一人の青年がたっていた。
まァ、青年ったってオレなんだけどネ。
嘉山柴。通り名で言うと始末屋。つまりはそういうこと。
え?どういうことか解らない?……文字どうり。全ての物語に、事件に、人生に、始末をつけること。
……ンー、この表現は解りにくいな。ほら、火の始末、とかあるジャン?あんな感じ。
イロイロ終わらせてお片付けする仕事だと思ってくれればいいよ。
……とりあえず。今そのお仕事が終わったところなわけデ。
「帰り、づらいなァ」
帰るって言っても別に家、って訳じゃ無いんだけどネ。
ふー、と小さく溜息をついて頬に付いてしまった血をぬぐった。
折角深めにフード被ってたのに……間から入っちゃうなんてなァ…
「お仕事きらァい」
でも抜け出せない。一度やってしまえば周囲の状況としても、自分としても止められない。
頭ではこう思っていても精神がついてきてくれないっていうの?なんかもう依存っぽい。
そんな風にダラダラ考えながらも足は家路を辿る。
こんな血だらけのまま帰って怒られないかな?とかそんなことも頭の中を巡る。
きっとアノ人は気になんてしないんだろうけど、なんか付きまとう。いっつも仕事帰りには。
そして……
「開けて、いいのかなァ」
仕事帰りじゃなくても、いつも、いつでも思うんだァ。この扉を開けていいのかって。この家に帰ってもいいのかって。
だってね?オレってこんなにも汚い色で染まってるんだよ。この家の持ち主はとてもキレイで……すごく良い所なんだよ、ここ。だからオレみたいなのが入っちゃ
「どうした……入ってこないのか?」
唐突に、落ち着いた男の声が聞こえてくる。聞いただけで耳にも、脳にも、心にも焼き付くような声。コエ。
カチャリと、扉を開ける。どうやらインターフォンから聞こえていたようで、扉を開けても声の主は見えない。でも何処にいるのかなんて直ぐに解って……。紅茶の香りがする方へ歩いて行く。
扉を、開けて。
今更ながら躊躇った。キレイで、真っ白で、暖かい部屋の雰囲気。甘い匂いが広がっている……
少し俯きがちに彼を見る。オレ、きっと今すごい酷い顔してる。泣きそうなのに、仕事の表情が中途半端に残っているような。気、だけかもしれないけど。
「……いいの?」
今更だ、なんて思いながら無意味な問いを投げかける。きっと今のオレは、誘われても拒絶されても、ツライ。
複雑な表情のまま立ち尽くしているオレをソコにいた男、黒丑草眞は一瞥もせずに、ただ飲んでいた紅茶を置いて袖もとから鍵を取り出した。
そのままオレを見る。いつもの無表情で、手にしたソレをぶら下げてオレに見せて。
「カギは……開けておいただろう?」
今此処にいることが、何よりの証拠だった。
不器用だね
(オレも、キミもね)
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自己解決って人には伝わらない;;;;
えっと、柴君は自分の家をあえて持たず、色んな人の所に住み着く=帰るって感じ。
イメージ曲は黒うさPの「リスキーゲーム」なのですよ;
ちなみに、これの元となった替え歌はコチラ→リスキーゲーム
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