「愛羅ー」

ベッドに浅く座っている悠においでおいでと呼ばれる。腕を大きく広げられて、私は軽くダイブするように抱きつき、彼の首裏に手を回した。腰に回された悠の手が、暖かくて、優しくて、一緒にいる実感が湧いてくる。暖かい悠の体温に私は包み込まれた。
悠に会ったのは一週間ぶりだ。最近は、週一ペースで会っている。

「…金髪に染めたんだね」


気付いていた。悠が、会う度に少しずつ変わっていることに。

二週間前に会ったときは、黒髪が綺麗に茶色く染められていた。成人すれば髪を染めるなんてのは普通だし、特に気にしていなかった。似合うね、と言ったらありがとうと照れ臭そうに笑っていた。

「うん」

「前は、赤髪だったよね」

一週間前会った時は、茶色かった髪が赤く色付いていた。その時聞いてみたらはぐらかされて、多くを語らなかった。少し気になったが、悠があまり言いたくなさそうだったから、いつも通り接していた。
たった三週間のうちに、三回も髪色を変えたのだ。

「髪の毛が、死んじゃうよ」

二人の服に埋もれていた手で、悠の髪を触る。綺麗だった髪が、痛んでいて、なんだか悲しい。

「…金髪の俺は嫌?」

「ううん、好き」

よりいっそう抱き締める力が強まる。
悠は会う度に、甘える時間が増えていった。ずっと抱き締めるなんて前は恥ずかしがっていたのに、今では悠からしてくるようになっていた。
恋人として、甘えられるのは嫌じゃないし、むしろ嬉しい。でも、その姿が日に日に小さくなっていくような気がして、何も知らない、できない自分が嫌になる。

「…好き」

何かを確かめるように、悠は、悲しげに言った。
私の肩にもたれる様に置かれた額。私は何もすることができなくて、彼の背中をぽんぽんと軽く叩いた。

「私も、好きだよ」








なにいろが好き?
(どんな君も好きよ)
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