Ich treue mich. she zu sehen
(お目に掛かれて嬉しいです)

忘れられた語り部≠フ廻です。

今回は理科室にまつわる噂を語りましょうか。

――――

「廻、理科室にまつわる噂を知っているか?」

「ええ、確か…深夜の二時に現れる子供≠ナしたよね?」

「ああ、もしかしたら想二様かも」

僕と武巳は予想していた。

「きっと、想二君ですよ」

「だと、いいな」

「ええ、祈りましょうか」

その日の夜、噂を確かめようと理科室に入っていく男子生徒がいた。

「やべぇよな。でも、噂を確かめてみてぇし」

彼の言葉により、異変が起こった。

まず、ドアが閉まる。次に全ての窓が割れる。

そして、何かが来る。

ぺた。ぺた。ぺた。

「アハハハハ、ねぇ?あそぼうよ?」

「なっ!!」

「なにしてあそぶ?それとも、おにいちゃんのじかんをくれる?」

「く、来るなっ!!ば、化け物!!」

彼は言ってはいけない言葉を言ってしまった。

「アハハハハ、あそぼう」

「うわぁぁぁぁっ!!」

そして、次の日――

全校生徒の前で、彼の変わり果てた姿があった。

彼の時間は取られていた。

「彼はやられたみたいですね」

「何をされたんだ…」

「それは異界で……」

「言わなくていいから!」

武巳は耳を塞ぐ。

でも、構わずに言う。

「彼は異界に囚われたみたいですね」

「廻お兄ちゃん、ごめんなさい…」

想二君はしょんぼりしていた。

「何でかな?」

「遊んでほしくて、話し掛けたら……連れていかれたの」

「大丈夫だよ、誰も責めないから」

僕は言う。

「(今度、理科室に行きますか)」

密かに決意する。

「なら、お…俺が遊んでやるよ…」

「ありがと、武巳お兄ちゃん!」

想二君はそう言って、裾を握る。

「頼んだよ〜」

僕は深夜に理科室にいた。

噂を確かめるように。

約束の時間になると、声がした。

「アハハハハ、ねぇ?遊ぼう!」

「うん、いいよ」

「本当に?」

「そうだよ」

「ありがと、お兄ちゃん」

僕はあの子と遊ぶ。

「行くね」

あの子は、笑っていた。

次の日には、想二君は笑っていた。

「また、遊んでね〜」

「あ、ああ…」

疲れた武巳。

「廻、行ったか」

「ええ、行きました

「そうか、良かった」

それは葉が散っていく秋の日だった。


余談――

噂は急速に消えていった。

誰が広めたか、定かではない。

―――――――――――
*後書きと云う名の反省*
口調が崩壊。シリアルにならず。
この話で、第11作目です。読んでいただき、ありがとうございます!!
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