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※ジン×夢主前提
※ちょっと下品

「…………………」
「なんです? さっきからずっと見てますけど」
「いや……………………バーボンって腰ほっっっせぇなぁって思って」
「は? 気持ち悪いんで見ないで貰って良いですか?」

組織の人間、コードネーム。本名は知らない。
虫も殺さなそうな顔をしているくせに、躊躇いも無く人を殺す。
ベルモット曰く、あのジンと付き合ってるらしいから、影響でも受けてるのだろうか。
らしい、というのは、本人達の口からそうだと聞いた事が無いのと、彼らが揃って同じ仕事をした事が無い──僕が知ってる限りでは、だが──という事と、都合で同じ場所に居ても、必要以上に近付く素振りを見せないので、あまりそうなのだと納得出来ない。

「気持ち悪いってなんだよー」
「そのままの意味です」
「ちぇっ」

もうひとつ、コードネームがジンと付き合っている、というのがあまり信じられない要因がこれだ。仕事で一緒になる度にセクハラされる。今のはまだ良い方で、良くない時はくっ付いてくるし触ってくる。

「ジンは良いんですか?」
「は? なんで今ジンが出てくんだ?」
「付き合ってるんでしょう?」
「は? あ、ベルモットだな」
「まぁ」
「付き合ってるんじゃん? 知らんけど」
「自分の事なのに知らないんですか?」
「だってセックスする時しか一緒に居ないし」
「それ付き合ってる、じゃなくてセフレって言うんじゃ?」
「じゃあそれで良いや」

どうやら彼の中ではジンとの関係は曖昧らしい。ジンに関しては知らないが。というか、身体の関係はあるんですね…。

「ジンのこと好きなんですか?」
「なんで?」
「いや、なんとなく」
「まぁ嫌いじゃないけど。顔綺麗だし、ちんこでけーし」
「あ、最後のは要らない情報だったなぁ」
「そう?」

いやほんとに。もっと有益な情報ならともかく。

「もしかしてバーボン、ジン好きなの?」
「なんでそうなるんですか?」
「じゃあ俺?」
「いや、有り得ないんで」
「ほんとぉ? 一発ヤッてみる?」

何故そうなる。
待機中で暇だからといって、何故僕はこんなにもくだらない会話に付き合っていなければいけないのか。
そもそも、コードネームは暇でも僕は暇では無い。

「なぁってば」
「ちょっと静かにしてて貰えますか?」
「ちぇっ」

不貞腐れたような声を出すコードネームに若干のイラつきを感じるが、本当に退屈なようで、さっきまで腰掛けていたドラム缶から降りたコードネームは、車に戻って居眠りし始めた。自由すぎて意味が分からない。

与えられた仕事はきっちり熟すし、仕事に関しては言うこと無し──これがちゃんとした組織であったのなら僕は彼をそれなりに評価していただろう──なのだが、如何せんその他の態度がべらぼうに悪い。
ジンは良くこんなのと関係を持てるものだと思う。




「終わりましたよ」
「んあ?」

車に戻りコードネームへと声を掛けると、気の抜けた声が上がった。

「本気で寝てたんですか?」
「だって暇だったし」
「では暇が無くなるんで良かったですね」
「何?」
「ターゲットが動きました」
「もしかしてずっとパソコン見てたのって、ターゲットの同行追ってたの?」
「まぁ」
「ヒュウ!流石バーボン!キスしてやろーか」
「結構です」
「なんでぇ。じゃあ口で抜いてやろーか」
「なんでそうなるんですか? 突拍子無さすぎて貴方の思考回路が怖いです」

じゃあ、の意味が分からないし使い方間違えてなかろうか。
コードネームの提案を軽くあしらいながら車を発進させ、目的地へと走らせる。

「最近ご無沙汰なんだよ」
「何がです?」
「セックス」
「聞いた僕が馬鹿でした」

コードネームの容姿なら、女性だって選び放題だろうに。女性を相手にしないのかと、疑問をぶつけてみれば、妊娠したらめんどくせーじゃんとか、付き纏わられたら嫌だしとか、その他いくつかの最低な回答が返ってきた。

「ジンなら都合良いし」
「貴方がジンを抱く方ですか。意外ですね」
「いや、俺が抱かれる方だけど」
「あぁそうですか」
「興味なさそ〜」
「まぁ興味無いですからね」
「ちぇっ。俺結構バーボンの顔好きなんだけどなぁ」
「そういう目で見ないで下さい」
「バーボンだったら抱いても良いかなぁ」
「人の話聞いてます?」
「でもバーボンみたいなタイプに抱かれるのもアリかもしれない」
「する事前提で話を進めないで欲しいんですけど」
「つれねぇなぁ〜〜〜〜」

仮に、ジンがこの頭の中まで精子が詰まってそうな男に多少なりとも特別な感情を抱いているのだとしたら、今すぐにでもやめた方がいいと忠告してあげたいものだ。

その後も下品な話題を続けてくるコードネームだったが、やはり仕事となるときちんと熟す。早々に目的を果たし車へ戻って来たコードネームに労いの言葉を掛けてやれば、いつも眠そうな瞳がパチクリと瞬いた。


「やっぱヤる?」
「ヤりません」
「ちぇっ」

組織の人間じゃなく、これが無ければ、彼とは良い友人になれたかもしれない。なんて思ったが、これは口には出さない。絶対に調子に乗るだろうから。