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僕の知らない間になんやかんやあり、スバルがシュウだという事を、ジョディ達も知ったらしい。そして僕は帰ってきたジョディに何故か怒られた。知っていたなら教えてくれれば良かったのに、と。何故僕が怒られなきゃならないのか。怒るならジェイムズやシュウにして欲しい。僕に怒るのはお門違いって奴だ。

シュウが本当は生きていたということを色んな人が知っても、シュウは相変わらずスバルのまま生活していた。なんだか僕はそれが嫌で、もうスバルで居る必要は無いのでは無いかと訊ねたけれど、シュウは曖昧に誤魔化すばかりで話にならなかった。



それからどれだけ時が経ったか。気が付いたら、シュウ達が追っていたという組織が壊滅したという話を聞いた。最終的にはFBIと日本の公安が協力していたとキャメルが言ってた。
トオル──本名はレイ・フルヤらしい──も実は公安だったと聞いてびっくりした。うぅん。人って見ただけじゃ分からないもんだ。



「ナマエ、」
「なぁに?」
「アメリカに帰る準備、しておきなさいね」
「やっと帰るの?」
「ええ。日本での仕事も終わった事だしね」
「シュウも帰ってくる?」
「当たり前でしょ」

当たり前。ジョディのその言葉に胸がギュッとなった。
やっと帰ってくる。これからはまたずっと一緒に居れる。そう思ったら嬉しくて、ついつい顔が緩んでしまう。ジョディは呆れたように笑って、明後日までには終わらせておくように、と告げて部屋から出て行った。
明明後日、僕らはアメリカに帰るらしい。

ここまで、随分長かった気がする。
シュウが生きていると知らなかった間は時間の流れが本当に遅くて、辛くて、悲しくて、寂しくて。だから余計に長く感じるのかもしれない。
ようやく帰れる。ようやく、きちんとシュウに会える。
日本に来てから知り合った人達と別れるのは勿論ちょっぴり寂しいけれど、僕の中ではやっぱりシュウへの想いの方が大きいようだ。


△▼△▼△▼△


四日後。帰国日。
ぞろぞろと日本に来ていた捜査官達が集まる中、未だにシュウの姿が見えない。
近くに居た捜査官にシュウを見てないかと聞いてみたが、まだ来てないのではとの答えが返ってきた。

「ジョディ」
「やだ、ナマエったらなんで泣きそうな顔してるのよ?」
「シュウは…?」
「用事を済ませてから来るって言って──ああほら、来たわよ」

来たわよと、向こうからやって来るシュウの存在をジョディが目線で教えてくれた。
反射的に僕は荷物をその場に残して、シュウに駆け寄り勢い良く抱き着いた。その勢いに僅かにぐらつくシュウ。鼻腔を擽る煙草の匂いにほっとする。

「どうしたナマエ。そんなに慌てなくても逃げやしないさ」
「違うよ。まだ、ちゃんと言ってなかったって思って」
「? 何をだ?」
「あのねシュウ、おかえり」

帰ってきてくれてありがとう。
そう告げるとシュウは驚いた様に目を瞬かせ、次いでふっと笑った。

「ああ、ただいま」


願わくばもう二度と、あんな想いしなくて済みますように。