「…ずっと、すきだったぜ」

青空と桜吹雪を背景に、彼は切なそうに目尻を下げて笑った。
今時語尾に「ぜ」なんてどこのバトルアニメの主人公だと思いつつも、私の心は沈んでいた。
左胸に飾られた紫色の造花は、私の乾いた心を表しているようにパサパサだ。
漫画だったらこういう時、涙が溢れるんだろうけど、もう水分なんて残っちゃいなかった。

今日は、馬鹿らしくて、楽しかった中学校生活に終止符を打つ日。
…そう、卒業式。
まだ離任式が控えているけれど、やっぱろ、それでも…今日で、さいご。
馬鹿みたいに騒いだ毎日。礼儀を忘れそうなほど楽しかった部活。
うまくはできなかったけど、それでも頑張った勉強。…全部が、キラキラと輝く、宝物だ。
ませていた私達に芽生えた、恋心も、とっても大切に思える。

「……私も、だよ」

やっと返した一言も、なんだかうまく気持ちを込められなくて、つい笑いそうになった。
彼との思い出が、走馬灯のように浮かぶ、死ぬわけでもないのに、馬鹿らしい。
まだ初々しくて、一緒に帰るのも恥ずかしかったとき。同じクラスになれて、泣きそうなほど嬉しかったとき。
修学旅行でこっそりお揃いのストラップを買ったとき。…全てが、愛おしくて。
窓の前に立つ彼と、ドアを背にn立つ私。静かで、心地よい沈黙。
永遠に、この時間が続けばいいと思った。

「………高校でも頑張れよ」

沈黙を破った彼の一言に、私は息が止まりそうになった。
そうだった、高校は別々だったっけ。急に寂しさがぐっときて、まゆが下がった。

「、うん」

私は無理に笑顔を作った。
あー。多分、今の顔、すっごい不細工なんだろうなあ。恥ずかしいなあ。
でも、そんなこと気にしてる場合じゃないんだ。

「…じゃあね」
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