×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


「そういえばナマエ」
「何?」

ソファーに寝転がり、シュウの膝を枕にしながら雑誌を読んでいると、僕の髪を撫でながらテレビを見ていたシュウが僕を呼んだ。
何かと思ってシュウを見たら、なんだか愉しそうに笑みを浮かべている。

「ノートはどうした」
「ノート? 何それ?」
「俺に会いたいだとか、色々書いていたノートがあっただろう」
「!?」

シュウの言葉にビックリして、喉の奥がヒュッと鳴る。

「なんで知ってるの!?」

日本に居た時、シュウを想って毎日のように泣いていたあの頃、ジョディに日記を書くといいと勧められて日記とは言い難いものを書き留めていたノートがあった。シュウへの想いを書き連ねたノートだ。
我ながら女々しくて恥ずかしいものを書いたと思ってる。
ただ、僕にはもう必要無いからと、帰国する際に処分したけれど。
何故それをシュウが知ってるのか。

「一度お前の様子を見に行った時にな」
「なんで勝手に見るの!?」
「ついな。減るもんでも無いだろう」
「人のもの勝手に見ないでよ!ばか!えっち!」
「はは、随分可愛らしい事をするもんだと思ったよ」

何処にある?と聞いてくるシュウにもう処分した事を告げると、信じられないとでも言いたいような表情で見下ろしてくるシュウ。えっ、何その顔。

「何故だ」
「何故って…シュウが居るのにノートに縋る必要無いもん」
「……」
「何? 急に黙んないでよ」
「お前は、本当に」
「何?」
「いや、敵わないと思っただけさ」
「? 変なシュウ」

相変わらず愉しそうに笑っているシュウは、それ以上何も言わずに、再び僕の髪を撫で始めてテレビに視線を戻した。なんなんだ一体。
きっと、追及したところで何も教えてくれないだろう事は分かってる。だからシュウの頬を軽く抓って、僕も雑誌に意識を戻した。

日本での出来事が無かったらシュウが居る事が当たり前で、なんて事無い日常なんだと思ったまま日々を過ごして居たかもしれない。でも今は、一瞬一瞬が大切で。

「ねぇ、シュウ」

雑誌から顔は上げず、シュウを呼ぶ。

「ん?」
「僕の事好き?」
「なんだ突然?」
「僕はシュウの事大好きだよ」
「知ってるさ」
「シュウは?」
「そうだな…」

I love you more than anyone else in the world.
(世界中の誰よりも愛してる)

シュウの口説き文句はなんだかこそばゆくて、思わず顔が赤くなる。
欲しい言葉ばっか言ってくるなんて、心が読まれてしまっているのだろうか。

「お姫様はこれで満足か?」
「お姫様って、僕男だよ。でも…うん、嬉しい……」
「その顔は、誘ってるのか?」
「えっ?」
「参ったな。このままでは寝かせてやれそうに無い」
「えっ?ちょ、まってシュウ、」


急に変なスイッチが入ったシュウに突然横抱きにされた僕は、そのまま寝室へと連れ込まれ、抵抗虚しく愛欲に飲まれるのだった。