「あー…会いたい」
こんな、薄っぺらい写真じゃなくて、悠の姿を、声を、体温を、感じたい。綺麗な笑顔の悠と目が合うけれど、所詮写真だ。この行き場のない寂しさを和らげることはない。
遠距離って、こんなに辛かったんだ。
彼は外国に住んでいる。日本人だけれど、仕事の事情で向こうで過ごしている。
昔はこんなにわがままじゃなかったのに。液晶越しでしか見れない、機械越しでなきゃ伝えられない。今の状況に耐えられなくなっている私を知ったら、幻滅されるかな?
日付が変わる、深夜0時。
しーんとした静かな部屋に、一人で目を潤ませる自分が滑稽で仕方がない。
全身の水分が熱くなる感覚。こみ上げてくる、涙。
いつになったら会えるだろう?
悠への執着心が、私をまっくろにする。ぐちゃぐちゃになった頭が、顔が、心が、私の全てを物語るようで、なんだか、やるせない。何もできずに泣く自分が大嫌いだ。自分だけが辛いように思い込んでいる。
…でも、それもあながち間違っていないのかもしれない。
寂しがっているのは自分だけで、悠は、寂しくもなんともない、むしろ清々しているのかも。そう思うと、また涙がこみ上げてくる。
ばーか、何泣いてるんだよ。お前ごときが思い上がるな。
頭の中で、そんな言葉がぐるぐると回る。
私から彼に連絡するなんてことしない。
めんどくさい女だなんて思われたくないから。
いい彼女であるために、無理ばっかりして。
…いや、違う。私は、"都合のいい女"になりたかっただけなんだ。
電話がかかってきたのが深夜だろうが仕事中だろうが関係なく笑顔で出ていた。
いくら彼が約束を破ったって、仕方ないよなんて言って怒らなかった。
いつもへらへらして。