オレの嫌いなもの。
勉強
ピーマン
毛虫
狗牙！
スッゲー、順になった気もするけど…気にしないでおこう！
とにかく、オレは狗牙が嫌いだっ！
「おはようございます。また遅刻ですカァ？」
「煩い！どうでもいいだろ！！」
「まったく…まだまだ子供ですネ」
嘲笑うみたいに鼻で笑われる。
いつもこんな感じだ。
澄ました顔を崩さないで、冷たく笑う。
あれか？クール路線でも狙っているのか？クールビューティーというやつか！？
「あー！！」
意味もなく叫んでみる。なんかムシャクシャするんだ。
一人だけ大人ぶってるって言うのか？
兎に角！
オレを子ども扱いしてるみたいでむかつく！！！
「荒れてますね〜」
ホワン、とした雰囲気で生徒会書記……樫木朝葉が話しかけてきた。
「また狗牙くんのことですか？」
「何でわかったんだ！？」
「だっていつもそうでしょぉ？」
「む…ぅ？」
「咎狗くんの言うこと、大抵狗牙くんのことですよ〜」
「それは………アイツが悪い！！」
「ふふっ」
先ほどのことを思い出してまた怒りがふつふつと湧き上がる。
うぅっと軽く地団太を踏んで廊下を歩いていった。
朝葉は生徒会の用事があるとかで少し小走りで職員室に向かった。
「ぅう…狗牙めぇ」
思い出すだけでイライラしてくる。
時々、何がそんなに気に入らないのかと聞かれるが、全部だ。
冷たい笑い方、見下してるみたいな言い方、オレにだけとげのある行動、言動！
むかつくんだ。
そりゃ、主観？というのもたくさん入ってると思うが……
「………」
立ち止まる。
気づけばオレの中はあいつの事ばかりだ。
それも…やっぱりむかつく。
「〜〜よなぁ」
「つかさぁ…………」
男子生徒の声が聞こえてくる。
このまま止まっていたらすれ違うなとぼんやり思った。
思っただけだ、特に意味はない。
「マジむかつくよなぁ、2年のくせに」
「狗牙のやつ、絶対俺らのこと見下してんだろ」
「一回しめとくか？」
「ぉ、いいなぁ。しばらく学校来れないようにしてやろうぜ」
「ｗｗｗあれか、体育館裏かｗｗｗｗ」
下品な笑い方。
嗚呼、イラつく。
「おい」
「てかどうやって呼び出すよｗ」
「直接いくかぁ？」
「呼んでいるのが分からんのか貴様ら」
ガッと、音がしそうな勢いですれ違いざまに男たちの腕をつかむ。
「あ？」
「んだよ、１年坊主」
イラついたようにこちらをにらんでくる。
なんだ、それで威嚇したつもりか？まるで子犬だな。
「貴様ら、今話していたことは事実か？」
「…狗牙のことか？」
「あーマジマジｗあいつ生意気でウゼぇからさｗｗｗ」
「ほんっと、アイツには礼儀ってもんを教えてやんねぇとな」
「礼儀を知るべきなのは貴様らだろ！」
「「あ？」」
「狗牙を侮辱するな！！」
「なんだよ、狗牙のお友達？ｗ」
「あれか、友情ってやつ？ｗｗｗｗ」
ギリと、つめを立てて、力を入れる。
男の顔が痛みで歪められる。
「いい加減離せや」
「訂正すれば離してやるぞ」
「ああ？！調子乗ってんじゃねぇよ！」
拳が飛んでくる。
すぐ暴力か。馬鹿馬鹿しい。
「はっ！低級が」
――――
――
―
「珍しいねぇ、咎狗が呼ぶのォ」
「…やりすぎてしまった……頼むぞ？」
「はいはぁい」
男たちをフルボッコにしたあと柴に後片付けを頼んでその場を後にした。
いらつく…むぅ…
「こんなところにいたんですカ。帰りますよ」
「狗牙…」
「なんですカ」
「…お前なんか嫌いだからな」
「あーハイハイ」
「嫌いだからな！！」
あいつらの言葉を聴いてキレたのは…単に機嫌が悪かっただけだ。うん！
大嫌いだぁ！
（好きとかじゃない！！）
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