「…は?」

私はそう言われたとき、思考が停止した。
こいつ、今なんて言った?

宇黎愛羅高校二年生。
自分で言うのもなんだが、私はモテる方である。容姿は悪くないだろうし、そこそこ運動もできる。頭も悪いわけではない。だから、それなりに告白されたこともある。

  しかし、しかしだ。

こんな告白されたことがない。いや、日本全国、下手したら世界を一周してもこんな告白されたことがないだろう。
むしろこれは告白なのか?いや、絶対違う。違うと言ってくれ。

「だーかーら、別れることを前提に付き合ってください」

目の前でそう言うこいつには見覚えがある。
C組の山崎悠。女子がよく騒いでいる。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧男子だと。
女子は性格も良く、優しい紳士だと言っていた気がするが、それは嘘だったらしい。

「…うん、よくわからないから」


関わらないほうがいい!!!


脳がそう強く訴えている。
私は後ろに振り返り歩き出した。帰ろう、私は何も知らない。

「やだなーそんなこと言わないでよ」

語尾にハートでもつきそうな弾んだ声で言われても、とても困る。
腕はしっかりと掴まれていて、逃げられない。

「俺ね、誰もが羨むような華やかな高校生活を過ごしたいわけ」

しみじみと語りだしたこいつに、私は凍りつくような感覚を覚えた。
だめだ、危険すぎる。このまま聞いていたとしても、私が辛いだけだ。逃げたい帰りたい忘れたい。

「だから勉強も頑張ったし、身だしなみは気をつけてきた」

柔らかい声でそう言う。少し、微笑んでいた。
その表情は、さっきまでのアホ面とは違い、純粋な、いい顔だった。
…ちょっと、ちょっとだけ努力家ないい奴なのかと思った。


……矢先。



「だから大人気の君さえ彼女にすれば完璧だと思うんだよねー!」

「死ね」

だめだ、救いようのない奴だ!!!



逃げよう。




私は全力で走り出した。









わかれる前提で付き合ってください
(なら告白するなばーか!)
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