廃屋


今回もオレ、武巳が語るからな。

最近、噂で聞く廃屋に想二と一緒に行ったんだよ。

――――

「武巳兄ちゃんは、恭一兄ちゃんを怖がっていたね〜」

「何を考えていたのか、イマイチ分からないんだ」

「そうなの〜?」

「ああ、無表情でいるから不気味なんだよ」

オレは想二と廃屋を向かう道を歩いていく。

昼下がりの道は、人通りが少なく誰もいない。

どうして、いないのかは分からないけど。

まあ、この道が今では使われなくなったからだろう。

「武巳兄ちゃんは、大丈夫なの?」

「何が大丈夫か?」

「この先に廃屋があるんだよ?」

想二が無邪気な顔で言う。

「ああ、そうだな」

「怖くないの?」

「怖いさ。だけど、想二がいるからオレが怖がってはいけないのさ」

責任はある。

いくら、異形とはいえ子供なのだから。

オレが傍にいてやらないと、いけないんだ。

想二は空目の弟だから。

「武巳兄ちゃんにも、怖いのはあるんだ〜」

「ああ、あるさ」

「なんなの?」

「……空目の冷たい目」

オレは、ぼそっと呟く。

「……」

「……」

無言が続く。

「ごめんなさいなの…」

想二は謝ってくる。

「謝らなくていいから!オレも悪かったんだよ」

「でも…」

「オレは想二と遊べるからいいんだ」

そう言って、想二の手を引いて歩く。

ようやく、廃屋が見えてきた。

「古いね〜」

「ああ、古いな」

オレたちは、廃屋に入った。

中は酷く、ほとんどが壊れていた。

「怖いよ〜」

「大丈夫だ。オレが傍にいるから」

オレの足にしがみついた想二を、落ち着かせようと頭を撫でた。

「ねぇ…武巳兄ちゃん、あれは何かな?」

想二が指差した所には、白骨化したモノ≠ェあった。

「……」

「……」

オレたちは無言になった。

「…えっぐ…うぁぁぁーん!」

「大丈夫だ、怖くないから…。オレが一緒にいてやるから」

泣いてしまった想二をあやそうと、オレは抱っこしてやり、背中を叩く。

そして、廃屋を出た。

来た道を引き返しながら、泣いている想二を泣き止ます。

「大丈夫だよ、怖いのは直ぐに忘れるからな」






*後書きと云う名の反省*
今回で16作目になります
テーマはシリアスですけど…
キャラ崩壊しました
想二と武巳が好きだぁぁぁぁぁぁっ!!





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